抗がん薬による悪心・嘔吐のメカニズム
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悪心・嘔吐は上部消化管に優位に存在する5HT
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受容体と第4脳室のCTZに存在するNK1受容体、ドパミンD
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受容体が複合的に刺激され、延髄の嘔吐中枢が興奮することで悪心を感じ、さらに遠心性に臓器の反応が起こることで嘔吐が引き起こされると考えられており、これらと拮抗する薬剤が制吐薬として用いられている。
抗がん薬投与後の発現の状態により①急性の悪心・嘔吐(投与24時間以内)、②遅発性の悪心・嘔吐(投与24時間後から1週間程度)、③突出性悪心・嘔吐(制吐薬の予防的投与にもかかわらず発現)、④予期性悪心・嘔吐(抗がん薬投与を考えただけで誘発)に分類されている。
分類に応じた制吐薬:
①急性の悪心・嘔吐
高度リスクの抗がん薬による急性の悪心・嘔吐に対しては,アプレピタント(もしくはホスアプレピタント)と5HT
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受容体拮抗薬およびデキサメタゾンを併用する。
中等度リスクの抗がん薬による急性の悪心・嘔吐に対しては,5HT
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受容体拮抗薬とデキサメタゾンを併用する。必要に応じてアプレピタントを追加・併用する。
②遅発性の悪心・嘔吐
高度リスクの抗がん薬による遅発性嘔吐に対しては,NK1受容体拮抗薬アプレピタントとデキサメタゾンを併用する。
中等度リスクの抗がん薬による遅発性嘔吐に対しては,デキサメタゾンを単独で使用するが必要に応じてアプレピタントとデキサメタゾンの併用,もしくは5HT
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受容体拮抗薬,アプレピタントを単独で使用してもよい。
③突出性悪心・嘔吐
作用機序の異なる制吐薬を複数,定時投与する。
④予期性悪心・嘔吐
ベンゾジアゼピン系抗不安薬(ロラゼパム、アルプラゾラム)が有効である。
出典
1:
日本癌治療学会:「制吐薬適正使用ガイドライン」2015年10月【第2版】一部改訂版 ver.2.2.図1 抗がん薬による悪心・嘔吐のメカニズム.http://www.jsco-cpg.jp/guideline/images/29/zu01_2018.gif(2022年2月閲覧)
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