低体温中等症患者の手足における重症凍傷
手足に腫れや水疱が見られる症例
出典
1:
John L. Cameron, and Andrew M. Cameron:Current Surgical Therapy, Twelfth Edition.The Management of Frostbite, Hypothermia, and Cold Injuries. 1298-1303,FIGURE 2,Elsevier,2016
低体温時の巨大Osborn波
低体温で入院した47歳男性で認めたR波と電位が同程度のOsborn波(▼)である。洞性徐脈とQRS間隔、QTcの延長を認める。再加温でOsborn波は低下し、24時間の時点で消失した。
振戦による基線の揺れ(↑)も、患者の中心体温の正常化に伴い消失した。
出典
1:
Images in clinical medicine. Giant Osborn waves in hypothermia.
N Engl J Med. 2005 Jan 13;352(2):184. doi: 10.1056/NEJMicm030851.
低体温患者へのアプローチ
HT I、HT II、HT III、HT IVはSwiss Staging Systemの低体温ステージングを示す。不可逆的な死の徴候には、頭部離断、体幹離断、体全体の腐敗、圧迫不可能な胸壁がある。死後硬直や瞳孔散大は可逆性低体温患者でも認める。体外式加温や侵襲性の低い加温の方法は、患者を温かい環境に移すこと、すなわち化学的、電気的、強制加温空気パックや毛布、加温輸液である。病院前での循環動態不安定は、収縮期血圧90 mmHg未満であるが、中心体温28℃未満の患者に対して、入院決定を行ううえでの最低限必要な循環動態は定義されていない。ゆえに、どの時点から膜型人工肺(ECMO)や心肺バイパス(CPB)を行う必要のある不応性循環不全患者とみなすべきかは不明である。遠隔地では、搬送アドバイザーがECMOやCPB施行可能なセンター施設での治療の有益性と搬送時間とのリスクを天秤にかけて考慮する。遠隔地で心停止した患者に対しては、中間地点の病院で測定したカリウム値により、ECMOやCPBの必要性を確認することができる。センター施設への搬送ができない場合には、体外式加温と中心加温を行うべきである。
DNR:蘇生しない ROSC:自己心拍再開
出典
1:
Accidental hypothermia.
N Engl J Med. 2012 Nov 15;367(20):1930-8. doi: 10.1056/NEJMra1114208.