注1:糖尿病性腎症は必ずしも第1期から順次第5期まで進行するものではない。また評価の際には、腎症病期とともに、付表を参考として慢性腎臓病(CKD)重症度分類も併記することが望ましい。
注2:正常アルブミン尿期は糖尿病性腎症の存在を否定するものではなく、この病期でも糖尿病性腎症に特有の組織変化を呈している場合がある。
注3:eGFR 60 mL/分/1.73 m2未満の症例はCKD に該当し、糖尿病性腎症以外のCKD が存在し得るため、他のCKDとの鑑別診断が必要である。なお血清クレアチニンに基づくeGFRの低下を認めた場合、血清シスタチンCに基づくeGFR を算出することで、より正確な腎機能を評価できる場合がある。
注4:微量アルブミン尿を認めた患者では、糖尿病性腎症早期診断基準(糖尿病48:757-759, 2005)に従って鑑別診断を行ったうえで、微量アルブミン尿期と診断する。微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の早期診断に必須のバイオマーカーであるのみならず、顕性アルブミン尿への移行および大血管障害のリスクである。GFR 60 mL/分/1.73 m2以上であっても微量アルブミン尿の早期発見が重要である。
注5:顕性アルブミン尿の患者では、eGFR 60 mL/分/1.73 m2未満からGFRの低下に伴い、腎イベント(eGFRの半減、透析導入)が増加するため注意が必要である。
注6:CKD 重症度分類(日本腎臓学会、2012年)との表現を一致させるために、旧分類の「腎不全期」を「GFR 高度低下・末期腎不全期」とした。
注7:GFR 30 mL/分/1.73 m2未満の症例は、UACR あるいはUPCR にかかわらず、「GFR高度低下・末期腎不全期」に分類される。しかし、特に正常アルブミン尿・微量アルブミン尿の場合は、糖尿病性腎症以外のCKDとの鑑別診断が必要である。
注8:CKD重症度分類(日本腎臓学会、2012年)との表現を一致させるために、旧分類の「透析療法期」を腎移植後の患者を含めて「腎代替療法期」とした。