血友病の遺伝形式
血友病の父親(X’Y)、健常女性が母親(XX)の場合(図左)、男児はすべて健常となり、女児はすべて保因者となる。血友病保因者の母親(X’X)、健常男性の父親(XY)の場合(図右)、男児では1/2の確率で健常または血友病、女児では1/2の確率で健常または保因者となる。
(X’;血友病X染色体)
出典
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本邦における血友病ならびにその他の血液凝固異常症の患者総数と割合
わが国の血液凝固異常症の約3/4が血友病であり、血友病A:血友病Bの比率は約5:1である。
出典
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血液凝固異常症全国調査運営委員会:厚生労働省委託事業 血液凝固異常症全国調査 平成28年度報告書より改変
血友病の主な出血の種類と好発年齢および出血部位
a:年齢ごとの出血の好発部位の変化
b:出血頻度の高い部位
出典
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白幡聡編: みんなに役立つ血友病の基礎と臨床. 医薬ジャーナル社, 2009.より転載
APTTクロスミキシングテスト
先天性血友病では、正常血漿の添加によりAPTT延長は容易に補正され、下に凸のパターンを示す。一方、インヒビターの存在下では、APTT延長が補正されにくく、上に凸もしくは直線的に低下するパターンを示す。
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日本国内でインヒビターのない患者に使用可能な凝固因子製剤
a:日本国内で使用可能な血液凝固第Ⅷ因子製剤
b:日本国内で使用可能な血液凝固第Ⅸ因子製剤
現在わが国で使用可能な製剤は、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤に大別される。
イロクテイト、オルプロリクスは、「半減期延長製剤」と呼ばれているが、日本血栓止血学会「インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン2015年補遺版」では、「半減期延長製剤の使用を勧めてもよい症例」として、以下が示されている。
従来製剤を使用中であるが、頻回の静注による穿刺を避けたい症例(例;乳幼児[ただし、現時点でPUPs への安全性について十分な成績は得られていない]、静脈穿刺が困難、自己注射・家庭療法ができない、など)
現在定期補充療法は行っているが、アドヒアランス不良で、輸注回数の減少によりアドヒアランスの向上が見込まれる症例
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目標因子レベルを基にした凝固因子製剤の投与量
凝固因子製剤の必要投与量を、止血に必要な目標因子レベルより、下記の式を用いてその都度計算することが推奨される。
ただし、ガイドラインによると、上記の式によって計算される輸注量はあくまでも目安であり、個々の症例において血中因子レベルをモニタリングしながら調整することが望ましい。
出典
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インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版、p5、日本血栓止血学会、2013より転載
急性出血の補充療法
ガイドラインによると、表中のピーク因子レベル、トラフ因子レベルは実測することが望ましいが、実測上測定困難な状況が多い(例:家庭療法時)こと、明確なエビデンスが示されている出血が少ないことより、予測値として輸注をしてもよい。
出典
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インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版、p6、日本血栓止血学会、2013より転載
インヒビターのない血友病患者の手術・処置における補充療法
a:手術・処置における補充療法
b:各種処置・小手術における補充療法
ガイドラインによると、表中のピーク因子レベル、トラフ因子レベルは実測することが望ましいが、実測上測定困難な状況が多い(例:家庭療法時)こと、明確なエビデンスが示されている出血が少ないことより、予測値として輸注をしてもよい。
出典
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インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版、p7、日本血栓止血学会、2013、および2015年補遺版、p4、日本血栓止血学会、2015より転載
わが国におけるインヒビター治療製剤
出典
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インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:「インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版」の2015年補遺版、p2-3、日本血栓止血学会、2015より転載
バイパス製剤の使用方法
aPCCとrFVIIa製剤の止血効果は総合的に同等と考えられるが、患者ごとや出血エピソードごとに有効性の製剤間差がみられることがある。
出典
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インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:「インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版」の2015年補遺版、p3、日本血栓止血学会、2015より転載
高用量第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤によるインヒビター中和療法
出典
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インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版、p11、日本血栓止血学会、2013より転載
バイパス製剤による家庭療法に共通する留意事項
出典
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血友病家庭注射療法のガイドライン(2003年版) 日本血栓止血学会 血友病標準化検討部会編
出血時の対処の基本
出血後、補充療法と併用して安静、冷却、圧迫、挙上、の基本的対処法(RICE)を速やかに実践する。
出典
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白幡聡編: みんなに役立つ血友病の基礎と臨床. 医薬ジャーナル社, 2009.より転載
インヒビター保有血友病患者に対する治療製剤選択のアルゴリズム
インヒビター保有の血友病患者の急性出血または手術時の製剤選択にあたっては、①出血の重症度もしくは手術の内容、②最新のインヒビター値、③既往免疫反応の有無、の3点が基本となるが、最終的には安全性と経済性を含めて総合的に判断される。
出典
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インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会編:インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン 2013年改訂版、p5、日本血栓止血学会、2013より転載
血友病の確定診断へのアルゴリズム
vWD:von Willebrand病 vWF:von Willebrand因子 LA:ループスアンチコアグラント
APTT:プラスチン時間 PT:プロトロンビン時間
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免疫寛容導入療法に関する国際研究
ITI療法反応良好予測群を対象とした国際ITI研究では、低用量(50単位/kg×3回/週)群では、高用量(200単位/kg連日投与)群と比較し、ITI成功率に差はなかったが、成功到達までに長時間を要し、出血回数も多かった。
出典
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日本血栓止血学会HP http://www.jsth.org/committee/ssc01_06.htmlより一部抜粋