電気生理検査の適応
a:洞結節機能
b:房室ブロック
参考文献:日本循環器学会他編:臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン(2011年改訂版)を参考に作製
電気生理検査手順
電極カテーテルを心房(高位心房、または冠静脈洞など)、心室(右室心尖部、または右室流出路など)、ヒス束電位記録部に留置して検査を行う。コントロール測定後に心房電気刺激、心室電気刺激の順で検査をすすめる。
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頻拍(概念図)と代表的な不整脈
頻拍のメカニズムは2種類に大別される。リエントリーと呼ばれる「回路」が想定可能な場合と、局所からの刺激生成が頻回に起きている場合である。多くの上室性頻拍や心房粗動、基礎心疾患に伴う心室頻拍は前者で、流出路起源の心室期外収縮、心室頻拍などは後者である。
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上室性頻拍の鑑別
上室性頻拍の鑑別を示す。室房伝導がなければ心房頻拍であるが、頻度は少ない。室房電動は房室結節を介するものと、副伝導を介するものがあり、鑑別を要する。カテーテルアブレーションにおいて重要なポイントである。
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心室性不整脈の誘発
心室性不整脈の誘発では、刺激部位は2カ所以上、刺激の基本周期は2種類以上で行う。コントロールで誘発されない場合には、薬物負荷を行う場合もある。
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電気生理検査時の12誘導心電図(一部)と心内心電図
心内は上からヒス束電位(His Bundle Electrogram、HBE)、冠静脈洞電位(Coronary Sinus、CS)、右室心尖部(Right Ventricle Apex、RVA)が表記されている。カテーテルはいずれも多極電極で遠位が1番になっている。ヒス束電位記録カテーテルで心房波と心室波の中間に記録されている電位がヒス束電位(矢印)。冠静脈洞に留置した電極では前半に大きな心房電位、後半に小さな心室電位が記録されている。
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洞結節機能の評価
心房高頻度刺激を30秒持続し、最終のペーシング後に心房興奮が記録されるまでの時間(上記症例の場合は1,192msec)が洞結節回復時間(Sinus-node Recovery Time、SRT)である。 SRTに関しては1,400msec未満を正常とする報告が多い。
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房室節機能の評価
心房高頻度刺激の刺激頻度を徐々に上昇させると、房室伝導が1:1伝導しなくなる。このなかの最低の心拍数がWenckebach rateである。150回/分以上でこの現象がみられるのは正常の反応と考えられる。
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心室ペーシングによる室房伝導の確認
どちらのケースも冠静脈洞に留置したカテーテルで心室波に続いて心房波を認め、室房伝導が確認される。左図ではヒス束電位記録カテーテルの心房波が最早興奮部位で、右図では冠静脈洞に留置したカテーテルの中間部(CS 9-10)が最早期である(星印)。左図のケースでは房室結節を介する室房伝導であることが、右図のケースでは左側副伝導路を介する室房伝導であることが推測される。
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心室ペーシング部位の変化による心房最早興奮部位の確認
左図、右図は同一症例。左図は心尖部ペーシング、右図は流出路ペーシング。冠静脈洞で記録される心室波が、心尖部ペーシングでは近位から遠位に伝導し、心房最早興奮部位が判別しづらいが、右図のように流出路からペーシングすると、心室の興奮伝播様式が変化し、心房最早興奮部位の判別が容易になっている。
RVOT: Right Ventricular Outflow Tract(右室流出路)
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傍ヒスペーシング
スライド左は接合部を捕捉し、比較的QRS幅が狭いのに対し、右は心室を捕捉しておりQRS幅は広い。ヒス束電位記録部のカテーテルで刺激を行い、刺激出力を変化させると観察される。接合部の捕捉には高出力が必要であり、最大刺激から順次出力を低下させると、図のような波形が得られる。刺激から心房最早興奮部位までの時間が変化しており、逆行性伝導は房室結節であることが判明する。中隔副伝導路の鑑別に有用である。
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心房プログラム刺激による発作性上室性頻拍の誘発
最終の心房刺激後、著明な心房-ヒス束時間の延長後上室性頻拍が誘発されている。頻拍中の心房最早興奮部位は房室結節領域である。通常型房室結節回帰性頻拍あるいは中隔副伝導路を介する房室回帰性頻拍が疑われる。本例は頻拍中に順行性ヒス束不応期に挿入した心室単回刺激が、心房を早期捕捉しないことなどから房室結節回帰性頻拍と診断した。
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