病 歴:33歳女性。幼少時よりアトピー性皮膚炎があり、治療中。初診の3カ月前より皮膚は徐々に悪化。痒みが強く夜間不眠となった。
診 察:眼囲から頬部にかけて掻破痕と鱗屑を伴う紅斑があり、苔癬化を伴う。
診断のためのテストとその結果:血清TARC値1,200 pg/mL、総IgE 15,000IU/mL、ハウスダスト6+、コナヒョウヒダニ6+、スギ6+、ヒノキ5+。
治 療:オロパタジン塩酸塩錠1日2回の内服と、タクロリムス軟膏とヒドロコルチゾン酪酸エステルクリームの外用により、症状は徐々に軽快した。
なお、アトピー性皮膚炎の新規外用薬として2020年6月24日からデルゴシチニブ軟膏(コレクチム軟膏:JAK阻害薬)、2022年6月1日よりジファミラスト軟膏(モイゼルト軟膏:ホスホジエステラーゼ4阻害薬)が上市された。ステロイド外用薬以外の選択肢が増えたことで外用治療は大きく進歩した。実際の使用に当たっては日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021等を参照されたい。
転 帰:14日後には顔面の紅斑は軽度の色素沈着を残して治癒した。