ケースの説明
病歴:40歳代男性。初診7日前から倦怠感、5日前から発熱と悪寒を生じていた。初診2日前、駅で動けなくなっていため、救急要請。急性多発脳梗塞などの所見から感染性心内膜炎を疑われ、手足に多発している有痛性紅斑、紫斑について、皮膚科診察依頼となった。なお、入院時に未治療の2型糖尿病(HbA1c 10.1%)が明らかとなった。
診察:手掌、足底および足趾に米粒大までの有痛性紅斑が多発し、一部では紫斑を伴っている。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴、白血球数12,700/mm3と増加、CRP23.7 mg/dLと高値、心エコー所見から感染性心内膜炎と診断。皮膚生検組織、血液培養で黄色ブドウ球菌が同定された。
治療:抗菌薬投与とうっ血性心不全の治療を施行した。
転帰:1カ月後にCRPは陰性化したが、6週間後に心筋膿瘍を疑う所見があり、約2カ月間抗菌剤加療を行い、第57病日に退院した。
コメント:本症は指趾血管の細菌性塞栓によって生じる。感染性心内膜炎の誘因は歯科処置が最も多く、次いで中心静脈カテーテル留置である。