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掌蹠角化症の診断アルゴリズム

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1: 著者提供

ウンナ(Unna-Thost)型掌蹠角化症

ケースの説明
病 歴:中学生の男子、生下時より手掌、足底の過角化あり。幼少時より手掌の多汗に気がつく。
診 察:手掌の角化は側縁を越えない。
病理組織:有棘層、顆粒層、角層の肥厚が確認されるも、顆粒変性は確認されず、診断時にはウンナ(Unna-Thost)型と考えた。
治 療:活性型ビタミンD3外用薬と、掌蹠の多汗に対して塩化アルミニウム水溶液の外用を開始した。
転 帰:多汗の症状は抑えられたが、掌蹠の角化に大きな変化はない。
コメント:患児は掌蹠の皮膚の角化に関しては特に自覚していない。妹と父に同症あり。
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1: 京大症例

フェルナー(Vörner)型掌蹠角化症

病 歴:20歳代女性、生下時より手掌、足底の潮紅と過角化がある。母親に同症あり。
診 察:手掌の角化は側縁を越えない。
病理組織:有棘層より上の層で顆粒変性が認められた。
治 療:活性型ビタミンD3外用薬と掌蹠の多汗に対して塩化アルミニウム水溶液の外用、イオントフォレーシスを使用した。
転 帰:多汗の症状は抑えられたが、掌蹠の角化に大きな変化はない。
コメント:ケラチン9の遺伝子変異が確認された。
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1: 京大症例

長島型掌蹠角化症

病 歴:20歳代女性、生下時より手掌、足底の潮紅と軽度の角化を認める。
診 察:均一なびまん性の角化性紅斑は掌蹠縁を越えて手背・足背に及ぶ。掌蹠の多汗を伴い、足白癬を伴っていた。
治 療:ビタミンD3製剤、尿素軟膏、サリチル酸ワセリンなどで対処した。
転 帰:過角化は軽減している。
コメント:家族内に掌蹠角化症はみられなかった。
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1: 著者提供

後天性掌蹠角化症(Bazex[バゼー]症候群)

病 歴:60歳代男性。半年前より加重部を主体とした足底の粗造な角化が進行。手掌、手指の暗紅色紅斑、角化も著明となる。
診 察:中年期以降に出現した足底の強い粗造な角化所見より、悪性腫瘍に随伴する掌蹠角化症を疑った。
診断のためのテストとその結果:腫瘍マーカー、CT検査、消化管カメラなどを実施し食道癌が発見された。
治 療:食道癌の根治的手術を行った。
転 帰:食道癌の切除後、1カ月ほどで掌蹠の角化は平坦化し紅斑も目立たなくなった。
コメント:掌蹠角化症の皮疹より、食道癌を根治可能な時期に診断し得た。
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1: 著者提供

更年期角化症

病 歴:50歳代女性、最近になり次第に足底の皮膚が厚くなってきたのを自覚した。
診 察:両側の足底の土踏まず以外の領域に角化が認められている。
診断のためのテストとその結果:後天性の掌蹠角化症であり、内臓の悪性腫瘍の検索を行ったが、発見されなかった。閉経期の女性ホルモン値の変動以外は内分泌にも異常はなかった。
治 療:活性型ビタミンD3外用薬の外用を継続している。
転 帰:大きな変化はない。
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毛孔性紅色粃糠疹

小児に発症した毛孔性紅色粃糠疹は、ときに先天性の掌蹠角化症と非常によく似た臨床症状をとり、特に頻度の低いGreither型やMeleda型の掌蹠角化症は、好発部位や発症年齢また病理組織像においても類似点が多いため慎重な鑑別を必要とすることがある。
病歴:10歳代女児、幼稚園児の頃に手掌・足底より潮紅や過角化が出現した。
診察:潮紅を伴う角化局面は掌蹠の皮膚を越え、前腕、下腿や肘、膝、後頚部へと広がった。
診断のためのテストとその結果:皮膚生検で毛孔性紅色粃糠疹に特有のチェッカーボード型の過角化を確認した。
治療:シクロスポリンの内服で、大きく軽快した。
転帰:軽快後はシクロスポリンの減量が可能であった。
写真:初診時の足底(a)、手掌(b)
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先天性厚硬爪甲症に伴う掌蹠角化症

病 歴:20歳代男性、幼少時より手・足の爪の肥厚を自覚していた。母親に同症あり。
診 察:成長とともに、爪甲の肥厚と足底の加重部に強い鶏眼樣の過角化が拡大する。
治 療:ビタミンD3製剤、尿素軟膏、サリチル酸ワセリンなどで対処した。
転 帰:外用には不応で、足底の過角化は定期的にニッパー型の爪切りで削って対処している。
コメント:ケラチン17の変異が確認された。
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1: 京大症例

線状掌蹠角化症

手掌の圧力、摩擦力のかかる部位に線状に過角化が生じる。小児期以降に顕著となる。デスモグレイン1、デスモプラキン、ケラチン1の遺伝子変異により、細胞接着の機能が低下する。顆粒層のレベルでの表皮細胞間、特に3つの角化細胞の接点での細胞間隙の拡大が、診断的特徴とされる。
患者:13歳、女児。
家族歴:母親に同症状あり。弟(11歳)、母親の祖母・祖父に同症なし。
現病歴:3歳時より両側足底の踵部に過角化が生じた。徐々に足底の過角化の範囲は広がり、過角化局面の一部に亀裂を生じるようになった。
母親にも幼少時より足底の過角化と22歳ごろから手掌の過角化がみられた。両側足底の荷重部に一致して過角化がみられた。手掌の示指と中指のMP関節部にわずかに過角化がみられた。手背、足背、肘頭、膝蓋への角化症状の進展はみられなかった。掌蹠以外の皮膚や爪、毛髪に異常所見はみられなかった。
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1: 琉球大学症例

毛孔性紅色粃糠疹による手掌の紅斑

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毛孔性紅色粃糠疹

初診時の足底
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毛孔性紅色粃糠疹

初診時の手掌
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掌蹠角化症の診断アルゴリズム

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1: 著者提供

ウンナ(Unna-Thost)型掌蹠角化症

ケースの説明
病 歴:中学生の男子、生下時より手掌、足底の過角化あり。幼少時より手掌の多汗に気がつく。
診 察:手掌の角化は側縁を越えない。
病理組織:有棘層、顆粒層、角層の肥厚が確認されるも、顆粒変性は確認されず、診断時にはウンナ(Unna-Thost)型と考えた。
治 療:活性型ビタミンD3外用薬と、掌蹠の多汗に対して塩化アルミニウム水溶液の外用を開始した。
転 帰:多汗の症状は抑えられたが、掌蹠の角化に大きな変化はない。
コメント:患児は掌蹠の皮膚の角化に関しては特に自覚していない。妹と父に同症あり。
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1: 京大症例