病 歴:30歳代女性。3年前に急性骨髄性白血病を発症。2年前に同種末梢血幹細胞移植を受けた。初診の3カ月前より、全身の皮膚硬化、潰瘍、関節拘縮が出現した。
診 察:体幹、四肢に、硬化局面が不規則に散在、癒合して認められた。部分的に紅斑、びらん、潰瘍を伴う部位も認められた。レイノー現象はなく、手指には皮膚硬化を認めなかった。
診断のためのテストとその結果:皮膚生検は施行しなかったが、臨床的に真皮から皮下の線維化が示唆された。全身性強皮症にみられるような自己抗体は認められなかった。また、CTなどの画像検査で、肺などの内臓臓器に線維化の所見は認められなかった。
治 療:GVHDに対して、ステロイドの少量内服とタクロリムスの内服を行った。
転 帰:皮膚硬化は上記治療によっても不変であった。
コメント:移植の既往、自己抗体陰性、レイノー現象なし、手指の硬化を認めないことなどから、全身性強皮症と鑑別する。