急性湿疹(この場合は接触皮膚炎)の典型的臨床像
紅斑とともに丘疹や小水疱がみられる。
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慢性湿疹(この場合は慢性光接触皮膚炎)の臨床像
表皮は肥厚し、乾燥して隆起している。しかしわずかに滲出液や痂皮もみられ急性湿疹の面影を残している。
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湿疹三角
湿疹はこのなかのいくつかの発疹を混在させて臨床像を構成する。
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膨疹
真皮の浮腫であるので境界が不明瞭にぼんやり盛り上がり、表皮に変化はないので丘疹や水疱はない。いずれも副次的にかゆみや紅斑を伴うことが多く、通常24時間以内に跡形もなく消退する。
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多形滲出性紅斑
形状が虹彩様の標的病変を呈し、丘疹とは異なる。
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結節性紅斑
炎症の主座が脂肪織であるため、境界不明瞭な紅斑で浸潤を触れるが表皮には丘疹や小水疱はない。
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アナフィラクトイド紫斑
発疹が紅斑ではなく圧迫しても消退しない紫斑である。
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円板状紅斑
エリテマトーデスにみられる紅斑局面で角化傾向があり、完成した病変は丘疹や小水疱ではない。
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蝶形紅斑
初発は丘疹であるが次第に融合して局面を形成する。分布や形状に特徴があり通常湿疹のようなかゆみはない。
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サルコイドーシス
一見、苔癬化と区別を要するが、隆起の本態は表皮の肥厚ではなく真皮の病変を思わせる浸潤がある。
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IVRによる放射線皮膚炎
形状が特異でかゆみはなく、毛細血管拡張がある。
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熱傷
緊満性の水疱であり、受傷歴が明白。
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掌蹠膿疱症
手掌足蹠に限定され落屑とともに膿疱が主体(湿疹でも膿疱が出るが、炎症の極期であり、慢性的に膿疱が主体であることは少ない)。
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魚鱗癬
鱗屑が主体で、紅斑・丘疹などの炎症徴候がない。
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尋常性乾癬
鱗屑(角化異常を示唆する)を伴う紅斑が主体で経過も長く丘疹や小水疱はみられない。
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扁平苔癬
紫紅色の表面平滑な光沢を伴う局面で通常かゆみは強くない。
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アミロイド苔癬
頑固なかゆみを伴うが、孤立性丘疹が多発集簇するが、小水疱や苔癬化はみられない。
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帯状疱疹
小水疱や紅斑を伴うが、痛みが愁訴となる。分布に特徴がある。
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麻疹
全身の播種性丘疹が癒合して紅斑を形成する。全身症状やコプリック斑がみられる。
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伝染性膿痂疹
水疱・びらん局面・痂皮が主体で、急性の経過で拡大する。
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足白癬
小水疱が多発する。分布や季節性などに特徴がある。
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手湿疹
手掌には皮脂腺がないので手指は乾燥に傾きやすい。水仕事などで洗浄剤などによる脱脂に助長されることで、乾燥が生じ、易刺激性となって通常利き手の先端から始まる。主婦に多くみられるので主婦湿疹ともいう。角層が厚くなって硬くなってくるもの(角化型手湿疹)、さらに指紋もなくなってくるもの(進行性指掌角皮症)、浸出傾向の強いもの(貨幣型手湿疹)、水疱が指に多数できるもの(再発性水疱型)、乾燥してヒビ割れが甚だしいもの(亀裂型手湿疹)がある。
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舌なめずり皮膚炎
口唇の乾燥に対して舌でなめることによる刺激性皮膚炎(a)。ワセリン塗布などでなめるのを止めさせれば改善する(b)。
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食べこぼし皮膚炎
よだれや食物の付着による刺激性皮膚炎
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ズック靴皮膚炎
ズック靴の蒸れによる浸軟と乾燥・外傷による亀裂性皮膚炎.「土踏まず」に発疹はない。
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貨幣状湿疹
両下腿に乾皮症・乾皮症などに起因する湿疹が生じ、掻破を繰り返すうちに漿液性丘疹が集簇し貨幣状を呈する。激痒があり強力なステロイド治療をしないと一種の内在性アレルギー反応により自家感作性皮膚炎と呼ばれる撒布疹を生じることがある。
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自家感作性皮膚炎
下腿の貨幣状湿疹(左)と前腕の撒布疹(右)がみられる。
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ビダール苔癬(慢性単純性苔癬)
後頚部にかゆみの強い苔癬化局面が生じる。中年女性に多いことから、襟や装身具による慢性刺激が原因として想定されている。
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乳児脂漏性皮膚炎
かつて石けんによる洗浄をしなかった時代にみられたが、スキンケアの普及によりみることはなくなった。
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成人の脂漏性皮膚炎
頭皮や鼻翼部などに鱗屑を伴う紅斑がみられる。
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接触皮膚炎
皮膚に原因物質が接触することにより惹起される湿疹であるが、接触すれば誰にでも起こる一次刺激性接触皮膚炎と一部の感作が成立した人に起こるアレルギー性接触皮膚炎とに分ける。
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誤って苛性ソーダを浴びたことによる一次刺激性接触皮膚炎
一次刺激性接触皮膚炎は接触物の皮膚刺激によって起こるもので、多くは急性に発症し境界も明瞭であるので患者は原因を想起することが可能。ときには化学熱傷となる。
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テープ材による一次刺激性接触皮膚炎
有機溶剤を含む鎮痛外用剤を塗布した上からテーピングしたために生じた境界鮮明な一次刺激性接触皮膚炎。
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セメントによる一次刺激性接触皮膚炎
日曜大工でセメントを使用中、両膝に触れたため、そのアルカリ性により生じた一次刺激性接触皮膚炎(Cement burnともいう)。
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手術時の消毒薬による化学熱傷
手術時に使用した消毒薬が臀部に貯留して生じた化学熱傷。
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時計バンドによるアレルギー性接触皮膚炎
革製時計バンド着用後、境界解明に生じたアレルギー性接触皮膚炎。
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点眼薬によるアレルギー性接触皮膚炎
原因同定にはパッチテストを施行する。
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光アレルギー性接触皮膚炎
光アレルギー接触感作により接触だけでは何も起こらないが日光曝露により露光部のみに接触皮膚炎が出現する。
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パッチテスト
パッチテストは陰性であるが光パッチテストは陽性となる。
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アトピックドライスキン
多くのアトピー患者が有する鳥肌様ドライスキン。すでに病理学的には湿疹反応がみられている。
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アトピー性皮膚炎(乳幼児期)
乳幼児期では顔面を中心に湿潤傾向の強い湿疹がみられる。
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アトピー性皮膚炎(肘窩)
成人になるにつれて乾燥傾向のある苔癬化局面が肘窩や膝窩などの好発部位に左右対称に現れるようになる。
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アトピー性皮膚炎(体幹)
体幹でも乾燥性の慢性湿疹局面がみられる。掻破により増悪するので手が届かない部分は軽微なことも多い。
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アトピー性皮膚炎(成人顔面)
成人顔面ではatopic red faceと呼ばれる赤ら顔、色素沈着などがみられるが、プロトピック軟膏の登場によりその頻度は減少した。
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うっ滞性皮膚炎
静脈瘤を背景にヘモジデリン沈着を伴う難治性湿疹が遷延する。ときに下腿潰瘍となったり自家感作性皮膚炎の原因ともなる。
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湿疹診断のアルゴリズム
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