病 歴:60歳代女性、生来健康であったが、初診7日前より39℃の発熱が出現。近医内科でアモキシシリン(サワシリン)・アセトアミノフェン(カロナール)・アズレンスルホン酸ナトリウム/L-グルタミン(グリマック)を処方されたが、3日後までに紅斑が全身に拡大した。近医皮膚科で内服を中止されるも口唇のびらんと眼球結膜の充血を認めたため当科紹介となった。
診 察:全身に標的様の紅斑を認め、頚部リンパ節腫脹が著明であった。眼球結膜の充血と軟口蓋に発赤を認めた。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から溶連菌感染を含む感染症・スティーブンス・ジョンソン症候群を疑い採血を行ったところウイルス抗体価・抗ストレプトリジン-O値など陰性であった。高度肝機能障害を認めた。
治 療:プレドニゾロン(プレドニン)40 mg/日とセファゾリン(CEZ)3 g/日を開始したところ、翌日には自覚症状の改善を認めた。発熱も速やかに解熱した。
転 帰:開始後2週間にかけて全身の紅斑は色素沈着となった。後日サワシリンのリンパ球幼弱化試験(drug lymphocyte stimulation test、DLST)が陽性であった。
a:口唇全体にびらんがあり、舌縁にもアフタの散在を認めた。
b:躯幹・四肢にも中心部に一部壊死傾向を伴った浸潤を有する紅斑が多数散在していた。癒合傾向は乏しかった。