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診断アルゴリズム

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1: 著者提供

汗疱状湿疹:金属パッチテスト

ケースの説明:
病歴:50歳代男性。20歳代頃スプーン磨きをするとその後に手湿疹を認めていたが、50歳代より、金属に接触しなくても手掌に小水疱が多発性に出没する。
診察:手掌および母指球に粟粒大までの紅色丘疹、小水疱の集簇および線状配列を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から汗疱状湿疹と診断。金属アレルゲンでパッチテストのところ、コバルト、クロム、ニッケルが陽性を示し、全身型金属アレルギーが原因と診断した。
治療:ステロイド外用薬と金属との接触禁止で治療開始したが、軽快しないため、後出表[ID0608]に従いコバルト、クロム、ニッケルを多く含む食事を制限した。
転帰:2週間以内に速やかに軽快した。チョコレートなど金属を多く含むものを摂取すると再燃する。
a:初診時臨床像 
b:コバルト、ニッケル、クロムパッチテスト陽性所見
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1: 著者提供

鑑別診断臨床像:アレルギー性接触皮膚炎

ケースの説明
病歴:30歳代男性。
診察:両手指および手掌全体および手指背に激しい痒みを伴う湿疹病変を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から接触皮膚炎を疑い、仕事で使用していた手袋のパッチテストを施行のところ陽性。この手袋によるアレルギー性接触皮膚炎と診断。
治療:この手袋の使用中止とともにステロイド外用薬を開始した。
転帰:この手袋の使用中止にて軽快した。代替の手袋に変更するも症状の再燃はない。
コメント:手掌のうち陥没している中央はむしろ避けていること、手指背にも皮疹があることが汗疱状湿疹とは異なる。
a:手掌の臨床像
b:手背の臨床像
c:手袋パッチテスト陽性所見
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鑑別診断臨床例:一次刺激性接触皮膚炎(右手掌)

ケースの説明
病歴:60歳代女性。よく洗剤を使って家事をする。ステロイド外用などを処方されるが軽快しない。手や指先が割れて痛い。
診察:両手掌および指腹に著明な乾燥、角化、亀裂を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から診断。アレルゲンのパッチテストは陰性。
治療:洗剤を素手で用いることの禁止と保湿剤、ステロイドの外用で治療開始した。
転帰:数カ月で軽快した。
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鑑別診断臨床例:接触蕁麻疹、protein contact dermatitis

ケースの説明
病歴:20歳代女性、看護師。ラテックス製の手袋を装着すると接触部に膨疹が出現する。
診察:両前腕から手にかけて浮腫性紅斑を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から接触蕁麻疹、protein contact dermatitisなどを疑い、ラテックス手袋抽出液のプリックテスト、パッチテスト施行のところ、プリックテスト陽性で、ラテックス手袋による接触蕁麻疹、protein contact dermatitisと診断。ラテックス特異IgEもクラス3陽性であった。
治療:ラテックス手袋使用禁止、抗アレルギー薬内服、ステロイド外用薬で治療開始した。
転帰:2週間以内に軽快した。
コメント:ラテックスアレルギーでは ラテックス・フルーツ症候群を合併することがあり、注意が必要である。
a:前腕屈側、手掌の臨床像
b:前腕伸側、手背の臨床像
c:ラテックス手袋抽出液プリックテスト陽性所見
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鑑別診断臨床例:掌蹠膿疱症(土踏まずの膿疱)

病歴:40歳代男性。掌蹠に膿疱が多発し、ステロイド外用でも軽快しない。
診察:土踏まずに膿疱が多発していた。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から診断。金属のパッチテストは陰性。耳鼻科の病巣感染の検査が陽性。
治療:耳鼻科の病巣感染の加療をし、ステロイド外用を開始した。
転帰:徐々に軽快した。
コメント:掌蹠膿疱症では全身型金属アレルギーが原因となることがあるが、むしろ耳鼻科や歯科領域の病巣感染が原因となっていることが多い。その検索加療が必要である。
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鑑別診断臨床例:汗疱状湿疹型水疱性類天疱瘡(掌蹠の多発性の大小さまざまな水疱)

病歴:50歳代男性。2週間前から両手掌に水疱が多発し、増加する。激しい痒みを伴う。
診察:両手掌に小豆大までの水疱が多発する。
診断のためのテストとその結果:皮膚生検で表皮下に裂隙を認め、蛍光抗体直接法にて表皮真皮境界部に一致したIgGとC3の線状沈着をみた。血液検査にて抗BP180抗体陽性で水疱性類天疱瘡と診断した。
治療:プレドニゾロン 40mg/日内服で開始した。
転帰:ステロイド内服によく反応し軽快し、徐々に減量している。
コメント:汗疱状湿疹では、自己免疫水疱症を一応鑑別におく必要がある。
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金属とその感作源一覧表

金属パッチテストが陽性を示した場合、この表に基づいて接触禁止を指導する。
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1: 足立厚子:金属接触アレルギーと全身型金属アレルギーの診断について .J Environ Dermatol Cutan Allergol, 2011;2

金属制限食指導表(金属を多く含む食品)

  1. 水道水は流し始めの5分間は使用しないこと
  1. 缶詰食品、缶詰飲料は摂取しないこと
  1. 調理器具にステンレス製品やメッキ製品の使用は避けること
  1. 必須金属も含まれるため、必ず医師の指導のもとに制限食を行うこと
 
参考文献:
足立厚子:金属接触アレルギーと全身型金属アレルギーの診断について .J Environ Dermatol Cutan Allergol, 2011;4
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診断アルゴリズム

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汗疱状湿疹:金属パッチテスト

ケースの説明:
病歴:50歳代男性。20歳代頃スプーン磨きをするとその後に手湿疹を認めていたが、50歳代より、金属に接触しなくても手掌に小水疱が多発性に出没する。
診察:手掌および母指球に粟粒大までの紅色丘疹、小水疱の集簇および線状配列を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から汗疱状湿疹と診断。金属アレルゲンでパッチテストのところ、コバルト、クロム、ニッケルが陽性を示し、全身型金属アレルギーが原因と診断した。
治療:ステロイド外用薬と金属との接触禁止で治療開始したが、軽快しないため、後出表[ID0608]に従いコバルト、クロム、ニッケルを多く含む食事を制限した。
転帰:2週間以内に速やかに軽快した。チョコレートなど金属を多く含むものを摂取すると再燃する。
a:初診時臨床像 
b:コバルト、ニッケル、クロムパッチテスト陽性所見
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