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診断と治療のアルゴリズム

薬剤摂取中、全身に細かい紅斑が出現した場合、丘疹紅斑型薬疹とウイルス感染に伴う発疹との鑑別が必要である。薬剤摂取歴と皮疹出現時期、身体所見、またウイルス抗体価などを参考にする。薬疹の可能性があれば原因と思われる薬剤を中止し、治療する。最終的には原因薬剤評価検査を行うことが望ましい。
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サラゾスルファピリジンによる丘疹紅斑型薬疹

病歴:40歳代、男性。潰瘍性大腸炎のためサラゾスルファピリジンの内服を開始。8日目に発熱と全身に皮疹が出現したため、受診。
診察:全身に数mm~1 cm大ほどの小紅斑が多発、癒合している。軽度の痒みあり。体温:38.4℃。眼球結膜充血なし。口腔内に粘膜疹なし。
診断のためのテストとその結果:末梢血・一般生化学検査に異常所見なし。薬剤リンパ球刺激試験:サラゾスルファピリジンのSI値は4.6と陽性(>1.8)。
治療:高熱のため入院とした。サラゾスルファピリジンを中止のうえ、抗ヒスタミン薬とステロイドの外用にて経過を見た。
転帰:数日で解熱し、紅斑も次第に淡い色素沈着となり、1週間で退院した。
コメント:発熱があるため、ステロイド内服を投与することもしばしばあるが、この症例では、ステロイド内服を使用せずに治療した。
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イオヘキソールによる丘疹紅斑型薬疹

病歴:50歳代、男性。膵臓腫瘍の術後検査のため腹部の造影CTを施行。施行から7日目に体幹、四肢に皮疹が出現してきたため、受診。
過去に造影剤の使用歴あり。
診察:体幹、四肢に軽い痒みを伴う、軽度浮腫性の紅斑が多発し、一部融合している。発熱なし。
診断のためのテストとその結果:末梢血・一般生化学検査に異常所見なし。薬剤リンパ球刺激試験(イオヘキソール):陰性。
治療:抗ヒスタミン薬内服とステロイドの外用。
転帰:約1週間で皮疹は消退。
コメント:イオヘキソールの薬剤リンパ球刺激は陰性であったが、経過からイオヘキソールの薬疹と診断した。
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塩酸リトドリンによる丘疹紅斑型薬疹

病歴:30歳代、女性。切迫早産のため塩酸リトドリンの点滴を開始。開始2週後より体幹、四肢に、痒みのある皮疹が出現したため、当科を紹介。
診察:腹部を中心に、一部四肢にも軽度浮腫性の小紅斑が多発している。痒みが強い。発熱なし。
診断のためのテストとその結果:末梢血・一般生化学検査では異常所見なし。
治療:塩酸リトドリンの点滴を他剤に変更し、ステロイド外用を行った。
転帰:約1週間で皮疹は消退した。
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丘疹紅斑型の皮疹で発症した薬剤性過敏症症候群

病歴:40歳代、女性。関節リウマチの疑いにてサラゾスルファピリジンを処方された。内服開始約3週間後に発熱と全身の発疹が見られ、受診。
診察:全身に浸潤のある紅斑が多発し、癒合傾向を示す。体温:38.7℃。頸部リンパ節腫大あり。眼球結膜充血なし。口腔内にびらんなし。
診断のためのテストとその結果:末梢血WBC 6,700 /uL(好酸球 29%)、AST 73 U/L、ALT 99 U/L。薬剤リンパ球刺激試験(サラゾスルファピリジン)のSI値は2.2と陽性。
治療:サラゾスルファピリジンを中止し、入院のうえ、ステロイドの内服を行った。
転帰:皮疹は入院後も増悪傾向を示し、紅皮症様になった。その後、皮疹は軽快するも、発熱、肝酵素の上昇を伴い、皮疹が一過性に再燃した。入院時のHHV-6 IgG(FA)抗体価は80倍であったが、その後5210倍へと上昇し、HHV-6の再活性化を認めた。
コメント:薬剤性過敏症症候群では、紅斑が急速に拡大し紅皮症の状態になることが多いが、初期の皮疹は丘疹紅斑型であることが多く、注意が必要である。
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伝染性単核球症(丘疹紅斑型薬疹との鑑別)

病歴:30歳代、男性。受診1週間前より38℃台の発熱と咽頭痛あり、扁桃炎の診断で複数の抗生剤を投与され、2日前にはフロモックスに変更された。皮疹が出現してきたため、受診。
診察:体温:37.3℃。体幹四肢にやや浸潤のある小紅斑が多発、癒合している。扁桃は肥大し、白苔を付す。頸部リンパ節腫大あり。
診断のためのテストとその結果:末梢血WBC 14,700/uL(異型リンパ球24%)、AST 371 U/L、ALT 738 U/L、EBVCA-IgM(FA)20倍。薬剤リンパ球刺激試験(フロモックス):陰性。
治療:入院のうえ、補液などの保存的治療で経過観察。
転帰:発熱、皮疹と肝機能障害等は改善し、10日程で退院した。
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麻疹(丘疹紅斑型薬疹との鑑別疾患)

病歴:20歳代、男性。受診5日前より39℃台の発熱を伴う感冒様症状あり、近医を受診し、消炎鎮痛剤や咳止めなどを内服していたが、皮疹が出現してきたため、受診。
診察:全身に軽度浸潤のある小紅斑が多発している。体温:40.1℃。眼球結膜充血、頬粘膜にコプリック斑あり。頚部リンパ節腫大あり。咳を認める。
診断のためのテストとその結果:末梢血・一般生化学検査では特記すべき異常所見なし。麻疹IgM(EIA):11.0。
治療:入院のうえ、補液など中心に、安静とした。
転帰:数日で解熱傾向を示し、皮疹も約1週間で軽度の色素沈着を残し消退した。
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風疹(丘疹紅斑型薬疹との鑑別疾患)

病歴:50歳代、男性。受診2日前より39℃台の発熱を伴い全身に皮疹が出現してきた。
診察:全身に小紅斑が多発している。体温:37.1℃。眼球結膜充血、口蓋に出血斑あり。
診断のためのテストとその結果:末梢血・一般生化学検査では特記すべき異常所見なし。CRP:1.3 mg/dL。風疹IgM(EIA):2.58。
治療:自宅、安静とした。
転帰:皮疹は数日で消退した。
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診断と治療のアルゴリズム

薬剤摂取中、全身に細かい紅斑が出現した場合、丘疹紅斑型薬疹とウイルス感染に伴う発疹との鑑別が必要である。薬剤摂取歴と皮疹出現時期、身体所見、またウイルス抗体価などを参考にする。薬疹の可能性があれば原因と思われる薬剤を中止し、治療する。最終的には原因薬剤評価検査を行うことが望ましい。
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サラゾスルファピリジンによる丘疹紅斑型薬疹

病歴:40歳代、男性。潰瘍性大腸炎のためサラゾスルファピリジンの内服を開始。8日目に発熱と全身に皮疹が出現したため、受診。
診察:全身に数mm~1 cm大ほどの小紅斑が多発、癒合している。軽度の痒みあり。体温:38.4℃。眼球結膜充血なし。口腔内に粘膜疹なし。
診断のためのテストとその結果:末梢血・一般生化学検査に異常所見なし。薬剤リンパ球刺激試験:サラゾスルファピリジンのSI値は4.6と陽性(>1.8)。
治療:高熱のため入院とした。サラゾスルファピリジンを中止のうえ、抗ヒスタミン薬とステロイドの外用にて経過を見た。
転帰:数日で解熱し、紅斑も次第に淡い色素沈着となり、1週間で退院した。
コメント:発熱があるため、ステロイド内服を投与することもしばしばあるが、この症例では、ステロイド内服を使用せずに治療した。
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