ケースの説明
病歴:10歳代男性、2週間前から生じた紅斑性発疹を主訴に受診。
診察:1カ月前、上気道感染症状があったが、無治療で様子をみたところ軽快した。2週間前から、体幹に紅斑性発疹が生じてきた。痒みはない。胸腹部と背部、および両上腕と大腿の近位側に、左右対称性に小紅斑がみられる。紅斑は楕円形で、長軸は割線方向に沿っている。紅斑の上に細かい鱗屑をつけている。この症例ではherald patchはみられなかった。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から診断。採血検査でCBC、一般生化学はすべて正常範囲内であった。
治療:ステロイド外用薬と抗アレルギー薬の外用で治療を開始した。1カ月後、紅斑は消退傾向を示した。
転帰:さらに1カ月後には紅斑は完全に消退した。
コメント:ジベルばら色粃糠疹は、体幹主体に急速に紅斑を生じる。次いで、この紅斑上に鱗屑をつける。鱗屑は、よく見ると紅斑の辺縁からやや内側の部位で環状を呈している。この紅斑は1~2カ月の経過で消退する。この症例はherald patchを認めなかった。
写真 初診時 右側腹部に多発する紅斑。紅斑は細かい鱗屑をつけ、長軸は割線方向を向く。割線方向配列は胸腹部中央や背部ではわかりにくい。側腹部や下腹部で明瞭である。