図1 顔面に生じた日光角化症
表面に角化性鱗屑を伴った紅斑局面を認める。
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図2 厚い角化を付着した日光角化症
診
察:
角化物の基部(底部)やその周囲に紅斑を認める。
診断のためのテストとその結果、治療:
診断を兼ねて切除し、病理組織検査で診断された。
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図3 多発する日光角化症
病 歴:
90歳代女性。初診の数年前から顔面に角化性鱗屑を伴う紅斑、また色素斑が多発してきた。
診 察:
顔面に不整型の鱗屑を伴う紅斑と色素斑が多発し、右頬部には角化性鱗屑が顕著な病変を認めた。
診断のためのテストとその結果:
生検で右頬部病変は日光角化症と診断した。色素斑はダーモスコピーでは脂漏性角化症と診断した。
治 療:
右頬部に対してはSCCへの進展が否定できなかったため外科的切除を行った。その他の日光角化症を疑う病変に関しては凍結療法を行った。
転 帰:
日光角化症が多発し脂漏性角化症と混在しているfield cancerizationの状態である。個々の皮疹を治療していくことは困難であり、不顕性の皮疹からの新生を防ぐ意味からも、可能であれば皮疹の出現領域全体を治療できる治療法(field treatment)を選択することが望ましい。
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図4 日光口唇炎
診
察:
赤唇の柔軟性が低下し、赤唇縁が不明瞭となる。びらん、痂皮、萎縮、乾燥などを伴うことが多い。
診断のためのテストとその結果:
他の原因による口唇炎と鑑別するために生検を行い、病理組織検査で診断する。
治 療:
図4の2例は外科的切除で治療された。日光口唇炎では他に5-FU軟膏外用や炭酸ガスレーザー照射などが行われる。有棘細胞癌が否定できれば、遮光を行いながら経過を観察することも選択肢の1つとなり得る。口唇はImiquimod外用療法の適応外である。
転 帰:
下口唇に生じることが多い。有棘細胞癌への進展に注意が必要である。
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図5 鑑別疾患:脂漏性角化症
病
歴:
50歳代男性。顔面に初診の約10前から褐色の色素斑が多発してきた。数年前から一部の色素斑に扁平隆起を認めるようになった。
診
察:
視診で角化性、扁平隆起性の褐色腫瘤が多発していた。
診断のためのテストとその結果:
視診、触診とダーモスコピーで脂漏性角化症と診断した。
治
療:
液体窒素による凍結療法で加療した。
転
帰:
2~3回の治療で軽快した。治療後の色素沈着の軽減のためにサンスクリーン剤による遮光を指導した。
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図6 鑑別疾患:日光角化症に生じた有棘細胞癌
病
歴:
90歳代男性。以前から禿頭部に角化性鱗屑を伴う紅斑局面を認めていた。初診の数カ月前から局面内に腫瘤、潰瘍が生じ徐々に増大してきた。
診
察:
頭頂部に痂疲を伴う不整形の紅斑局面、局面内に潰瘍を伴う紅色腫瘤を認めた。
診断のためのテストとその結果:
生検病理組織像で腫瘤部を有棘細胞癌、周囲の紅斑を日光角化症と診断した。
治
療:
腫瘍と周囲の紅斑から5 mm離して切除、病理組織検査で断端陰性を確認して二期的に植皮を行った。
転
帰:
局所リンパ節転移や遠隔転移の出現に注意してフォローアップしている。
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図7 日光角化症から生じた有棘細胞癌
左頬部に中央に潰瘍を呈する腫瘤が存在し、周囲に紅斑(日光角化症)や色素斑(日光黒子、脂漏性角化症)が散在している。
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図8 日光角化症:顔面の境界不明瞭例
病 歴:
80歳代女性。左顔面に初診の数年前から紅斑~紅褐色斑が生じてきた。
診 察:
左顔面に表面が角化し、一部びらんを伴う境界不明瞭な不整型紅斑を複数認める。紅斑辺縁には色素沈着を伴う。
診断のためのテストとその結果:
皮膚生検にて日光角化症と診断した。
治 療:
field treatmentとして左顔面にImiquimod外用を2コース行った。
転 帰:
病変は消失し、色素脱失を認める。
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図9 日光角化症のダーモスコピー所見
顔面に生じた日光角化症のダーモスコピー像。
strawberry patternがみられる。
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図10 日光角化症の典型的病理組織像
表皮の下層を主体に異型角化細胞が配列の乱れた状態で増殖し、真皮方向へ蕾状に増殖を示すこともある。角層は不全角化を示すため、淡紅色を呈する。真皮上層には炎症細胞(リンパ球)浸潤と、淡青紫色無構造の日光弾性線維症がみられる。
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図11 日光角化症の外科的切除例
病 歴:
90歳代男性。初診の8カ月前に右顔面に紅斑局面を自覚した。近医で冷凍凝固を複数回受けるも、扁平隆起性紅色腫瘤を形成した。
診 察:
右側頭下部に表面にびらん、痂疲を伴う扁平隆起性紅色腫瘤を認めた。
診断のためのテストとその結果:
生検で右側頭下部病変は日光角化症と診断した。
治 療:
SCCへの進展が否定できなかったため外科的切除を行った。
転 帰:
病理では異型角化細胞が附属器の上皮内を深部方向に進展していたものの、真皮間質への浸潤はみられなかった。
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図12 日光角化症のImiquimod治療例
病 歴:
80歳代女性。初診の2年前に外鼻に紅斑局面を自覚した。
診 察:
鼻背~右側壁にかけて表面に角化性鱗屑を伴う境界不明瞭な紅斑局面を認めた。
診断のためのテストとその結果:
臨床所見とダーモスコピー所見から日光角化症と診断した。
治 療:
lesion treatmentとして外鼻にImiquimod外用を2コース行った。
転 帰:
病変は消失し、初診から1年再発を認めていない。
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