扁平母斑(単発型):大腿部の褐色斑
病 歴
:1歳、女児。出生時より存在する左下腿部の褐色斑
診 察
:左下腿に境界明瞭で均一な褐色斑がある。辺縁はやや不整。
治 療
:単発であり、特に治療は要さない。
コメント
:露出部のため、紫外線曝露により成長と共に色調が濃くなる可能性がある。
出典
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扁平母斑(カフェオレ斑、多発型):腰背部の多数の褐色斑
病 歴
:6カ月、女児。出生時より全身に多数の褐色斑がみられた。
診 察
:全身に5mm程度から数cmの境界明瞭な褐色斑が多数散在性に存在した。6カ月のため、まだ診断基準を満たしていないがNF1が強く疑われる。NF1の診断基準の1つである虹彩小結節は3歳頃、神経線維腫は10歳頃に出現する。
家族歴
:神経線維腫症I型の家族歴はなかった。
治 療
:NFのカフェオレ斑に対しては、レーザー治療は無効。
転 帰
:定期的な経過観察を行っている。
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扁平母斑(単発型):背部の褐色斑
病 歴
:8カ月、女児。出生時より存在する左前腕の褐色斑
診 察
:左前腕に不整形の褐色斑がみられる。辺縁は一部不連続な点状の斑が集簇している。
治 療
:単発であり、特に治療は要さないが、両親希望により整容目的にてレーザー治療を施行。
コメント
:この例のように、色調が均一ではなく、周辺が斑状となっている扁平母斑もある。
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点状集簇性母斑(Speckled lentiginous nevus)(欧米では扁平母斑[Nevus spilus]と呼ばれる)
病歴:
11歳、女児。出生時より左大腿に淡茶色斑あり。成長とともに全体の色調が濃くなり、内部に色調濃い点状の褐色斑が出現した。
診断:
左大腿に大型の地図状不整型の色調の均一な茶色の斑があり、その内部に褐色から黒褐色の点状の大小不同の小斑が散在している。
治療:
特に治療を必要としないが、本人希望により整容目的にてレーザー治療を施行。
コメント:
海外文献でのNevus Spilusは本症例のような臨床像を示すものをいう。
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Becker母斑
病
歴:
27
歳、男性。思春期頃に左肩に茶色斑があることに気づき、次第に色調が濃くなり、多毛となった。
診
察:
左肩甲骨部から左上腕にかけて、辺縁の境界は一部不明瞭な地図状不整型の褐色斑があり、色素斑部に一致して硬毛を多数伴っている。
診断のためのテストとその結果
:身体の他部位には特に色素斑は認めなかった。
治
療:
なし
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先天性色素性母斑
病 歴:
5カ月、女児。出生時より左頬に淡茶色斑あり。
診 察:
左頬に境界明瞭で、中央がやや褐色調の楕円形の色素斑あり。幼少期は色調が薄いが成長とともに色調が濃くなり黒色から黒褐色調になる。周辺よりやや隆起した局面となり、有毛性となる場合もある。
治 療:
整容目的で根治的には外科的切除となる。
コメント:
乳幼児期は先天性色素性母斑の色調が薄く、淡茶色のことがある。
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