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青色調が目立つ太田母斑

病 歴:20歳代男性、生後間もなく顔面に色素病変が生じ、徐々に拡大し、2歳頃からはあまり変化なく、今に至る。
診 察:左上下眼瞼、左頬部、左眉毛、左こめかみ部にかけて青色調の青褐色斑がみられ、斑内に点状の濃青色斑が混ずる。
診断のためのテストとその結果: 臨床症状から典型的な太田母斑であることがわかる。
治 療: Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:ほぼ色素病変は消失した。
a:レーザー治療前
b:レーザー治療後
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青色調と褐色調の色素斑がみられる太田母斑

病 歴:20歳代女性、生後間もなく右側の眼の周りと額に色素斑が生じ、徐々に目立ってきた。中学生の頃から色調が濃くなり、また頬部にも色素斑が拡大した。
診 察:左こめかみ部と上眼瞼は褐色を帯びた青色斑が存在し、左頬部には点状から斑状の褐色斑が存在する。下眼瞼は青色斑と褐色斑が混じた色調となっている。
診断のためのテストとその結果: 臨床症状から典型的な太田母斑であることがわかる。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:ほぼ色素病変は消失した。
a:レーザー治療前
b:レーザー治療後
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太田母斑患者にみられた眼球メラノーシス

病 歴:30歳代女性、生後間もなく左下眼瞼~頬部にかけて色素斑が生じ、徐々に目立ってきた。また左眼球の蛩膜に境界鮮明な青色斑がみられた。中学生の頃から皮膚の色素斑の色調が濃くなり、また上眼瞼にも色素斑が拡大した。
診 察:左下眼瞼~頬部にかけて褐色がかった青色斑が存在し、上眼瞼にも薄い青褐色斑がみられる。また左眼球の蛩膜に境界鮮明な青色斑がみられる。
診断のためのテストとその結果: 臨床症状から典型的な太田母斑であることがわかる。
治  療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転  帰:ほぼ色素病変は消失したが、眼球メラノーシスは未治療なため、残存している。
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太田母斑患者にみられた口蓋メラノーシス

病 歴:40歳代女性、生後間もなく左頬部に色素斑が生じ、徐々に目立ってきた。また中学生の頃から色素斑の色調が濃くなり、左鼻翼にも色素斑がみられるようになった。
診 察:上口蓋正中の左側に境界鮮明な青紫色斑がみられる。左鼻翼と左頬部に淡い青褐色斑がみられる。
診断のためのテストとその結果:臨床症状から典型的な太田母斑であることがわかる。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:皮膚にみられる色素病変は消失したが、口蓋メラノーシスは未治療なため、残存している。
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後天性両側性太田母斑様色素斑(堀母斑)または顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)

病 歴:40歳代女性、30歳代頃から両側の額に褐色斑が生じ、ほぼ同じ頃に両側の下眼瞼にも色素斑がみられるようになった。
診 察:両額に不規則地図状のやや青みがかかった比較的境界鮮明な褐色斑が存在し、両下眼瞼は青紫調の色素斑がみられる。
診断のためのテストとその結果:肝斑(図[ID0608])と紛らわしいが、皮疹は肝斑ほど境界鮮明でなく、肝斑では皮疹がみられない下眼瞼にも色素病変がみられる。さらに色調は完全な褐色ではなく、特に下眼瞼では青紫色調を呈していることから顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)、あるいは後天性両側性太田母斑様色素斑(図[ID0616])であることがわかる。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:色素病変はほぼ消失した。
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symmetrical type of nevus of Ota(パラパラ型太田母斑)

病 歴:20歳代女性、中学生の頃から両頬部に点状のソバカス様色素斑が生ずるようになり、消失しないため来院。
診 察:両頬部に点状から斑状のやや青みがかかった比較的境界鮮明な褐色斑が散在していた。
診断のためのテストとその結果:ソバカスと間違われやすいが、ソバカス様の老人性色素斑(図[ID0613])より境界がやや不鮮明で、皮疹はほぼ両頬部に限局している。色調もやや灰紫色調を帯びた濃い褐色である。ソバカス様の老人性色素斑も発症年齢は思春期であるが、個々の皮疹は小型で、顔面の広範囲に発症し、境界も鮮明で、色調も明るい褐色である。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計4回照射した。
転 帰:色素病変はほぼ消失した。
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後天性両側性太田母斑様色素斑(堀母斑)またはsymmetrical type of nevus of Ota(パラパラ型太田母斑)

病 歴:40歳代女性、20歳頃から両頬部にソバカス様の褐色斑が生ずるようになり、30歳頃には鼻根部にも褐色斑が生ずるようになったため来院。
診 察:両頬部に点状から斑状のやや境界不鮮明な褐色斑が散在し、鼻根部では左右対照性に、境界不鮮明な褐色斑が存在していた。
診断のためのテストとその結果:ソバカス様の老人性色素斑(図[ID0613])と間違われやすいが、境界がやや不鮮明で、やや灰紫色調を帯び、ほぼ両頬部に限局している。さらに鼻根部にも境界やや不鮮明な褐色斑がみられ、境界が鮮明である老人性色素斑とは異なる。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:色素病変はほぼ消失した。
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肝斑

病 歴:40歳代女性、30歳頃から両頬部にシミが生ずるようになり、なかなか消失しないため来院。
診 察:両頬部から上口唇、眉毛正中部に褐色斑が存在し、両鼻根部にも淡い褐色斑がみられる。頬部の皮疹の境界は鮮明で、上下眼瞼を色素斑は避けている。
診断のためのテストとその結果:後天性両側性太田母斑様色素斑と間違われやすいが、境界が鮮明な褐色斑で上下眼瞼を皮疹が避けていることから肝斑であることがわかる。
治 療:ハイドロキノンの外用と紫外線曝露を避けるように指導した。
転 帰:ハイドロキノン外用2カ月でかなり色調の改善が認められたが、紫外線の防御をきちんと行わないと、再発がみられる。
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infraorbital ring-shaped melanosis(目の下の隈)または後天性両側性太田母斑様色素斑

病 歴:40歳代女性、20歳頃から両下眼瞼の隈が濃くなり、紫色調を帯びるようになった。生理前や疲れたときに濃くなるようだという。また30歳頃から両側のこめかみ部にも境界やや不鮮明な褐色斑が生ずるようになったため来院。
診 察:両側のこめかみ部に境界やや不鮮明な褐色斑が存在し、両下眼瞼から鼻根部にかけて左右対照性に、灰紫色調の境界不鮮明な褐色斑が存在していた。
診断のためのテストとその結果:肝斑と間違われやすいが、境界がやや不鮮明で、やや灰紫色調を帯び、肝斑ではみられない下眼瞼に色素斑が存在する。また鼻根部にも境界やや不鮮明な淡い褐色斑がみられ、境界が鮮明である老人性色素斑とは異なる。念のため皮膚生検をしたところ真皮にメラノサイトが認められ、顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)(図[ID0616])であることがわかった。
治 療:下眼瞼の色素斑(目の下の隈)に対し、Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:下眼瞼の色素病変はほぼ消失した。鼻根部の皮疹は未治療なため、残存している。
a:レーザー治療前
b:レーザー治療後
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色素性皮膚病変の治療に有効なQスイッチレーザーの比較

  1. 使用するレーザーのパルス幅は50ナノ秒より短くなければならない。今のところ瘢痕を残すことなく色素病変を選択的に破壊できるレーザーとして、現在3種類のQスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト、Nd:YAG)が市販されている。太田母斑の治療にはこれらのQスイッチレーザーでなければ治療はできない。
  1. Qスイッチアレキサンドライトレーザーは、波長755 nmであるのでメラニンへの吸収は少し落ちるものの、ルビーレーザーよりもやや深部に光が到達する。しかしこのレーザーのパルス幅は最初100ナノ秒であったため、瘢痕形成を生ずる可能性が高かった。しかしその後パルス幅が50ナノ秒のものに変更されたので、Qスイッチルビーレーザーに近づいた。
  1. QスイッチNd:YAGレーザーの波長は1,064 nm と近赤外線である。1,064 nmの波長の光はルビーレーザーよりも深部に到達できるが、メラニンへの吸収効率が落ちるので、照射エネルギーを上げざるを得ない。しかしパルス幅は他のQスイッチレーザーより短いため、そのピークパワーが高い。そのため強い衝撃波が生じ、レーザー照射時に皮下出血を引き起こしやすい。また現在市販されているQスイッチNd:YAGレーザーは、パルス間隔が非常に短いので、同じ部位を照射し続けると熱がターゲットに蓄積し、連続照射していることと同じことになるので、瘢痕形成を来さないためにはスキャナーを使用し、同一部位の連続照射を避ける必要がある。
  1. 最近Qスイッチレーザーよりパルス幅が1桁短いパルス幅のレーザーがピコ秒レーザーとして発売されているが、パルス幅はサブナノ秒で、3桁も短い本当のピコ秒ではない。いずれにせよパルス幅は50ナノ秒より短いので、太田母斑の治療に使用できる。ただしパルス幅はQスイッチレーザーより短いため衝撃波が強く、レーザー照射時に皮下出血を起こしやすい。また機械の値段もQスイッチレーザーより高く、故障しやすいので、ピコ秒レーザーに買い替える必要はない
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太田母斑に対してQスイッチレーザー治療を行った場合の治療経過

1)レーザー照射直後の経過
色素沈着症にQスイッチレーザーを照射するとゴムで弾かれたような痛みを生ずる。また同時に照射部位に一致して皮膚色が白くなる(immediate whitening phenomenon、IWP)が、IWPは15-30分ほどで消失する。ただしQスイッチアレキサンドライトレーザーのようにパルス幅が長いものでは、症例によってIWPが認められないこともある。
レーザー照射後1~2分して、照射野からその辺縁にかけて蕁麻疹様の浮腫性紅斑が生ずるが、数時間で蕁麻疹様の浮腫性紅斑は消失する。また血管の脆い老人の皮膚では特に眼の周りに皮下出血を来すことがあるが、皮下出血の消退には2~3週間ほどかかる。これらの浮腫や皮下出血はレーザー照射による衝撃波のためで、QスイッチNd:YAGレーザーやピコ秒レーザーでは頻度が高い。またレーザー照射直後、特にbasal pigmentationが強い皮膚病変では、びらんがみられたり、レーザー照射翌日に小水疱がみられることがある。
2)その後の経過
レーザー照射後、びらんや小水疱が生じた場合は、数日以内にレーザー照射野に黒褐色の痂皮・落屑が付着するが、その痂皮・落屑は通常1週間から10日ほどで剝がれ落ちることが多い。痂皮・落屑が剝がれると、表皮に存在するメラニンが一時的に消失するため、熱傷後の紅斑のようになる。しかしその後大部分の症例で、残存した表皮あるいは毛包に存在するメラノサイトが活性化し、メラニンを産生するようになるため、炎症後の色素沈着が認められることが多い。この色素沈着は照射後約1カ月でピークに達するが、通常2~3カ月で自然に消失する。そのため色調の改善は炎症後色素沈着が消失してから認められることが多い。
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1: Basics of laser application to dermatology.
著者: Shinichi Watanabe
雑誌名: Arch Dermatol Res. 2008 Apr;300 Suppl 1:S21-30. doi: 10.1007/s00403-007-0801-6.
Abstract/Text: Q-switched lasers, with a pulse of light sufficiently short (nanosecond-domain) is demonstrated to be useful for treatment of dermal melanocytosis, blue-black tattoos, melanocytic nevi, and solar lentigines, although transient postinflammatory hyperpigmentation usually developed in the irradiated area during the following 3-4 months. If the postinflammatory pigmentation does not disappear after 1 year, incontinentia pigmenti histologica is a possibility. However, the pigment in café-au-lait macules responds variably to treatment. Melasma shows no response to laser. Therefore, accurate diagnosis is the key to success in the laser treatment. Laser treatment of vascular lesions is based on selective absorption by blood with thermal injury to the vessel wall. Therefore, the pulse-width of the vascular-specific lasers must be longer (microsecond-domain) than that of pigment-specific lasers. Because the wavelength of the lasers for vascular lesions, however, cannot penetrate into the deep areas of the skin, not all vascular lesions can be treated. Laser or light-assisted hair removal offers an efficient way to permanently reduce excessive hair growth. Skin rejuvenation is possible by laser or pulsed light with millisecond-domain pulse-width. Because these light sources, however, cause severe damage to the skin surface, the exposure energy must be reduced and the treatment must be combined with cooling devices. Therefore, the clinical results of light-assisted skin rejuvenation are not prominent. In conclusion, the pulse-width and wavelength of the laser light are critical parameters for laser treatments. If we obtain information about these parameters for specific lasers, we can expect the results of the treatment to be positive.
Arch Dermatol Res. 2008 Apr;300 Suppl 1:S21-30. doi: 10.1007/s00403-00...

カフェオレ斑様太田母斑

病 歴:20歳代女性、小学校低学年に左下眼瞼に色素病変が生じ、数年で濃くなりその後は変化がない。
診 察:左下眼瞼から左鼻根部にかけて境界がやや不鮮明でやや青色調を帯びた濃い褐色斑が存在する。
診断のためのテストとその結果:褐色斑であるため、カフェオレ斑(日本では扁平母斑と呼ばれる)と紛らわしいが、発症年齢が思春期であることから、カフェオレ斑は考えにくい。またカフェオレ斑は境界が鮮明であるのに対し、太田母斑は真皮の色素沈着であるので、境界は不鮮明で、境界の色調には漸次的移行がみられる。さらにQスイッチルビーレーザー治療の効果から真皮メラノサイトーシスであることがわかる。
治 療: Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計4回照射した。
転 帰:ほぼ色素病変は消失した。
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ソバカス様日光色素斑

病 歴:18歳女性、7~8歳頃から顔にソバカス様のしみが生じ、年齢とともに徐々に増数拡大してきたため、来院。スポーツをしているため日焼けする機会が多い。
診 察:顔面全体、特に日焼けをしやすい部位に直径数ミリ大の点状の境界鮮明な褐色斑が多発、散在している。形は不規則地図状で、金平糖様のものもある。
診断のためのテストとその結果:境界鮮明な褐色斑で大きさ・形も種々さまざまで、また色調の濃淡もさまざまであることから、老人性色素斑である可能性が高い。しかし発症が小児期であることからパラパラ型太田母斑(symmetrical type of nevus of Ota)との鑑別が必要である。パラパラ型太田母斑はやや灰紫色を帯びている褐色斑であり、色素斑はほぼ両頬部に限局している。一方ソバカス様日光色素斑は発症年齢が若いものの、日焼けを受ける顔面に広範囲に存在することからパラパラ型太田母斑とは異なる。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を1回行った。
転帰:レーザー照射を行った色素斑はすべて消失した。ただしレーザー照射1カ月後に一過性の炎症後色素沈着がみられた部位も存在した。
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顔面真皮メラノサイトーシス(facial dermal melanocytosis:FDM)の分類

太田母斑は、乳幼児に生ずる典型的な太田母斑以外に、種々の病型の太田母斑が存在する。海外では太田母斑は母斑ではなく色素異常症に分類されているので、これらの病型を顔面に生ずる真皮メラノサイトーシス(facial dermal melanocytosis: FDM)と一まとめにしたほうがよい。FDMのなかには古典的太田母斑(classical nevus of Ota)(図[ID0601],図[ID0602],図[ID0604],図[ID0603])以外に、symmetrical type of nevus of Ota(パラパラ型太田母斑)(図[ID0607],図[ID0606])、acquired, bilateral nevus of Ota-like macules(Hori’s nevus)(図[ID0605],図[ID0607],図[ID0609],図[ID0616],図[ID0617])、nevus fusco-caeruleus zygomaticus(Sun’s nevus)(図[ID0607],図[ID0606])、periorbital ring-shaped melanosis(panda-like nevus of Ota)(図[ID0615],図[ID0618])が存在する。さらにdermal melanocyteが表皮直下に限局して存在すると、比較的境界が鮮明な褐色斑(図[ID0612])となり、カフェオレ斑や日本でいうところの扁平母斑と紛らわしいものも存在することから、これを一病型として古典的太田母斑から独立させ、カフェオレ斑様太田母斑(café-au-lait macules-like nevus of Ota)とした。
 肥田野がいうsymmetrical type of nevus of Otaとnevus fusco-caeruleus zygomaticusは日本語で発表したか英語で発表したかの違いがあるものの、家族歴の存在や臨床像で異なるところはなく、同一疾患と考えられ、ソバカス様太田母斑(ephelides-like nevus of Ota)とした。Acquired, bilateral nevus of Ota-like maculesはそれまで日本では両側性太田母斑とかsymmetrical variety of bilateral nevus of Otaといわれていたものと同じであるが、肝斑と誤診されていることが多い点で、独立して扱っている。またacquired, bilateral nevus of Ota-like maculesとsymmetrical type of nevus of Otaをまとめてaquired dermal melanocytosis(ADM)と呼ぶことがあるが、日本以外の国ではこの病名は用いられていない。またinfraorbital ring-shaped melanosis(目の下の隈)(図[ID0609],図[ID0605])は古典的太田母斑ばかりでなく、periorbital ring-shaped melanosis(パンダ様太田母斑)(図[ID0618])の部分症状、あるいは単独でみられることがある。
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1: Watanabe S: Facial dermal melanocytosis: Nevus of Ota and its related dermal melanocytosis, Asian skin and skin diseases, special book of the 22nd World Congress of Dermatology, Medrang Inc, Seoul, p290, 2011, Table 1.

Periorbital ring-shaped melanosis(パンダ様太田母斑)または後天性両側性太田母斑様色素斑

病 歴:40歳代女性、20歳代から目の下の隈が目立つようになり、徐々に目の周りにも拡大したため、来院。
診 察:目の周りに比較的境界鮮明な褐色斑が存在し、色調はやや青みがかった濃い褐色である。下眼瞼の皮疹は目の下の隈ともとれる。その他、鼻根部や頬部の外側に類円形の境界鮮明な褐色斑が存在し、これは老人性色素斑である。
診断のためのテストとその結果:肝斑は上下眼瞼を避けること、老人性色素斑は境界が鮮明であることから、上下眼瞼の色素斑は真皮メラノサイトーシスであることがわかる。念のために行った皮膚生検からも真皮メラノサイトーシスであることが確認された。
治 療:目の周りの色素斑にのみ、Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計5回照射した。
転 帰:レーザー照射した色素斑のみが消失したが、レーザー治療未照射の老人性色素斑は残存している。
a:レーザー治療前
b:レーザー治療後
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後天性両側性太田母斑様色素斑(堀母斑)または顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)

病 歴:30歳代女性、20歳頃から両頬部にソバカス様のシミが生じ、徐々に濃くなり大きさも大きくなった。最近は鼻根部にも薄いしみが生ずるようになったため、来院。
診 察:両側の頬部からこめかみ、上眼瞼にかけて比較的境界鮮明な点状から斑状の褐色斑が散在し、鼻根部にも左右対照性に、淡い境界不鮮明な褐色斑が存在していた。また目の下の隈も認められた。
診断のためのテストとその結果:ソバカス様の老人性色素斑や肝斑と間違われやすいが、境界がやや不鮮明で、やや灰紫色調を帯び、ほぼ両頬部に限局していることから鑑別は可能である。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計6回照射した。ただし鼻根部の色素斑は色調が薄く治療を希望しなかったため、レーザー治療を行っていない。
転 帰:治療を希望した部位の色素病変はほぼ消失した。
a:レーザー治療前
b:レーザー治療後
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後天性両側性太田母斑様色素斑(堀母斑)または顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)

病 歴:50歳代男性、40歳頃から両額にしみが生じ、徐々に目立つようになったため、来院。
診 察:両側の額にほぼ左右対称性に境界不鮮明な灰紫色調を帯びた地図状でややスレート状の褐色斑が存在していた。
診断のためのテストとその結果:色素斑が灰紫色調を帯びた褐色斑であることから、後天性両側性太田母斑様色素斑であることがわかる。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計4回照射した。
転 帰:色素病変はほぼ消失した。 
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Periorbital ring-shaped melanosis(パンダ様太田母斑)

病 歴:40歳代男性、中学生頃から両下眼瞼の隈が濃くなり、徐々に目の周りに隈が目立つようになった。
診 察:両側の目の周りの皮膚に境界不鮮明な灰紫色調を帯びた褐色斑が存在していた。
診断のためのテストとその結果:目の周りがパンダ様に色素斑が生ずる太田母斑の報告がある。この症例も太田母斑を疑い皮膚生検をしたところ、真皮にメラノサイトが認められた。
治 療:Qスイッチルビーレーザー照射を3~4カ月おきに計6回照射した。
転 帰:色素病変はほぼ消失した。
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顔面に生じた扁平母斑

病 歴:生後間もなくから右頬部に色素班が生じ、色素斑内に点状の黑褐色斑が生ずるようになったという。
診 断:褐色の色素斑内に点状の黑褐色斑や丘疹が存在することから、海外でいう扁平母斑に相当する。
治 療:褐色斑内の点状の黒褐色斑は色素性母斑なので、Qスイッチルビーレーザー照射数回で消失した。褐色斑の方はカフェオレ叛と同様にレーザー治療が効きにくいが、この症例はQスイッチルビーレーザー照射1回で消失した。
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炎症後色素沈着(おそらく固定薬疹)

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固定薬疹

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