病歴:30代男性、胸部の原因不明の隆起してきた腫瘤を主訴に来院。
診察:胸部中央に、直径2cmほどの弾性硬の赤色腫瘤を認めた。また周囲の毛孔にも発赤や軽度隆起を認めた(図a)。
診断のためのテストとその結果:隆起性皮膚線維肉腫なども鑑別診断する必要があるが、周囲の毛孔に一致した同様の腫瘤の存在から、毛のう炎や痤瘡の炎症反応によって、線維化が進行したいわゆるケロイドの病態であると診断した。
治療:比較的小さいので、まず副腎皮質ホルモン剤であるトリアムシノロン(5mg)の病変内注射を月に1回行った。3回注射したところ、隆起が改善したため、Nd:YAGレーザーを月に1回、5回使用したところ発赤も改善した(図b)。
転帰:18カ月が経過する現在、再発を認めていない。