Now processing ... 
 Now searching ... 
 Now loading ... 

治療アルゴリズム・専門施設での加療

・ケロイド・肥厚性瘢痕の症状や部位を適切に判断し、上記の治療を複合的に用いて治療する。
・患者に肉体労働やスポーツなどの生活習慣上の悪化因子があれば、改善を提案するとよい。
出典
img
1: 瘢痕・ケロイド治療研究会:ケロイド・肥厚性瘢痕 診断・治療指針2018. P21,表2. 全日本病院出版会、2018年

胸部特発性ケロイドと腹部の術後ケロイド

病歴:60歳男性、胸部や腹部の日々増大する皮膚病変を主訴に来院。
診察:胸部と腹部の皮膚に、隆起した赤色弾性硬の皮膚病変を認めた(図a)。
診断のためのテストとその結果:悪性皮膚・軟部腫瘍を疑う潰瘍などは存在せず、術後部位だけでなく、前胸部にも特発性の同様の病変を認めたため、ケロイドと診断した。
治療:病変は副腎皮質ホルモン剤の注射などで改善させうる大きさではなく、単純縫縮できる幅であったため、手術および術後放射線治療を行った。手術にて全摘出し、縫縮した後、翌日から15Gy/3分割/3日間の電子線照射を行った。術後2週間で抜糸し、その後はシリコーンジェルシートによる創の安静、固定を行った(図b)。
転帰:術後6年が経過するが、再発は認めない。
出典
img
1: 著者提供

右耳垂ピアス後ケロイド

病歴:20代女性、ピアス穴を開けてから、徐々に腫瘤が増大した。
診察:右耳垂に赤色弾性硬の2cm大の腫瘤を認めた(図a)。
診断のためのテストとその結果:皮膚悪性腫瘍を疑う潰瘍や毛細血管の増生、粉瘤や腺種を疑う柔らかさなどの所見がなかったため、ピアス後のケロイドと診断した。
治療:副腎皮質ホルモン剤で軽快するとは思えない大きさであったため、切除および術後放射線治療を選択した。手術にて全摘出し、単純縫縮した後、翌日から10Gy/2分割/2日間の電子線照射を行った(図b)。術後1週間で抜糸し、その後夜間は枕でこすれる物理的刺激を予防するために、サージカルテープによる創の安静、固定を行った。
転帰:術後2年が経過するが再発していない(図c)。
出典
img
1: 著者提供

整形外科手術後の肥厚性瘢痕

病歴:30代男性、膝関節部の手術後、徐々に赤色の隆起した瘢痕が生じた。
診察:右膝に15cmのやや隆起した、術後の切開線に一致した赤色の瘢痕を認めた(図a)。
診断のためのテストとその結果:皮膚悪性腫瘍を疑うような潰瘍などの所見もなく、周囲に拡大する傾向もないため、ケロイドではなく肥厚性瘢痕と診断した。
治療:手術にて切除し、Z形成術にて縫合した。術後はサージカルテープによる固定を行った。術後半年で縦方向の瘢痕はやや肥厚性瘢痕となっているが、横方向の瘢痕はほぼ肉眼で見えない程度になった(図b)。術後1年が経過するころには、縦の瘢痕の色調も退色した(図c)。
転帰:術後5年が経過するが、再発を認めていない(図d)。
出典
img
1: 小川令:肥厚性瘢痕に対する治療方針とわれわれの新しい取り組み. 瘢痕・ケロイド治療ジャーナル 2011; 5: 32-36

前胸部の特発性ケロイド

病歴:30代男性、胸部の原因不明の隆起してきた腫瘤を主訴に来院。
診察:胸部中央に、直径2cmほどの弾性硬の赤色腫瘤を認めた。また周囲の毛孔にも発赤や軽度隆起を認めた(図a)。
診断のためのテストとその結果:隆起性皮膚線維肉腫なども鑑別診断する必要があるが、周囲の毛孔に一致した同様の腫瘤の存在から、毛のう炎や痤瘡の炎症反応によって、線維化が進行したいわゆるケロイドの病態であると診断した。
治療:比較的小さいので、まず副腎皮質ホルモン剤であるトリアムシノロン(5mg)の病変内注射を月に1回行った。3回注射したところ、隆起が改善したため、Nd:YAGレーザーを月に1回、5回使用したところ発赤も改善した(図b)。
転帰:18カ月が経過する現在、再発を認めていない。
出典
img
1: 著者提供

熱傷後肥厚性瘢痕

熱傷受傷後3カ月の発赤を伴った臍部の肥厚性瘢痕
出典
img
1: 著者提供

帝王切開後のケロイド

帝王切開後から徐々に増大しているケロイド
出典
img
1: 著者提供

胸部のケロイド

胸部の毛のう炎や痤瘡から増大したと考えられるケロイド
出典
img
1: 著者提供

隆起性皮膚線維肉腫

ケロイドと外観は似ている悪性腫瘍の一つである隆起性皮膚線維肉腫の鑑別診断は大切である。
出典
img
1: 著者提供

皮膚線維腫

ケロイドと外観は似ているが、発赤を伴わないものは、良性の皮膚線維腫である可能性がある。
出典
img
1: 著者提供

熱傷後の肥厚性瘢痕

ヒルドイドソフト軟膏およびリザベン内服を行い、2年で色調および隆起が改善した。
a:初診時、左大腿に広範な肥厚性瘢痕を認める。掻痒と疼痛を認めていた。発赤があることは、毛細血管が増殖していることを示しており、炎症が継続して存在していることがわかる。
b:炎症が消失し、成熟瘢痕となった。この時点で掻痒や疼痛はほとんど改善した。
出典
img
1: 著者提供

手術を選択した肥厚性瘢痕

ヒルドイドソフト軟膏およびリザベン内服を行ったが、改善が乏しかったため、植皮術を施行して完治した。
出典
img
1: 著者提供

上腕の肥厚性瘢痕

上腕の肥厚性瘢痕(図a)に対して、まずステロイド注射5mgを行い、自宅にてドレニゾンテープの1日1回の張り替えを指示した。病院ではNd:YAGレーザーの照射を月に1回行ったところ、半年で隆起や発赤が改善した(図b)。
出典
img
1: 著者提供

治療アルゴリズム・一般施設での加療

・ケロイド・肥厚性瘢痕の診断をした上で、小児に対しては、副腎皮質ホルモンテープ剤の治療を、成人に対しては、上記の治療を複合的に用いるとよい。
・傷の初期治療から行っている場合は、いかなる傷でもケロイド・肥厚性瘢痕が発生する可能性を考え、早期に上記の手段を用いて複合的に予防を行うことが大切である。
・患者に肉体労働やスポーツなどの生活習慣上の悪化因子があれば、改善を提案するとよい。
・できるだけ疼痛を与えない治療から開始する。
出典
img
1: 瘢痕・ケロイド治療研究会:ケロイド・肥厚性瘢痕 診断・治療指針2018. p19,表1. 全日本病院出版会、2018年

治療アルゴリズム・一般施設での加療<小児>

20歳未満を小児の目安とする。
出典
img
1: 瘢痕・ケロイド治療研究会:ケロイド・肥厚性瘢痕 診断・治療指針2018. P20,図11. 全日本病院出版会、2018年

治療アルゴリズム・専門施設での加療

・ケロイド・肥厚性瘢痕の症状や部位を適切に判断し、上記の治療を複合的に用いて治療する。
・患者に肉体労働やスポーツなどの生活習慣上の悪化因子があれば、改善を提案するとよい。
出典
img
1: 瘢痕・ケロイド治療研究会:ケロイド・肥厚性瘢痕 診断・治療指針2018. P21,表2. 全日本病院出版会、2018年

胸部特発性ケロイドと腹部の術後ケロイド

病歴:60歳男性、胸部や腹部の日々増大する皮膚病変を主訴に来院。
診察:胸部と腹部の皮膚に、隆起した赤色弾性硬の皮膚病変を認めた(図a)。
診断のためのテストとその結果:悪性皮膚・軟部腫瘍を疑う潰瘍などは存在せず、術後部位だけでなく、前胸部にも特発性の同様の病変を認めたため、ケロイドと診断した。
治療:病変は副腎皮質ホルモン剤の注射などで改善させうる大きさではなく、単純縫縮できる幅であったため、手術および術後放射線治療を行った。手術にて全摘出し、縫縮した後、翌日から15Gy/3分割/3日間の電子線照射を行った。術後2週間で抜糸し、その後はシリコーンジェルシートによる創の安静、固定を行った(図b)。
転帰:術後6年が経過するが、再発は認めない。
出典
img
1: 著者提供