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黄疸の鑑別診断のためのフローチャート

間接型高ビリルビン血症は、溶血性疾患あるいは非抱合型ビリルビンの肝細胞への輸送・摂取障害によって発生する。直接型高ビリルビン血症は、肝細胞障害と胆汁排泄経路の異常に基づく胆汁うっ滞に分かれる。さらに胆汁うっ滞は、肝内胆管の異常による肝内胆汁うっ滞と肝外胆管の機械的閉塞による肝外胆汁うっ滞に分類される。
図[ID0601]1:黄疸の発生メカニズム
表[ID0603]2:黄疸を来す疾患
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1: 著者提供

黄疸の発生メカニズム

ビリルビン代謝のいずれかの過程で異常があると黄疸が発生する。肝細胞に取り入れられたビリルビンは、滑面小胞体でbilirubin UDP-glucuronosyl transferase(UDP-GT, UGT1A1)によりグルクロン酸抱合をうける。この抱合より前の異常では間接型(非抱合型)優位の高ビリルビン血症を示し、抱合後の異常では直接型(抱合型)優位の高ビリルビン血症を示す。Hirschsprung病など便の停滞による腸管循環障害がある場合は、腸内細菌による脱抱合のため非抱合型ビリルビンが増加し、間接型高ビリルビン血症を来す。
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黄疸の鑑別診断のためのフローチャート

間接型高ビリルビン血症は、溶血性疾患あるいは非抱合型ビリルビンの肝細胞への輸送・摂取障害によって発生する。直接型高ビリルビン血症は肝細胞障害と胆汁排泄経路の異常に基づく胆汁うっ滞に分かれる。さらに胆汁うっ滞は肝内胆管の異常による肝内胆汁うっ滞と肝外胆管の機械的閉塞による肝外胆汁うっ滞に分類される。
図[ID0601]1:黄疸の発生メカニズム
表[ID0603]2:黄疸を来す疾患
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1: 著者提供

黄疸を来す疾患

図表([ID0601]、[ID0602])に基づき黄疸を来す主要な疾患を新生児期・乳児期と幼児期以降に分けて示してある。ローマ数字のI~Xは図表([ID0601]、[ID0602])のI~Xに対応している。
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1: 秦堅佐工:小児内科38(増刊号)89,2006

黄疸を鑑別するうえで注意すべき診察および検査のポイント

各疾患の主要な特徴とまず行うべき検査項目について記載してある。
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1: 秦堅佐工:小児科診療68:471,2005

胆道閉鎖症と新生児肝炎の鑑別のポイント

実際の臨床現場においては鑑別困難な症例も多い。生後60日以内に手術を行うことが予後を決定するため、鑑別が難しいときは、試験開腹により組織診断、術中胆道造影などを行い診断することが重要である。
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灰白色便

肝門部空腸吻合術(葛西手術)が施行される前の胆道閉鎖症の乳児における無胆汁便の肉眼所見。
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1: Amarilis Sanchez-Valle MD, Noor Kassira MD, Veronica C.et al:Advances in Pediatrics, 2017-08-01, Volume 64(1), p285-305. Biliary Atresia, Fig.2. Elsevier, 2017

黄色腫

Alagille syndromeにおける難治性症候性胆汁うっ滞症に対する回腸切除術施行例。術前、術後8カ月、術後20カ月における黄色腫の状態を示した写真。
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1: Modi, Biren P.et al:Journal of Pediatric Surgery, Volume 42(5), p800-805. Ileal exclusion for refractory symptomatic cholestasis in Alagille syndrome, Fig.1. Elsevier, 2007

黒色肝と肝細胞内褐色顆粒

肝臓における肉眼所見及び病理組織学的所見。
肝臓の色についてaでは黒く変色しているが、bでは変色は見られない。
ヘマトキシリン・エオジン染色によりcでは胆汁うっ滞(胆汁栓:矢印)が認められ、dでは胆汁うっ滞を伴わない脂肪変性が認められた。
フォンタナ・マッソン染色によりeで肝細胞に黒色メラニン様色素の沈着が認められたが、fでは認められなかった。
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1: Takao Togawa, Tatsuki Mizuochi, Tokio Sugiura, et al:Journal of Pediatrics, 2018-05-01, Volume 196, Pages 161-167. Clinical, Pathologic, and Genetic Features of Neonatal Dubin-Johnson Syndrome: A Multicenter Study in Japan, Figure 1. Elsevier, 2017

Wilson病

Wilson病におけるATPase(ATP7B遺伝子の産物)のモデル。
メンケス病及びWilson病の両ATPaseに保存されるドメインには、金属結合ドメインである1~6の銅結合部位(淡褐色の円柱で示される)、伝達ドメインとATPヒンジ領域(緑色の円柱で示される)が含まれる。機能的に重要な領域でいくつもの突然変異が起こる。ミスセンス変異の一般的な位置(H1069Q、R778L)を示す。
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1: Feldman, Mark, Friedman, Lawrence S., Brandt, Lawrence J.,:Sleisenger and Fordtran's Gastrointestinal and Liver Disease, Tenth Edition. 76. Wilson Disease, FIGURE 76-3. Saunders, 2016

各種胆汁鬱滞症の組織像の違い

胆汁うっ滞性疾患における肝臓の組織学的比較変化
左:進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)、中:アラジール症候群(ALGS)、右:胆道閉鎖症。
肝細胞性変化と胆汁うっ滞性変化の相対的差異が認められる。PFICの肝臓では、コール酸分泌が損傷し胆汁酸誘発性の肝細胞腫脹や巨細胞変性が認められるが、ALGSの肝臓では肝細胞腫脹は軽度であり、胆道閉鎖症患者の肝実質に肉眼的異常は認められない。
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1: Wyllie, Robert, Hyams, Jeffrey S., Kay, Marsha,:Pediatric Gastrointestinal and Liver Disease, Fifth Edition. 70.Pediatric Cholestatic Liver Disease, Figure 70-11. Elsevier, 2016

急性肝不全(ALF)における細胞治療の原理の略図

A:主なドナー細胞の分類が示されている。成熟細胞には肝細胞や肝類洞内皮細胞が含まれる。細胞は死体ドナー、心停止(NHB)ドナー、生体血縁ドナーから単離される。課題には死体ドナーの数が少ないことが含まれる。NHBドナーを有効利用するためには臓器調達や細胞単離のプログラムが求められ、優れた凍結保存プロトコルが不可欠である。候補者の幹細胞にはヒト胚性幹細胞(hESC)や胎児細胞が含まれる。成人ドナーの種類は、人工多能性幹(iPS)細胞、廃棄されたヒト肝臓由来の幹細胞、または骨髄、血液、間葉系細胞、脂肪組織に由来する幹細胞などがある。幹細胞に対する課題は、有効な分化プロトコル、細胞分化の程度、in vitroでの分化細胞の肥大、in vivoでの細胞の生着と増殖の制御、および発癌リスクの低減である。
B:細胞移植における解剖学的部位の候補を示している。肝臓自体に細胞を移植するのが妥当のように思われるが、肝臓のスペースが小さく、肝細胞移植により肝損傷が悪化し、さらに移植細胞数が少ないためほとんど肝臓を維持できない。それに対して、腹腔など肝外部位へははるかに多くの細胞を移植できる。そのため移植細胞からのパラクリンシグナリングに加え十分に肝臓を維持することが可能となり、肝再生が促進される。脱細胞化・再細胞化マトリックスなどによる補助肝のスペースは肝臓の維持やパラクリンシグナリングが適切に機能するよう調整可能であると考えられる。
C:望ましいアウトカムが示されている。同所性肝移植(OLT)への「ブリッジ」やOLTなしでの回復により良好なアウトカムが達成される。これはタンパク質、凝固因子、および中間代謝の修復、アンモニアの固定、サイトカインストームの抑制、内在性幹細胞の動員を含む肝再生に関連すると考えられる。適切な薬剤、生物学的製剤および機器を組み合わせて使用することで最適かつ有用な治療が実現できる。
出典
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1: Viswanathan, Preeti:New directions for cell-based therapies in acute liver failure. Fig.1. Journal of Hepatology, Volume 57, Issue 4, 913-915. European Association for the Study of the Liver, 2012

皮膚と眼球強膜に見られた黄疸

a:慢性肝疾患を有するこの小児では皮膚の褪色や強膜の黄染が確認できる。
b:黄疸の症状は肝移植後2週間で消失した。
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1: Zitelli, Basil J.:Zitelli and Davis' Atlas of Pediatric Physical Diagnosis, 7th Edition. 11. Nutrition and Gastroenterology, Figure 11.43. Elsevier, 2018

急性肝不全におけるアンモニアとグルタミンの生成源および代謝運命

アンモニアは主に腸内で生成され、通常の条件下では肝臓で尿素(主要経路)やグルタミン(マイナー経路)合成により除去される。急性肝不全における肝細胞障害は、末梢組織や、特にグルタミン酸からグルタミンを合成することでアンモニアを無毒化している脳および筋肉でアンモニアを蓄積する要因となる。さらに、血液中に放出されたグルタミンは腸管で吸収され、アンモニアを遊離し、腎臓で除去される。急性肝不全は腎機能障害を合併することが多く、その影響により腎臓のグルタミン排泄能は低下する。
出典
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1: Karvellas, Constantine J.et al.:Zakim and Boyer's Hepatology, 7th Edition. 20. Acute Liver Failure, Fig. 20-4. Elsevier, 2018

急性肝不全におけるバランスのとれた止血モデル

国際標準比(INR)の高値や血小板減少症が認められるにもかかわらず、左側に示される止血の3段階(一次止血、凝固、線溶)は概してバランスのとれた良好な凝固亢進状態を維持している。肝での主な合成障害を代償するメカニズムは、サイトカインストームが引き金となり、内皮細胞および血小板を活性化するものと思われる。したがって血小板減少症は止血作用を有する微粒子の産生および内皮細胞の活性化に代償され、フォン・ヴィレブランド因子が増加し血小板の接着および凝集が促進される。肝臓由来凝固促進因子の欠乏は抗凝固プロテインCおよびSの欠乏、アンチトロンビン(AT)の欠乏、ならびに第V因子と第VI因子減少の代償となる内皮細胞からの第Ⅷ因子放出促進によりバランスを保っている。急性肝不全における線溶は、著しい損傷によりin vitroでの血餅溶解はほとんど認められないが、これは肝臓由来の調節タンパクの減少と内皮細胞由来の調節タンパクの増加に起因すると考えられる。
TAFI:トロンビン活性化線溶阻害因子、t-PA:組織プラスミノーゲン活性化因子
出典
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1: Karvellas, Constantine J.et al.:Zakim and Boyer's Hepatology, 7th Edition. 20. Acute Liver Failure, Fig. 20-6. Elsevier, 2018

原発性胆汁性肝硬変の重症胆汁うっ滞性黄疸(成人)

原発性胆汁性胆管炎の患者にみられた重度の胆汁うっ滞性黄疸。抱合型ビリルビン濃度の上昇が長期に及ぶと、皮膚および強膜に特徴的な暗褐色から橙色の色素沈着が生じる。原発性胆汁性胆管炎の患者では、脂質代謝障害の結果として、大きな黄色板症と角膜輪の出現をみるのが通常である。
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1: From Forbes CD, Jackson WF. Color Atlas and Text of Clinical Medicine, 3rd ed. FIGURE 149-2, London: Mosby; 2003.

光線療法のガイドライン(AAP基準)

在胎期間35週以上の入院中の乳児を対象とした光線療法のガイドライン
注:本ガイドラインは限られたエビデンスに基づくものであり、提示された値は大まかなものである。本ガイドラインは強化光線療法(intensive phototherapy)について述べたものであり、これは総血清ビリルビン(TSB)値が各カテゴリーの境界値を上回った場合に施行されるべきである。一覧に挙げた病態が存在すると、ビリルビンのアルブミン結合、血液脳関門、ビリルビンによる脳細胞損傷の感受性に負の効果が生じることから、乳児は「高リスク」集団とされる。「強化光線療法」とは、青~緑の波長域(約430~490nm)の光線を最低30μW/cm2/nm(光線療法装置の中央直下の乳児の皮膚で測定)の強度で皮膚表面に可能な限り多く照射するというものである。光線強度を光源の中央直下で測定した場合には、その周辺での測定値よりかなり高くなることに注意すること。測定には、光線療法システムの製造業者が指定する放射計を使用すべきである。TSB値が交換輸血の境界値に近づくかこれを上回った場合は、患児の皮膚の露光面積と光線療法の効率を高めるため、ベビーベッド、保育器またはウォーマーの内側面をアルミ箔か白地の素材で覆うべきである。強化光線療法を受けている乳児のTSB値が低下しないか上昇を続ける場合は、溶血の疑いが非常に高くなる。また、光線療法を受けながら直接型(抱合型)ビリルビンが高値(胆汁うっ滞性黄疸)となる乳児は、一貫性はないものの、ブロンズベビー症候群の可能性がある。
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1: Management of hyperbilirubinemia in the newborn infant 35 or more weeks of gestation.
著者: American Academy of Pediatrics Subcommittee on Hyperbilirubinemia
雑誌名: Pediatrics. 2004 Jul;114(1):297-316.
Abstract/Text: Jaundice occurs in most newborn infants. Most jaundice is benign, but because of the potential toxicity of bilirubin, newborn infants must be monitored to identify those who might develop severe hyperbilirubinemia and, in rare cases, acute bilirubin encephalopathy or kernicterus. The focus of this guideline is to reduce the incidence of severe hyperbilirubinemia and bilirubin encephalopathy while minimizing the risks of unintended harm such as maternal anxiety, decreased breastfeeding, and unnecessary costs or treatment. Although kernicterus should almost always be preventable, cases continue to occur. These guidelines provide a framework for the prevention and management of hyperbilirubinemia in newborn infants of 35 or more weeks of gestation. In every infant, we recommend that clinicians 1) promote and support successful breastfeeding; 2) perform a systematic assessment before discharge for the risk of severe hyperbilirubinemia; 3) provide early and focused follow-up based on the risk assessment; and 4) when indicated, treat newborns with phototherapy or exchange transfusion to prevent the development of severe hyperbilirubinemia and, possibly, bilirubin encephalopathy (kernicterus).
Pediatrics. 2004 Jul;114(1):297-316.

胆道閉鎖症に対し、葛西法を実施した症例と非実施の症例の生存率の違い

葛西法による肝門部空腸吻合術を受けた肝外胆道閉鎖症の乳児670例(青線)と手術を受けないか胆道閉鎖症を診断するための試験開腹のみを受けた乳児88例(赤線)の生命表法による生存率。追跡期間の平均値は5年間であった。生存率の群間差は統計学的に有意である(P=0.001)。
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1: Biliary atresia registry, 1976 to 1989.
著者: F M Karrer, J R Lilly, B A Stewart, R J Hall
雑誌名: J Pediatr Surg. 1990 Oct;25(10):1076-80; discussion 1081.
Abstract/Text: The Registry provides information about 904 children with biliary atresia from more than 100 institutions. There was a 1.4 to 1 female predominance; racial distribution was 62% caucasian, 20% black, 11% Hispanic, 4.2% asian, and 1.5% American Indian. Eight hundred sixteen (90%) underwent corrective surgery (median age at operation, 69 days). Intraoperatively, 70% had totally obliterated extrahepatic bile ducts, 22% had patency of the gallbladder and distal common duct, whereas only 8% had "correctable" biliary atresia (proximal duct patency). A variety of reconstructions were used, but the majority of patients had a Roux-en-Y portoenterostomy with or without exteriorization. Follow-up was available for 670 children (74%) with average length of follow-up of 5 years (range, 1 to 16 years). Five-year actuarial survival was 48% following Kasai's operation, but was less than 10% (at 3 years) if no operative correction was done. Survival was unaffected by sex, type of reconstruction, or cholangitis. Predictors of a bad outcome were (1) caucasian race; (2) operative age greater than 60 days; (3) presence of cirrhosis at initial biopsy; (4) totally nonpatent extrahepatic ducts; (5) absent ducts at the level of transection in the liver hilus; and (6) subsequent development of varices or ascites. Identification of factors predictive of the ultimate outcome provide a basis for either continued efforts with management of Kasai's operation or for early referral for liver transplantation.
J Pediatr Surg. 1990 Oct;25(10):1076-80; discussion 1081.

ビタミンD欠乏症によるくる病性変化、ハリソン溝

ビタミンD欠乏症によるくる病を発症した小児のX線写真であり、大腿骨および脛骨の弯曲(a)と骨端軟骨板の開大、摩耗、脱灰(b, c)を認める。
d:ハリソン溝
出典
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1: Marc C.Hochberg, Ellen M Gravallese, et al: Rheumatology, 7th Edition. 201. Osteomalacia and rickets, Fig 201.5(a~c). Elsevier, 2019
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2: Kliegman et al: Nelson Textbook of Pediatrics, Twentieth Edition, 51.Rickets and Hypervitaminosis D, Figure 51-2(d). Elsevier, 2016

ビリルビン代謝の模式図

ビリルビン(図中の茶色の丸)の輸送および代謝経路の模式図。ビリルビンは主に脾臓においてヘム代謝により産生され、アルブミンと結合した状態で肝臓に輸送される。そこでトランスポーター蛋白質(赤い三日月状の物質)と結合することで細胞膜(①)を通過し、肝細胞内に取り込まれる。ここでビリルビンはYおよびZ蛋白質(図示せず)、次いでリガンジンと結合し、滑面小胞体(SER)の内部に輸送される。SERの内部に入ったビリルビンは、UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ1(②、図中GT)によってグルクロン酸抱合され、モノグルクロニド(Bili-Gu)やジグルクロニド(Bili-(Gu)2)となる。これらの抱合型ビリルビンは、その後アデノシン三リン酸結合カセットを有するトランスポーター蛋白質MRP2/cMOAT/ABCC2(青い三日月状の物質)によって毛細胆管(③)に分泌される。ビリルビン産生の過剰を来す疾患(A)、例えば溶血性貧血においては、非抱合型ビリルビンが肝臓の処理能力を上回るペースで産生され、通常は一過性に血清中の非抱合型ビリルビンが増加する。Gilbert症候群とCrigler-Najjar症候群では、図中Cで示したUDPグルクロニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子UDPGT1A1の突然変異により、非抱合型ビリルビンが肝細胞内に蓄積し、最終的には血清中濃度も上昇する。Gilbert症候群では、図中Bで示したビリルビントランスポーター蛋白質に欠陥がある場合もある。一方、MRP2/cMOAT/ABCC2遺伝子に突然変異があると、分泌蛋白質に欠陥が生じる結果、抱合型ビリルビンが肝細胞内に、さらに最終的には血清中にも蓄積するようになり、常染色体性劣性疾患であるDubin-Johnson症候群(D)となる。抱合型高ビリルビン血症はRotor症候群でも認められるが、これはおそらくウイルス感染に起因する病態と考えられている。成人における抱合型高ビリルビン血症の原因として最も頻度が高いのは、結石や腫瘍などの占拠性病変(E)による主胆管、特に総胆管の閉塞である。Hb:ヘモグロビン、RBC:赤血球

体質性黄疸の5病型(間接型3病型と直接型2病型)

出典
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1: Goldman: Goldman's Cecil Medicine, 25th ed, 147. Approach to the Patient with Jaundice or Abnormal Liver Tests, TABLE 147-2. Saunders, 2016

間接型高ビリルビン血症の鑑別診断のアルゴリズム

新生児黄疸の診断フローチャート。G6PD=グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(glucose-6-phosphate dehydrogenase)、PK=ピルビン酸キナーゼ(pyruvate kinase)
出典
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1: Kliegman, Robert M, St Geme, Joseph W.:Nelson Textbook of Pediatrics. 123. Digestive System Disorders, Fig.123.9. Elsevier, 2020

Alagille症候群の顔つき(広く突出した前額部、両眼開離、くぼんだ目、小さく尖った顎、鞍鼻または筋の通った鼻)

a:Alagille症候群の顔つき(広く突出した前額部、両眼開離)
b:Alagille症候群の顔つき(くぼんだ目、小さく尖った顎)
c:Alagille症候群の顔つき(鞍鼻または筋の通った鼻)
出典
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1: Syndromic paucity of interlobular bile ducts (Alagille syndrome or arteriohepatic dysplasia): review of 80 cases.
著者: D Alagille, A Estrada, M Hadchouel, M Gautier, M Odièvre, J P Dommergues
雑誌名: J Pediatr. 1987 Feb;110(2):195-200.
Abstract/Text: We have observed two types of paucity of interlobular bile ducts (PILBD) in children with chronic cholestasis: the syndromic type, which is more frequent (80 cases), and the nonsyndromic type (31 cases). Study of patients with syndromic PILBD has enabled us to recognize five major features: peculiar facies (95%), chronic cholestasis (91%), posterior embryotoxon (88%), butterfly-like vertebral arch defects (87%), and peripheral pulmonary artery hypoplasia or stenosis, either isolated or associated with complex cardiovascular abnormalities (85%). By observing these major features, it is possible to differentiate the "complete" syndrome, in which all five features are present (26 cases), from the "partial" syndrome, in which only four (42 cases) or three (12 cases) major features are present. Other less frequent features were observed in patients with complete or partial syndrome: growth retardation (50%), mental retardation (16%), renal disturbances, other vascular malformations, bone abnormalities, high-pitched voice, and delayed puberty. Death occurred in 21 (26%) patients with syndromic PILBD. Therapy consisted of supplementation of medium-chain triglycerides and fat-soluble vitamins and administration of cholestyramine or phenobarbital. An autosomal dominant mode of transmission, with variable penetrance, seems likely.
J Pediatr. 1987 Feb;110(2):195-200.

Kayser-Fleischer ring

Kayser-Fleischer(K-F)角膜輪。Descemet膜に銅が沈着することで、角膜の外縁が褐色に変色する。この写真では、淡い緑色をした虹彩との対照により明瞭に映し出されている。確実な検出には細隙灯検査が必要となる。
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1: Wilson's disease.
著者: Aftab Ala, Ann P Walker, Keyoumars Ashkan, James S Dooley, Michael L Schilsky
雑誌名: Lancet. 2007 Feb 3;369(9559):397-408. doi: 10.1016/S0140-6736(07)60196-2.
Abstract/Text: Progressive hepatolenticular degeneration, or Wilson's disease, is a genetic disorder of copper metabolism. Knowledge of the clinical presentations and treatment of the disease are important both to the generalist and to specialists in gastroenterology and hepatology, neurology, psychiatry, and paediatrics. Wilson's disease invariably results in severe disability and death if untreated. The diagnosis is easily overlooked but if discovered early, effective treatments are available that will prevent or reverse many manifestations of this disorder. Studies have identified the role of copper in disease pathogenesis and clinical, biochemical, and genetic markers that can be useful in diagnosis. There are several chelating agents and zinc salts for medical therapy. Liver transplantation corrects the underlying pathophysiology and can be lifesaving. The discovery of the Wilson's disease gene has opened up a new molecular diagnostic approach, and could form the basis of future gene therapy.
Lancet. 2007 Feb 3;369(9559):397-408. doi: 10.1016/S0140-6736(07)60196...

Wilson病(WD)におけるMRIの変化

a:神経症状を呈する患者において両側被殻および視床の高信号域と淡蒼球の低信号域を認める脳MRIのFlair横断像
b:肝型のWD患者において両側淡蒼球の高信号域を認める脳MRIのT1W横断像
c:神経型のWD患者において中脳背側の高信号域および側頭部皮質下白質の信号変化を認める脳MRIのFlair横断像
d:「パンダの顔」が示されている脳MRIのT2W横断像
e、f:WDで脳MRIのFlair横断像における橋中心髄鞘崩壊症様の脳橋の信号変化
出典
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1: Wilson's Disease: Clinical Practice Guidelines of the Indian National Association for Study of the Liver, the Indian Society of Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition, and the Movement Disorders Society of India. Figure 4. Journal of Clinical and Experimental Hepatology, volume 9, 2019-1-1, Pages 1-145. Indian National Association for Study of the Liver, 2018

肝硬変による門脈圧亢進症状(男性例)

肝硬変に伴う門脈圧亢進症によって生じる主な臨床病態を男性について示した。女性においては、性腺機能不全により希発月経、無月経、不妊症の頻度が高くなる。
出典
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1: Kumar, Abbas,  Aster:Robbins Basic Pathology, 10th ed. 16.Liver and Gallbladder, Fig.16.7. Elsevier, 2018

正常肝と肝硬変肝の肉眼所見と顕微鏡所見

正常肝と肝硬変肝の肉眼所見と顕微鏡所見。
a:正常肝の肉眼所見では、滑らかな表面と均一な組織構造が見て取れる。
b:顕微鏡所見では、肝類洞が構築されており、脈管構造の分布も正常である。
c:肝硬変肝の肉眼所見では、肝臓はオレンジ色から黄褐色を帯び、表面は不整で、組織構造は結節状である。
d:顕微鏡所見では、構造に乱れがみられ、線維組織で囲まれた再生結節を認める。
出典
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1: From Goldman: Goldman's Cecil Medicine, 25th ed. 153. Cirrhosis and Its Sequelae, FIGURE 153-1. Saunders, 2016

肝門部空腸吻合術(葛西法)

a:線維化した肝外胆管遺残物は、門脈分岐部から肝臓の表面まで切除される(矢印は線維化した門脈プレート、黄色のループは、切開の外側マージンを表す)。b:Roux-en-Y空腸吻合術完了。
出典
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1: (From Nathan JD, Ryckman FC: Biliary atresia. In Chung DH, Chen MK [eds]: Atlas of pediatric surgical techniques, Philadelphia, 2010, Elsevier Saunders, pp 220–231.)

B型急性肝炎の肝炎ウイルスマーカーの経時的変化

急性B型肝炎血清の経時的変化。抗HBc:抗HBc抗体、IgM抗HBc:IgM抗HBc抗体、HBeAg:HBe抗原、HBV DNA(PCR):HBウィルスDNA(PCR法)、HBsAg:HBs抗原
出典
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1: Kliegman, Robert M, St Geme, Joseph W.:Nelson Textbook of Pediatrics. 385. Viral Hepatitis, Fig. 385.2. Elsevier, 2020

先天性胆道拡張症(総胆管嚢腫)の分類

総胆管嚢腫の戸谷分類。Ia型:一般型、Ib型:分節性拡張、Ic型:びまん性拡張、II型:憩室、III型:総胆管瘤、IVa型:肝内・肝外多発性嚢腫、IVb型:肝外多発性嚢腫、V型:単発性または多発性の肝内胆管拡張型(Caroli病)
出典
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1: Kliegman, St Geme, Blum, et al.:Nelson Textbook of Pediatrics. 392. Cystic Diseases of the Biliary Tract and Liver, Fig.392-1. Elsevier, 2020

新生児肝炎にみられる巨細胞性肝炎像

形態。新生児肝炎の形態学的特性には、限局的な肝細胞アポトーシスおよび壊死を伴う小葉の乱れ、肝細胞の汎小葉性巨細胞化、肝細胞および細胆管の顕著な胆汁うっ滞、門脈域の軽度単核細胞浸潤、クッパー細胞の反応性変化、髄外造血が含まれる。このような実質損傷の多くが胆管損傷にわずかに混じっていることがあり、胆管の増殖および門脈の線維化を伴う。したがってこれらの症例では、胆道閉鎖症との鑑別が困難なことがある。写真は新生児肝炎、多核巨大肝細胞が認められる。
出典
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1: Kumar: Robbins and Cotran Pathologic Basis of Disease, 9th ed. 18. Liver and Gallbladder, Figure 18-34. Saunders, 2015

先天性甲状腺機能低下症

a:先天性甲状腺機能低下症治療前
b:先天性甲状腺機能低下症治療後
生後6カ月の乳児における先天性甲状腺機能低下症。この乳児は新生児期に食欲不良となり、便秘がみられた。持続性の鼻漏と舌肥大がみられ、嗜眠が強く、社会的微笑や首のすわりが認められなかった。顔面浮腫、鈍い表情、毛深い額に注目のこと(a)。検査の結果、放射性ヨウ素の摂取低下が認められた。骨の発達は新生児のそれであった。治療後4カ月時点(b)。顔面浮腫と額の毛深さが軽減され、覚醒度の高そうな表情をしていることに注目のこと。
c:無治療の先天性甲状腺機能低下症症例(17歳女児)
この17歳の女児からは、先天性甲状腺機能低下症が無治療で放置された場合の結果を見ることができる。本症例は出生時に診断されたものの、誤解が重なった結果、甲状腺ホルモンによる治療が施行されなかった。体格、未発達の鼻梁、離れた両眼、頭部に対して不釣り合いな大きさの耳に注目のこと。舌は肥大し、体幹に対して四肢が不均衡に短くなっている。
出典
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1: From Kliegman: Nelson Textbook of Pediatrics, 20th ed. 565. Hypothyroidism, Figure 565-1. Elsevier, 2016
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2: From Melmed: Williams Textbook of Endocrinology, 13th ed. 13. Hypothyroidism and Thyroiditis, Figure 13-3. Elsevier, 2016

黄疸の鑑別診断のためのフローチャート

間接型高ビリルビン血症は、溶血性疾患あるいは非抱合型ビリルビンの肝細胞への輸送・摂取障害によって発生する。直接型高ビリルビン血症は、肝細胞障害と胆汁排泄経路の異常に基づく胆汁うっ滞に分かれる。さらに胆汁うっ滞は、肝内胆管の異常による肝内胆汁うっ滞と肝外胆管の機械的閉塞による肝外胆汁うっ滞に分類される。
図[ID0601]1:黄疸の発生メカニズム
表[ID0603]2:黄疸を来す疾患
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1: 著者提供

黄疸の発生メカニズム

ビリルビン代謝のいずれかの過程で異常があると黄疸が発生する。肝細胞に取り入れられたビリルビンは、滑面小胞体でbilirubin UDP-glucuronosyl transferase(UDP-GT, UGT1A1)によりグルクロン酸抱合をうける。この抱合より前の異常では間接型(非抱合型)優位の高ビリルビン血症を示し、抱合後の異常では直接型(抱合型)優位の高ビリルビン血症を示す。Hirschsprung病など便の停滞による腸管循環障害がある場合は、腸内細菌による脱抱合のため非抱合型ビリルビンが増加し、間接型高ビリルビン血症を来す。
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