肺動脈性肺高血圧症の自然経過として肺血管病変の進行は非可逆的Irreversibleである。肺抵抗血管の狭窄(肺血管抵抗PVRの増加)を治療介入により改善することは2020年の段階では認められていない。右室の代償機能が十分であれば、平均肺動脈圧(mPAP)はPVRの増加と並行する。しかし右心機能の低下に伴い心拍出量が低下するとmPAPも低下する。心臓から全身への酸素供給指標が混合静脈血酸素分圧(PvO2)である。PvO2は心拍出量が保たれているとき(心係数cardiac index ≥2.5 L/min/m2)には保たれているが、右室不全すなわち心係数低下時にはPvO2は低下する。組織低酸素を回避するためにはPaO2を高い値で維持する必要がある。千葉大学呼吸器内科での肺動脈性肺高血圧症を含むすべての右心カテーテル施行症例1,571例(1983~2017年)を須田理香らが解析し、心拍出量の差異による組織低酸素の差異を示した。