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HRTの適応と管理のアルゴリズム(2)

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1: 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p93、日本産科婦人科学会、2017.(改変あり)

更年期以降に起こる疾患

閉経によるエストロゲンの低下により、女性では月経異常、更年期障害、泌尿・生殖器の萎縮、心・血管系の疾患、骨粗鬆症、アルツハイマーがこの順番に立て続けに起こってくる。
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1: 堂地勉先生ご提供

更年期女性における以下の状態におけるHRTの有用性(ここでいう有用性と健康保険上の適応とは異なる)

これらの有用性の評価は、対象者の背景因子などの諸条件によって変わるものであることはいうまでもない。実際のHRT施行にあたっては必ず各項目別のガイドライン本文と解説文を参照することが重要である。
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1: 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p152、日本産科婦人科学会、2017.(改変あり)

HRTの禁忌症例と慎重投与症例

HRTの禁忌症例と慎重投与症例については、ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版[1]と2012年度版[2]で変更点はない。慎重投与ないしは条件付きで投与可能な症例に、1)60歳以上または閉経後10年以上の新規投与、2)てんかん、3)全身性エリテマトーデス、などが2012年度のガイドラインから加えられた。周閉経期のてんかん発作とHRTの間には有意な相関があると報告されている。HRTはてんかんを誘発し全身性エリテマトーデスを増悪させる可能性がある。4)Body mass index (BMI)25以上の肥満者は血栓症のリスクが高くなるために慎重な投与が必要である。5)子宮内膜症既往女性であっても更年期症状が強い場合にはHRTは考慮されるべきであるが、EMAS(The European Menopause and Andropause Society)のposition statementでは、子宮の有無にかかわらず子宮内膜症既往例に対するHRTでは低用量EPTが勧められている[3]。6)冠攣縮および微小血管狭心症の既往も加えられた。冠攣縮に対するエストロゲン投与は禁忌ではなく有効性がある、と報告されている(日本循環器ガイドライン)[4]。
これらの有害事象は、患者の年齢、閉経後年数および健康状態、さらに薬剤の種類、黄体ホルモン併用の有無、投与経路、投与期間などによりそれぞれ異なり、リスクを個別に判断し説明する必要がある[5]。
 
参考文献:
  1. 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p69、日本産科婦人科学会、2017.
  1. 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2012年度版、p84、日本産科婦人科学会、2012.
  1. Moen MH, Rees M, Bincat M, et al.:EMAS position statement: Managing the menopause in women with a past history of endometriosis. Maturitas 2010; 67: 94-97 PMID: 20627430.
  1. 日本循環器学会他編:冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン、2013.
  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2017、p271-275、日本産科婦人科学会、2017.
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1: 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p69、日本産科婦人科学会、2017.

HRTの投与方法

薬剤の選択にあたっては、薬剤の特徴を十分理解したうえで、HRTの目的、症状の程度、年齢、体型、合併症の有無などを確認し、投与薬剤、投与経路、投与量、投与方法を決める。
周閉経期あるいは閉経後まもない時期で、定期的に出血があることに抵抗感がなければ周期投与法で行う。閉経後で、定期的に出血があることに抵抗感がある場合には持続投与法を行う。
持続投与法は、周期投与法に比べて子宮内膜増殖症や子宮内膜癌の発生が少ないことが報告されている[1]。故に、持続投与の方が管理しやすい。なお、通常使用するHRTでは排卵は抑制できない。
 
参考文献:
  1. Jaakkola S, Lyntinen H, Pukkala E, et al.: Endometrial cancer in postmenopausal women using estradiol-progestin therapy. Obstet Gynecol 2009; 114: 1197-1204. PMID:19935019.
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1: 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p83、日本産科婦人科学会、2017.(改変あり)

Women’s Health Initiative (WHI, 2002) の結果 ―HRTに関するnon-adjusting results―

HRTにより心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞、乳癌の発生は増加する。しかし、骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折、結腸・大腸癌の発症を防止する効果がある。
 
参考文献:
Rossouw JE, Anderson GL, Prentice RL, et al; Risk and benefit of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women: principal results from the Women’s Health Initiative randomized controlled trial. JAMA 2002; 288: 321-33  PMID:12117397
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1: 堂地勉先生ご提供

HERS, HERS II におけるHRT施行期間と冠動脈疾患イベントリスク

HRT施行後1年で冠動脈疾患の発生リスクは有意に上昇するが、その後は有意差が消失する。
 
参考文献:
Grady D, Herrington D, Bittner V, et al; HERS Research Group. Cardiovascular disease outcomes during 6.8 years of hormone therapy: Heart and Estrogen/progestin Replacement Study follow-up (HERS II). JAMA. 2002; 288(1):49-57  PMID: 12090862.
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1: 堂地勉先生ご提供

HRTのCHDリスク

閉経後10年以内のHRTでは冠動脈疾患の発生リスクが減少する。閉経後10年以上経過してからのHRT新規投与は冠動脈疾患リスクを上昇させる(10~19年でリスク=1.10倍、20年以上でリスク=1.28倍)。すなわち、HRTは血管保護効果を有するが、動脈硬化が進展している場合には血管保護効果を期待するのは難しい(これを、The window of opportunityという)。
 
参考文献:
Rossouw JE, Prentice RL, Manson JE, et al. Postmenopausal hormone therapy and risk of cardiovascular disease by age and years since menopause. JAMA. 2007; 297: 1465-77. PMID:17405972.
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1: 堂地勉先生ご提供

HRTの適応と管理のアルゴリズム(1)

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1: 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p92、日本産科婦人科学会、2017.(改変あり)

HRTの適応と管理のアルゴリズム(2)

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1: 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会:ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版、p93、日本産科婦人科学会、2017.(改変あり)

更年期以降に起こる疾患

閉経によるエストロゲンの低下により、女性では月経異常、更年期障害、泌尿・生殖器の萎縮、心・血管系の疾患、骨粗鬆症、アルツハイマーがこの順番に立て続けに起こってくる。
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1: 堂地勉先生ご提供