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めまい疾患の診断法(簡易)

今回のめまい発作に直接関連した聴覚症状があれば、良性発作性頭位めまい症は否定される。
出典
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1: 著者提供

方向交代性の水平性眼振

頭位眼振検査で方向交代性の水平性眼振が解発される。

頭位変換眼振検査(Dix-Hallpike法)

頭位変換眼振検査で回旋成分の強い眼振が解発される。

Epley法

左後半規管型良性発作性頭位めまい症の診断の下元、頭位治療(Epley法)を施行。

回旋成分の強い眼振

頭位変換眼振検査で回旋成分の強い眼振が解発される。

Stenger法

頭位変換眼振検査で回旋成分の強い眼振が解発される。

頭位眼振検査

頭位眼振検査で方向交代性の水平性眼振が解発される。

頭位変換眼振検査

1)坐位正面→懸垂頭位→坐位正面(Stenger法)
2)右45°頸部捻転坐位→右45°懸垂頭位→右45°頸部捻転坐位(Dix-Hallpike法)
3)左45°頸部捻転坐位→左45°懸垂頭位→左45°頸部捻転坐位(Dix-Hallpike法)
の順に頭位を急速に変化させた後の眼振を観察する。
後半規管型良性発作性頭位めまい症、前半規管型良性発作性頭位めまい症ではめまいの誘発を認める。
眼振が数十秒を超えて持続し減衰性のない場合は良性発作性頭位めまい症とは異なる病態が疑われるので適宜観察を終了する。なお、眼振は、急速と緩徐相の2相から構成されるが、眼振の方向は急速相の方向と定義されている。
右後半規管型良性発作性頭位めまい症の場合は、右(患側)45°懸垂頭位にて患者から見て右(患側)回り(検者から見て反時計方向回り)の眼振が発現し、この眼振には上眼瞼向き垂直成分が混合していることが多い。
左後半規管型良性発作性頭位めまい症の場合は、左(患側)45°懸垂頭位にて患者から見て左(患側)回り(検者から見て時計方向回り)の回旋性眼振が発現し、この眼振には上眼瞼向き垂直成分が混合していることが多い。
 
Stenger法:懸垂頭位負荷後、潜時を有する、検者からみて反時計方向回りの回旋成分を有する上限瞼向き眼振を認めたら右後半規管型良性発作性頭位めまい症、検者からみて反時計方向回りの回旋成分を有する下眼瞼向き眼振を認めたら右前半規管型良性発作性頭位めまい症と診断する。検者からみて時計方向回りの回旋成分を有する上眼瞼向き眼振を認めたら左後半規管型良性発作性頭位めまい症、検者からみて時計方向回りの回旋成分を有する下眼瞼向き眼振を認めたら左前半規管型良性発作性頭位めまい症と診断する。潜時は10秒程度、眼振の持続時間は30秒以内、長くても1分以内である。
Dix-Hallpike法:右下懸垂頭位で、潜時を有する回旋成分を有する上眼瞼向き眼振を認めたら右後半規管型良性発作性頭位めまい症、回旋成分を有する下眼瞼向き眼振を認めたら右前半規管型良性発作性頭位めまい症と診断する。左下懸垂頭位で、潜時を有する回旋成分を有する上眼瞼向き眼振を認めたら左後半規管型良性発作性頭位めまい症、回旋成分を有する下眼瞼向き眼振を認めたら左前半規管型良性発作性頭位めまい症と診断する。潜時は10秒程度、眼振の持続時間は30秒以内、長くても1分以内である。

左後半規管の膨大部神経刺激によって生じる外眼筋の収縮と眼球運動

左後半規管の刺激によって生じる緩徐相の外眼筋の収縮と眼球運動である。
※はそれぞれ上斜筋(刺激側)、下直筋(対側)を意味する。
出典
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1: 篠田義一:Ⅰ眼球運動の生理学、2.眼球運動系の解剖と生理、e.前庭動眼反射系.眼球運動の神経学、医学書院、1985;pp.40-41.

頭位眼振検査

頭位眼振検査は坐位で行う場合(上)・懸垂位で行う場合(中)・仰臥位で行う場合(下)がある。坐位検査では坐位正面から右下、左下、前屈、後屈、仰臥位検査では仰臥位正面から右下、左下、懸垂の各頭位にて眼振を観察する。
上:坐位での頭位眼振検査法
中:懸垂頭位での頭位眼振検査法
下:仰臥位での頭位眼振検査法
 
外側半規管型良性発作性頭位めまい症では、半規管結石症では仰臥位で患側下に頭位を変換すると、半規管内の小耳石片が重力方向に移動するため、向膨大部性の内リンパ流動が生じる。その結果、同側内側直筋と対側外側直筋との興奮([ID0604])とその拮抗筋である同側外側直筋と対側内側直筋の抑制が起こる。同側眼内側直筋と対側眼外側直筋の収縮により、両眼球の緩徐な健側の偏倚(眼振緩徐相)が生じる。その後眼球は反対方向(患側)に急速に動き(急速相)、正中眼位に復帰する。半規管が刺激を受けている間このプロセスが繰り返され、下行性(向地性)水平性眼振が出現する。
外側半規管型良性発作性頭位めまい症において、半規管結石症とクプラ結石症では、頭位眼振検査時に解発される眼振の方向が逆となり、クプラ結石症の場合は、クプラは反膨大部方向に偏倚するため、半規管結石症の場合とは反対方向の、上行性(反地性)水平性眼振が解発される。

左外側半規管の膨大部神経刺激によって生じる外眼筋の収縮と眼球運動

左外側半規管の刺激によって生じる緩徐相の外眼筋の収縮と眼球運動である。
※はそれぞれ内側直筋(刺激側)、外側直筋(対側)を意味する。
出典
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1: 篠田義一:Ⅰ眼球運動の生理学、2.眼球運動系の解剖と生理、e.前庭動眼反射系.眼球運動の神経学、医学書院、1985;pp.1-62、図1-13

左前半規管の膨大部神経刺激によって生じる外眼筋の収縮と眼球運動

左前半規管の刺激によって生じる緩徐相の外眼筋の収縮と眼球運動である。
※はそれぞれ上直筋(刺激側)、下斜筋(対側)を意味する。
出典
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1: 篠田義一:Ⅰ眼球運動の生理学、2.眼球運動系の解剖と生理、e.前庭動眼反射系.眼球運動の神経学、医学書院、1985;pp.1-62、図1-13

頭位眼振検査のENG

左外側半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)の場合は左頸捻転で左下頭位を付加すると、頸部捻転中、右向き眼振が解発される。
出典
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1: 著者提供

頭位眼振検査所見(頸性めまい症例)

頸性めまい症例では左側臥位で左下頭位を付加すると、眼振を認めない。
頸性めまい症例では、頭位眼振検査時、頸部を捻転すると眼振が解発されるが、頸部を捻転しないよう、側臥位で頭位を付加すると眼振が解発されない。
外側半規管型良性発作性頭位めまい症では、どちらの場合も眼振が触発されることが鑑別に役立つ。
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1: 著者提供

前半規管(AC)、上前庭神経核(VIII)、結合腕(BC)から反対側の動眼神経核(III)、上直筋(SR)、下斜筋(IO)に至る興奮性3-neuron arcの模式図

延髄の舌下神経周囲核(PHN)から上行路は、垂直性前庭-眼反射の神経緊張を修飾する。舌下神経周囲核(PHN)、結合腕(BC)、腹側被蓋路(VT)が両側性に障害されると、上眼瞼向き眼振が生じ得る。
出典
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1: トーマス・ブラント:Chapter 1 ピッチ面における前庭症候群.國弘幸伸、神崎仁、五十嵐眞監訳:めまい 改訂第2版.診断と治療社.2003;pp.193-207.図 11-9

上眼瞼向き眼振を認める中枢性の鑑別疾患

参考文献:
Leigh RJ, Zee DS: The diagnostic value of abnormal eye movements: a pathophysiological approach. Johns Hopkins Med J, 1982; 151(3): 122-135.
出典
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1: 著者提供

めまい疾患の急性期薬物療法の処方量

参考文献:
日本医薬品集フォーラム 監修:日本医薬品集 医療薬. じほう社.
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1: 著者提供

Epley法(右後半規管型良性発作性頭位めまい症の加療例)

1.坐位から右(患側)下45°の懸垂頭位をとる。眼振が終了した時点から2、3分間、その頭位を維持する(Dix-Hallpike法で眼振が誘発された頭位をこの体勢でとると覚える)。
2.右(患側)下懸垂頭位から左下45°の懸垂頭位へとゆっくり頭位を変換する。眼振が終了した時点から2、3分間、その頭位を維持する。
3.頭部と体幹との位置関係を保ったままの状態で体全体を仰臥位から左側(健側)臥位とする。眼振が終了した時点から2、3分間、その頭位を維持する。
4.頭部は左45°に回旋させたままゆっくりと坐位に戻す。頭部を正面に戻した後、20°前屈とする。眼振が終了した時点から2、3分間、その頭位を維持する。
 
4の後、1~2を反復する。眼振が消失していれば成功、終了とする。
 
眼振が消失していなければ失敗、患者の状況を判断して可能なら3以下を再試行。
なお、この治療後に発作性のめまいは消失しても、軽度の浮動感、ふらつきを訴える場合があり、1週間程度の抗めまい薬、抗不安薬などの薬物治療を行ったほうがよい。
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Semont法(右後半規管型良性発作性頭位めまい症の加療例)

1.頭部を左(健側)45°に回旋させる。
2.回旋させた頭部が正面に戻らないように注意しながらできるだけ速やかに右側(患側)臥位をとる。この状態を2~3分間維持する。
3.回旋させた頭部が正面に戻らないように注意しながら一気に左(健側)側臥位まで体位を変換する。この体勢を数分間維持する。
4.ゆっくりと坐位に戻す。
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Barbecue rotation法(右外側半規管型良性発作性頭位めまい症半規管結石症の加療例)

1.仰臥位正面。
2.頭部を90°健側方向に回旋させて左(健側)下にする。
3.さらに頭部を90°、体幹を180°同方向に回旋させて腹臥位にする。
4.頭部を90°同方向に回旋させて右(患側)下にする。
5.坐位に戻す。
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Forced prolonged position法(右外側半規管型良性発作性頭位めまい症半規管結石症の加療例)

帰宅後ベッドで横になり、頭部もしくは体全体を左(健側)に回転させ、その体勢を12時間保たせる。
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Gufoni法(右外側半規管型良性発作性頭位めまい症半規管結石症の加療例)

1.座位の姿勢から左(健側)方向にすばやく傾かせ側臥位とし2分間維持させる。
2.頭部を下方に45°すばやく回転させて2分間維持させる。
3.座位に戻す。
出典
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1: 著者提供

Gufoni法(右外側半規管型良性発作性頭位めまい症クプラ結石症の加療例)

1.座位の姿勢から右(患側)方向にすばやく傾かせ側臥位とし2分間維持させる。
2.頭部を上方に45°すばやく回転させて2分間維持させる。
3.座位に戻す。
出典
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1: 著者提供

半規管遮断術の模式図

単純乳突削開を行って後半規管を露出する(ブルーラインを確認)。後半規管骨迷路を開窓して膜迷路を露出させた後、骨パテを開窓部から充填して膜迷路を圧迫遮断する。フィブリン糊で固定した後、骨片と筋膜で後半規管欠損部を閉鎖する。
出典
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1: 著者提供

後半規管遮断術の手術成績および副損傷発現頻度

出典
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1: 北原糺:特集・反復するめまいへの対応 良性発作性問いめまい症.MB ENT 2012;136: 23-28.

後半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症)の診断基準

後半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症)確実例(Definite)
  1. A症状の5項目とB検査所見の4項目を満たしたもの。
良性発作性頭位めまい症寛解例(Probable)
  1. 過去にA症状の5項目を満たしていたが、頭位・頭位変換眼振を認めず、良性発作性頭位めまい症が自然寛解したと考えられるもの。
良性発作性頭位めまい症非定型例(Atypical)
  1. A症状の5項目とB検査所見の4の項目を満たし、B検査所見の1~3の項目を満たす眼振を認めないもの。
注:良性発作性頭位めまい症非定型例には、前半規管型発作性頭位めまい症(半規管結石症)、後半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)、多半規管型良性発作性頭位めまい症などが含まれる。
出典
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1: 日本めまい平衡医学会 診断基準化委員会編:めまいの診断基準化のための資料 診断基準2017年改定、Equilibrium Research、p239、表4-1

外側半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症)の診断基準

外側半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症)確実例(Definite)
  1. A症状の5項目とB検査所見の3項目を満たしたもの。
良性発作性頭位めまい症寛解例(Probable)
  1. 過去にA症状の5項目を満たしていたが、頭位・頭位変換眼振を認めず、良性発作性頭位めまい症が自然寛解したと考えられるもの。
良性発作性頭位めまい症非定型例(Atypical)
  1. A症状の5項目とB検査所見の3の項目を満たし、B検査所見の1と2の項目を満たす眼振を認めないもの。
注:良性発作性頭位めまい症非定型例には、前半規管型発作性頭位めまい症(半規管結石症)、後半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)、多半規管型良性発作性頭位めまい症などが含まれる。
出典
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1: 日本めまい平衡医学会 診断基準化委員会編:めまいの診断基準化のための資料 診断基準2017年改定、Equilibrium Research、p240、表4-2

外側半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)の診断基準

外側半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)確実例(Definite)
  1. A症状の4項目とB検査所見の3項目を満たしたもの。
良性発作性頭位めまい症寛解例(Probable)
  1. 過去にA症状の4項目を満たしていたが、頭位・頭位変換眼振を認めず、良性発作性頭位めまい症が自然寛解したと考えられるもの。
良性発作性頭位めまい症非定型例(Atypical)
  1. A症状の5項目とB検査所見の3の項目を満たし、B検査所見の1と2の項目を満たす眼振を認めないもの。
注:良性発作性頭位めまい症非定型例には、前半規管型発作性頭位めまい症(半規管結石症)、後半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)、多半規管型良性発作性頭位めまい症などが含まれる。
出典
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1: 日本めまい平衡医学会 診断基準化委員会編:めまいの診断基準化のための資料 診断基準2017年改定、Equilibrium Research、p240、表4-3

非特異的運動療法(ROM:寝返り運動)

出典
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1: Sugita-Kitajima A, Sato S, Mikami K, Mukaide M, Koizuka I:Does vertigo disappear only by rolling over? Rehabilitation for benign paroxysmal positional vertigo. Acta Otolaryngol, 2010; 130: 84-8.

Epley法の有効率(オッズ比):症状の消失

比較1 Epley法とプラセボ手技の比較:自覚症状の消失
結果1 症状の完全消失に関する主観的報告
レビュー:良性発作性頭位めまい症に対するEpley法(耳石置換法)
出典
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1: Hilton MP, Pinder DK: The Epley(canalith repositioning)manoeuvre for benignparoxysmal positional vertigo. Cochrane Database Syst Rev, 2014; 8(12): CD003162.

Epley法の有効率(オッズ比):眼振の消失

比較2 Epley法とプラセボ手技の比較:Dix-Hallpike法での陽性から陰性への変化
結果1 Dix-Hallpike法での陽性から陰性への変化
レビュー:良性発作性頭位めまい症に対するEpley法(耳石置換法)
出典
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1: Hilton MP, Pinder DK: The Epley(canalith repositioning)manoeuvre for benignparoxysmal positional vertigo. Cochrane Database Syst Rev, 2014; 8(12): CD003162.

Gans法(右後半規管型良性発作性頭位めまい症の加療例)

1.頭部を左(健側)45°に回旋させる。
2.回旋させた頭部の位置を維持した状態で、できるだけ速やかに右側(患側)臥位をとる。この状態を2~3分間維持する。
3.回旋させた頭部の位置を維持した状態で、できるだけ速やかに左側(健側)臥位に体位を変換する。この状態を2~3分間維持する。
4.左側(健側)臥位を維持した状態で患者頭部を2~3回水平方向に振る。
5.ゆっくりと坐位に戻す。
出典
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1: 著者提供

めまい疾患の診断法(簡易)

今回のめまい発作に直接関連した聴覚症状があれば、良性発作性頭位めまい症は否定される。
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1: 著者提供

方向交代性の水平性眼振

頭位眼振検査で方向交代性の水平性眼振が解発される。