MRI横断像で茎突後隙に境界明瞭な類円形の腫瘤でT1強調画像で筋組織と同程度の低~中信号、T2強調画像で不均一なやや高信号、冠状断像で紡錘形の腫瘍で上下方向に由来神経が描出される場合は神経鞘腫と診断できる。T2強調画像では腫瘍内の組織学的組成や嚢胞変性などにより多彩な信号強度を呈し、造影により強調される。
CTでは円形または楕円形の境界明瞭で、内部は比較的均一なlow densityの腫瘍で副咽頭間隙の脂肪組織が消失または圧排されている。造影により境界が強く造影され、内部は組成の違いにより不均一な造影像となる。冠状断像で由来神経が神経方向に索状に描出されることがある。
副咽頭間隙の神経鞘腫が強く疑われた場合の術式としては頸部切開法で完全摘出が一般的である。由来神経により術後の神経症状がさまざまであり、その対策を考慮する。術前に神経麻痺がない場合は基本的に被膜内腫瘍摘出術で神経機能の温存を試みるのが望ましい。その場合上方の操作が安全に行えるかにより術式を選択する。被膜内摘出を行っても神経麻痺が生じることがある。