耳後部に1cm位の切開を加えて、皮下の結合組織を採取した。鼓膜穿孔縁をピックを用いて全周性にトリミングした。型の如く外耳道に半周以上の切開を加えてtympanomeatal flapを挙上した。鼓室内に入ると一部結合組織が付着した鼓索神経を同定し、これを温存した。さらに鼓膜を挙上し鼓室内を観察し、キヌタ骨の長脚を同定。キヌタ骨を明視下においてなおかつ摘出するために、外耳道の後上壁を一部ノミや鋭ヒ等を用いて削開し、キヌタ骨を摘出した。あぶみ骨とも関節面は離開しており、結合組織で弱く結合していたので、これを切離した。キヌタ骨は完全な形で残存していた。次にあぶみ骨を顔面神経刺激装置で刺激すると、あぶみ骨筋腱も残存しており、これを切断した。次いであぶみ骨の上部構造に曲針で引っかけてあぶみ骨をすべて摘出した。特にガッシャーはなかった。次いで正円窓に結合組織を詰めて糊で固定した。次いで卵円窓に軟骨膜を被覆して糊で固定した。これらの操作をする前に、被覆する部分周囲の粘膜を一部鋭ヒなどで掻爬した。次いで耳珠軟骨を採取して長さ4mmに切った物を代用あぶみ骨として卵円窓上の結合組織上に建てて先端はツチ骨と鼓膜の両者に触れるような形とした。鼓膜穿孔には結合組織をアンダーレイでグラフトし、tympanomeatal flapを戻して外耳道の骨に接着して手術を終了とした。