Type II上腕骨内側上顆骨折
14歳、男子の左上腕骨内側上顆骨折。スノーボードで受傷し、4日後にORIFを行い[ID0606]、1.8 mm Kirschner鋼線2本で内固定、8カ月後に抜釘。
a:上腕骨正面、b:前腕骨正面、c:1.8 mm Kirschner鋼線2本で内固定の正面、d:1.8 mm Kirschner鋼線2本で内固定の側面
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Type III上腕骨内側上顆骨折
13歳、男子の右Type III骨折。脱臼徒手整復後の正面X線写真(a)で転位は少ないようにみえるが、側面X線写真(b)で骨片の前方への転位を疑わせる陰影(*)あり。CTで明瞭となる(c)。早期関節可動域(ROM)訓練のため、鋼線締結法(TBW)併用(d)。
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Type IV上腕骨内側上顆骨折
13歳、女子の左Type IV骨折。転落により肘関節後外側脱臼(a)となり、ただちに徒手整復された(b)。内側上顆および外側上顆の骨片は小さく、転位を検索するためCT撮像(c)した。外側上顆はほとんど転位なく、内側上顆は非定型の後方転位を認める([ID0605]と同一症例)。観血整復し1.6 mm Kirschner鋼線2本で内固定(d)。
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上腕骨内側上顆の解剖
a:正面、b,c:内側面
*:上腕骨内側上顆、N:尺骨神経
①円回内筋、②橈側手根屈筋、③長掌筋、④浅指屈筋、⑤尺側手根屈筋、⑥尺側手根屈筋を内側上顆起始部で切離反転、⑦滑車上肘靱帯、⑧内側側副靱帯(前斜走靱帯)
軟部組織の停止部
上腕骨内側上顆の軟部組織の停止部。上腕骨遠位端の正面像と関節包停止部(①)、円回内筋起始部(②)、前腕屈筋群起始部(③)、内側側副靭帯起始部(④)と骨端・骨端核の関係を示す。
Watson-Jones 分類
内側上顆骨折Watson-Jones分類
a:Type I。転位がほとんどない(2mm以下)。
b:Type II。内側上顆骨片の転位が3mm以上であるが肘関節脱臼に伴うものではない。
c:Type III。脱臼に伴い骨片が関節裂隙に陥入するもの。
d:Type IV。関節裂隙に骨片が陥入し、かつ側方脱臼を伴うもので、外側側副靱帯損傷や、ときに外側上顆骨折を伴う。
Jeffery型損傷
手をついて転倒し、体重が伸展位の肘にかかり外反強制を受けた形で損傷する。肘関節は脱臼しないが、橈骨頚部骨折を生じ、Type Iでは内側上顆の裂離骨折あるいは内側側副靱帯損傷を生じる。
肘関節脱臼に伴うType III
Watson-Jones Type III骨折で後方脱臼によって生じた。
a:徒手整復前で関節裂隙内に骨片が陥入している。
b:脱臼整復後で内側上顆が転位している。
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肘関節脱臼に伴うType IV
Watson-Jones Type IV骨折で後外側脱臼によって生じた。
a:徒手整復前のAP像で①は外側上顆骨片
b:徒手整復前の側面像で②は内側上顆骨片
c:脱臼徒手整復後のCT像で③は外側上顆骨片、④は内側上顆骨片でやや後方に転位。
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Type IIとKirschner鋼線による観血的整復固定術(ORIF)
Watson-Jones Type II骨折で脱臼はなかった。
a:術前
b:Kirschner鋼線によるORIF
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鋼線締結法を追加したORIF
Kirschner鋼線に鋼線締結法(tension band wiring、 TBW)を加えより強固な内固定とした。
a:正面像
b:側面像
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上腕骨内顆骨折1
上腕骨内顆骨折は内側上顆骨折とは明らかに別の骨折で、関節内骨折である。
a:Milch type Iでは滑車中央溝から内側骨幹端に骨折線が走る。
b:Milch type IIでは小頭滑車間溝から骨折線が走る。
上腕骨内顆骨折2
上腕骨内顆骨折を骨端核との関係でみる。
治療体系(アルゴリズム)
脱臼があれば徒手整復の前にX線撮影を行うこと。XPやCTでWatson-Jones分類を行って、転位のほとんどないTypeⅠは原則外固定による保存的治療を行うが、早期に肘運動を要す例や、転位が進行する例では手術による内固定を行う。転位の大きいTypeⅡ以上は手術適応である。TypeⅡでも転位が少ないものは保存治療で好成績との報告がある。TypeⅣでは外側の不安定性が著明であったり、外側上顆の転位があれば、外側も手術加療するが、術中の判断によることもある。
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