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肘頭骨折に対する治療方針

骨折部の転位のおよび不安定性の有無により治療方針を決定する。
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1: 著者提供

Colton分類

Type 1:剝離骨折で骨折線は横走する、転位2 mm以内で肘関節90°屈曲においても転位がなく、重力に抗して肘伸展可能なもの。
Type 2:滑車切痕より背側に向かう斜骨折で転位・粉砕の程度によって4つの亜分類がある。stage a:単純な斜骨折、転位の有無は問わない、stage b:stage aに第三骨片を伴い、転位が2 mm未満の無転位骨折、stage c:stage bに転位があるもの、stage d:stage cの第三骨片が粉砕したもの。
Type 3:脱臼骨折。
Type 4:分類不能型、骨折部の粉砕が著明で、前腕近位骨幹部や上腕骨遠位部の骨折を合併することが多い。
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1: Colton C.L. Fractures of the olecranon in adults: Classification and management. Injury. 1973–1974; 5:121-129. Fig.1, Fig.4, Fig.9, Fig.12. 一部改変

Mayo分類

Type I:転位のないもの、Type II:転位はあるが腕尺関節は安定しているもの、Type III:腕尺関節は不安定で、脱臼もしくは亜脱臼位となるものであり、通常、内側側副靱帯損傷を伴う。各Typeを非粉砕型(a)と粉砕型(b)に分類。
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1: Redrawn from Cabanela ME, Morrey BF: Fractures of the olecranon. In Morrey BF editor: The elbow and its disorders, ed 3, Philadelphia, 2000, WB Saunders.

Dobin''s 6 pack

手指の拘縮および浮腫予防を目的としたDobin''s 6 pack運動訓練。
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1: Magnus Tägil. Distal Radius Fractures. Green's Operative Hand Surgery Eighth Edition. Elsevier, 2018: 624, Fig. 15.25.

OFDの森谷・今谷分類

腕尺・腕頭関節の脱臼の方向と近位橈尺関節の損傷の有無により4つの型に分類する。
 
参考文献:
森谷史朗、今谷潤也、近藤秀則ほか:肘頭脱臼骨折の新分類. 骨折 2019: 41(3): 1181-1188, 図2. を参考に作成
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肘関節側面像

尺骨骨幹端部骨折および鉤状突起骨折を伴う複合損傷の形態を呈する症例。
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肘関節側面像

骨折部の粉砕および関節面の陥没を伴う症例。
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プレート固定を要した右尺骨近位部粉砕骨折症例の受傷時X線像、CT

a:受傷時X線:尺骨近位部から骨幹部にかけての高度粉砕(Colton分類 Type 4, Mayo分類 Type IIb)および上腕骨外顆骨折を認める。
b:受傷時CT:鉤状突起、さらにその遠位のanterior cortical fragmentを伴う右尺骨近位部から骨幹部にかけての粉砕骨折を認める。
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プレート固定を要した右尺骨近位部粉砕骨折症例の最終調査時X線像、最終可動域

a:最終調査時X線:anterior cortical fragmentを0.7 mmの軟鋼線で、鉤状突起骨片をlag screwで固定した後、尺骨後面にAO reconstruction plate9穴をあてがい、内固定した。また上腕骨外顆骨折はwasher付きscrewにて内固定した。尺骨の解剖学的な長さ・形状および滑車切痕の形状が再建されている。
b:最終可動域:最終調査時伸展10°、屈曲130°で、日本整形外科学会肘関節機能評価法(外傷)では100点。
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関節面の陥没を伴う右肘頭粉砕骨折症例の受傷時X線、CT、術後X線

a:受傷時X線:Colton分類 Type 2 d, Mayo分類 Type II bの肘頭粉砕骨折。
b:受傷時CT:関節面の陥没、粉砕が著しい。
c:術後X線:陥没骨片をていねいに挙上整復し、生じた骨欠損部に楔状の人工骨を移植、最後に主骨折線をtension band wiringで内固定した。これにより滑車切痕の解剖学的形状が再建されている。
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関節面の陥没を伴う右肘頭粉砕骨折症例の最終調査時X線と最終可動域

a:最終調査時X線:抜釘後、関節面は良好に整復された状態で骨癒合している。
b:最終可動域:最終調査時伸展0°、屈曲130°で、日本整形外科学会肘関節機能評価法(外傷)で100点。
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鉤状突起骨折を伴うposterior OFDの受傷時X線、CT

a:受傷時X線:肘頭および鉤状突起骨折を伴うposterior OFD(Colton分類Type 4、 Mayo分類Type II b、森谷・今谷分類Type P-II)。腕尺関節のみならず近位橈尺関節も損傷されている。
b:受傷時CT:sigmoid notch部は粉砕著明で近位橈尺関節は破綻している。
c:受傷時CT:鉤状突起部は基部から前内側関節面にかけて粉砕あり。
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鉤状突起骨折を伴うposterior OFDの創外固定後X線、二期的手術の術中所見、二期的手術後のX線および最終調査時X線と最終可動域

a:創外固定後X線:洗浄・デブリードマンの後の一期的創外固定を行った。
b:二期的手術の術中所見:感染兆候の無いことを確認した後、受傷後9日目に観血整復内固定術(肘頭部分の陥没骨片を挙上し、骨欠損部に人工骨移植、鉤状突起の主骨片部はラグスクリューで、粉砕の著明なsigmoid notch部は数本の非吸収糸で骨縫合し近位橈尺関節を再建した。さらに肘頭用アナトミカルロッキングプレートを用いてプレート骨接合術を行った。これにより尺骨の解剖学的長さ・形状および滑車切痕そして近位橈尺関節の形状が再建された。)
c:二期的手術後X線:関節面は良好に整復され、良好な初期固定性が得られたため早期リハビリテーションを行った。
d:最終調査時X線:抜釘後、関節面は良好に整復された状態で骨癒合している。最終可動域:最終調査時伸展-10°、屈曲130°で、日本整形外科学会肘関節機能評価法(外傷)で96点。
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典型的な肘頭骨折に対するtension band wiring法の肘頭骨折に対する皮切(後方アプローチ)

典型的な肘頭骨折に対するtension band wiring法に対する後方アプローチ。
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典型的な肘頭骨折に対するtension band wiring法(仮)

a:上腕三頭筋腱の付着した近位骨片を骨鉗子にて把持し、関節面の解剖学的整復を行う、1.8 mmのKirschner wire を2本ほぼ平行にして、肘頭部分から尺骨遠位前方骨皮質を貫くように刺入する。
b:次に骨折部の遠位部に尺骨骨軸に対してほぼ横方向の孔を開け、8の字に締結するwireを準備する。
c:φ1.0 mmのAOループ付きwireを先に開けた尺骨骨幹部の孔に外側より通す。さらにこれを8の字にほぼ骨折部上で交差させ、近位骨片に刺入されたKirschner wireの深層側で上腕三頭筋腱内を通す。wireを締結する部分の対称となる部位にループを作っておく。
d:AO万能プライヤーを用いてwireを締結していくが、骨折部に均等に十分な圧迫力がかかるように2カ所を交互に締結していく。
e:同上。
f:この鋼線締結の際には、捻ったwireの基部をしっかりと把持し、上方へ牽引力を加えながら締めていく。
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関節面の陥没を伴う肘頭粉砕骨折に対する手術的治療

a:関節面の陥没を伴う粉砕肘頭骨折。
b:関節面の解剖学的整復を行うべく、陥没骨片を丁寧に挙上し、細めのC wireなどで遠位骨片に仮固定する。
c:生じた骨欠損部に楔状の人工骨を移植する。
d:最後に近位骨片を整復し主骨折部をtension band wiringで内固定する。
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高度粉砕例などに対する肘頭用アナトミカルロッキングプレート固定術

a:尺骨の解剖学的な長さ・形状および滑車切痕、橈骨切痕の形状を再建することがきわめて重要である。
b:解剖学的に骨折部の整復を行い、AO small骨鉗子やKirschner wireを駆使して仮固定を行う。
c:肘頭用アナトミカルロッキングプレートおよびスクリューを用いて内固定する。
d:縦方向の骨折線が複数存在し、十分な整復位、固定性が得られない症例では、粉砕部分に対して躊躇することなく腸骨からの自家骨移植を行う。
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肘頭骨折に対する治療方針

骨折部の転位のおよび不安定性の有無により治療方針を決定する。
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Colton分類

Type 1:剝離骨折で骨折線は横走する、転位2 mm以内で肘関節90°屈曲においても転位がなく、重力に抗して肘伸展可能なもの。
Type 2:滑車切痕より背側に向かう斜骨折で転位・粉砕の程度によって4つの亜分類がある。stage a:単純な斜骨折、転位の有無は問わない、stage b:stage aに第三骨片を伴い、転位が2 mm未満の無転位骨折、stage c:stage bに転位があるもの、stage d:stage cの第三骨片が粉砕したもの。
Type 3:脱臼骨折。
Type 4:分類不能型、骨折部の粉砕が著明で、前腕近位骨幹部や上腕骨遠位部の骨折を合併することが多い。
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1: Colton C.L. Fractures of the olecranon in adults: Classification and management. Injury. 1973–1974; 5:121-129. Fig.1, Fig.4, Fig.9, Fig.12. 一部改変