受傷機序
橈骨頭、橈骨頚部骨折の受傷機序
橈骨骨端核の出現時期
橈骨骨端核の出現時期
梃子を利用した経皮的ピンニング法
出典
1:
Nanno M,Shirai Y,Ito H, Sawaizumi T, Hashiguchi H: Percutaneous pinning for radial neck fractures. J. Jpn. Elbow Soc., 8: 109-110, 2001.
フォルクマン拘縮(上肢のコンパートメント症候群)
前腕の血行不全により、前腕の主に屈側の筋が瘢痕化、線維変性が生じ、拘縮が生じるもので、その機序は、外傷による高度の腫脹または骨折部での上腕動脈の閉塞、攣縮により筋肉の阻血・腫脹が生じ、前腕筋のコンパートメント内圧が上昇し、それにより腫脹した筋肉で神経圧迫(神経麻痺)と筋肉内の細動脈が閉塞され、筋阻血性壊死し、非可逆性拘縮、すなわちフォルクマン拘縮が生じる。症状として5徴候(5P’s sign)が知られ、①pain ②pallor(paleness)(指が白くなる)③pulselessness(橈骨動脈の拍動触知不可)④paralysis(palsy)(運動麻痺)⑤paresthesis(感覚異常)とされているが、臨床的には手指の他動伸展時疼痛や手指の冷感のチェックも重要である。客観的評価としてコンパートメント内圧測定が有名であるが、指尖脈波測定は簡便で継続的に変化を観察できる点で有用である。治療は早期発見し、外固定除去し、改善されなければ緊急減張切開(筋膜切開)し、骨折部で血管と神経を確認する必要がある。フォルクマン拘縮が疑われた場合は、躊躇することなく、すぐに減張切開を行う必要がある。
初診時左肘関節X線像とCT画像
a:単純X線肘関節正面像、b:側面像および、c:CT画像で、橈骨頭骨折を認めた。
出典
1:
澤泉卓哉,南野光彦:肘関節脱臼・骨折治療のマニュアル.橈骨頭・頚部骨折.Monthly Book Orthopaedics 2008;21(7):65-71.
術中写真
術中写真。転位した橈骨頭の骨片は完全に遊離していた。
出典
1:
著者提供
完全に遊離した橈骨頭骨片
転位した橈骨頭の骨片は完全に遊離していたため、いったん創外に取りだし、関節面が合うように骨片を径1.0mmの鋼線で仮固定し、その鋼線をガイドピンとして骨片を一塊とした。
出典
1:
著者提供
最終診察時左肘関節単純X線
単純X線肘関節正面画像、側面側 low-profileとHerbert screwで内固定し、術後2カ月半で骨癒合が得られた。
出典
1:
澤泉卓哉,南野光彦:肘関節脱臼・骨折治療のマニュアル.橈骨頭・頚部骨折.Monthly Book Orthopaedics 2008;21(7):65-71.
初診時左肘関節単純X線像およびCT画像
a:単純X線肘関節正面像、b:側面像および、c,d:CT画像で、橈骨頭骨折を認めた。
出典
1:
南野光彦,澤泉卓哉,小寺訓江,友利裕二,堀口 元,高井信朗:成人橈骨頭・頚部骨折の治療成績の検討.骨折 2013;35:36-39.
最終診察時左肘関節単純X線像
a:単純X線肘関節正面画像
b:側面像 Herbert screwと鋼線で内固定し、術後2カ月で骨癒合を得られた。
出典
1:
南野光彦,澤泉卓哉,小寺訓江,友利裕二,堀口 元,高井信朗:成人橈骨頭・頚部骨折の治療成績の検討.骨折 2013;35:36-39.
初診時左肘関節単純X線像
a:単純X線肘関節正面像、b:側面像で、橈骨頸部骨折を認めた。
出典
1:
Nanno M,Shirai Y,Ito H, Sawaizumi T, Hashiguchi H: Percutaneous pinning for radial neck fractures. J. Jpn. Elbow Soc.2001;8: 109-110.
術直後左肘関節単純X線像
a:単純X線肘関節正面像
b:側面像。1.8mm Kirschner鋼線を経皮的に刺入し、骨片を整復して固定した。
出典
1:
Nanno M,Shirai Y,Ito H, Sawaizumi T, Hashiguchi H: Percutaneous pinning for radial neck fractures. J. Jpn. Elbow Soc.2001;8: 109-110.
最終診察時左肘関節単純X線像
a:単純X線肘関節正面像、b:側面像。術後7週間で骨癒合が得られた。
出典
1:
Nanno M,Shirai Y,Ito H, Sawaizumi T, Hashiguchi H: Percutaneous pinning for radial neck fractures. J. Jpn. Elbow Soc.2001;8: 109-110.
Mason-Morrey分類
Mason-Morrey分類type Iは転位のない橈骨頭辺縁部骨折または転位のない(橈骨頭傾斜角< 10°)橈骨頚部骨折で、type IIは転位のある橈骨頭辺縁部骨折または転位のある頚部骨折(橈骨頭傾斜角≧ 10°)で、type IIIは橈骨頭粉砕骨折または橈骨頚部が粉砕あるいは高度に転位した橈骨頚部骨折で、type IVは肘関節脱臼を合併した橈骨頭骨折または橈骨頚部骨折である。
Regan分類
Regan分類TypeⅠは剝離骨折、TypeⅡは骨片が鉤状突起全高の50%以下、TypeⅢは骨片が鉤状突起全高の50%を超える。
アプローチと手術手技 1) Step 1
上腕骨外上顆近位から橈骨頭を通り、尺骨後縁稜に至る約 5 cmの弓状切開を加えた(Kocherの外側アプローチ)
アプローチと手術手技 2) Step 2
上腕骨外上顆近位から橈骨頭を通り、尺骨後縁稜に至る約 5 cmの弓状切開を加えた(Kocherの外側アプローチ)
アプローチと手術手技 3) Step 3
前腕を回内位にして橈骨頚部上の回外筋の一部と輪状靱帯を切離し、骨折部を展開、新鮮化した
アプローチと手術手技 4) Step 4
a:橈骨頭頚部骨折の骨片の展開
b:Kirschner鋼線による骨片の仮固定と鋼線をガイドとしたHerbert screwの刺入
c:回内位でのHerbert screwとlow-profileの位置
d:回内位でHerbert screwを、中間位でlow-profileを設置すると互いに干渉しにくい。
回内位での後骨間神経の位置
後骨間神経はarcade of Frohseで回外筋の浅層と深層の間を走行しているので、橈骨頚部を展開する際、神経損傷を防ぐためには、前腕肢位を回内位にして骨膜に沿って剝離する必要がある。
Low-profile plate system
a:Synthes社製Modular Hand System 2.0mm plate
b:Stryker社製Profile Combo 1.7mm plate
出典
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Martin社製Herbert bone screw
silver: standard screw
blue: mini screw
出典
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Kirschner鋼線(径1.0mm)
出典
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safe zone
前腕を回旋した際、尺骨に干渉しない橈骨頭の関節面、すなわちsafe zoneにplateを設置する必要がある。
術後の安静肢位
長上肢ギプス(シーネ)で固定した上肢を点滴台でつるして、拳上する。
橈骨頭骨折:Mason-Morrey分類別治療方針
橈骨頭骨折の治療のフローチャート
出典
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橈骨頚部骨折:Mason-Morrey分類別治療方針
橈骨頚部骨折の治療のフローチャート
出典
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合併損傷を伴った橈骨頭、橈骨頚部骨折の治療方針
合併損傷を伴った橈骨頭、橈骨頚部骨折の治療のフローチャート
出典
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