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治療のアルゴリズム

X線写真を撮った初診時に、治療方針を決定することができるアルゴリズムである。
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1: 著者提供

舟状骨の解剖

舟状骨は3次元的に複雑な形をしている。特に有頭骨との関節面は大きく凹となっている。手関節を尺屈すると、X線像で舟状骨は長くみえ、橈屈すると、短くみえる。つまり、尺屈すると、舟状骨は側面で長軸に平行に起きてくる。橈屈すると、舟状骨は側面で長軸に直交する方向に寝ていく。

舟状骨偽関節手術のビデオ

手関節掌側のZig-zag切開で進入。皮切を横切る橈骨動脈の掌側枝を結紮切離する。その下に橈側手根屈筋腱(FCR)の腱鞘があり、これを切開して、尺側によける。手関節包を切開して、舟状骨を展開する。骨折部に骨欠損があるのがみえる。偽関節部を新鮮化するために、硬化した骨折部をノミ・鋭匙を用いて掻爬する。手関節を背屈させて、骨欠損部を開く。そこに、楔状の腸骨からの移植骨を挟み込むので、その大きさを計測する。その大きさに合わせて、腸骨からボーンソーで採骨する。舟状骨の骨軸に沿って、断面の中央にくるようにガイドピンを刺入する。キャニュレイテッドスクリューなので、そのガイドにドリルを通してドリリングする。長さを計測してスクリューを選択し、ドライバーで挿入する。

解剖学的嗅ぎタバコ入れ(snuff box)

表面解剖から舟状骨の位置がわかる。
EPL(長母指伸筋腱)とEPB(短母指伸筋腱)の間にscaphoid(舟状骨)が存在する。
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1: 編集部作成

Herbert 分類(Herbert and Fisher, 1984)

1996年のFilanとHerbert分類では、Type Cは、なしになっている。
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1: 編集部作成

舟状骨への血行

舟状骨への血行は、末梢から入り(a、b)、中枢へ向かう。
したがって、骨折すると、中枢は乏血に陥りやすい。
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1: Browner: Skeletal Trauma 

scaphoid nonunion advanced collapse(SNAC)wrist の Stage

a:Stage I:橈骨茎状突起間の関節症
b:Stage II:橈骨・舟状骨間の関節症
c:Stage III:舟状骨、月状骨と有頭骨間の関節症
d:Stage IV:橈骨・月状骨間の関節症
Stageが順に進んでいく。
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1: 編集部作成

観血的整復固定を行うときのアプローチ

掌側のZigzag アプローチで進入する。橈側手根屈筋腱の上を切る。
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1: Browner: Skeletal Trauma

舟状骨骨折の分類

受傷からの期間には関係なく、X線写真の手関節正面・側面と手関節尺屈位正面で舟状骨骨折の形態を以下の3型に分けて分類した。転位がないか、あっても2 mm未満の症例は線状型(a)。線状型と同じ定義であるが、骨折線が嚢胞状透亮像を示すものを、嚢胞型(b)。骨折線が2 mm以上の転位を示すか、硬化帯が1 mm以上ある症例は、硬化・転位型(c)。
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1: Percutaneous screw fixation without bone graft for cystic-type scaphoid fractures.
著者: Ikeda K, Osamura N, Tomita K.
雑誌名: J Trauma. 2008 Dec;65(6):1453-8. doi: 10.1097/TA.0b013e31805824f3.
Abstract/Text: BACKGROUND: The most controversial problem in treating scaphoid fractures is whether bone grafts are necessary for cystic-type fractures.
METHODS: We treated 105 scaphoid fractures using Herbert screws (1988-1997), AO 3.0 mm cannulated screws (1998-2002), and Acutrak screws (2003-2006). The patients ranged in age from 14 years to 67 years (average, 26 years). Our classifications were based on the radiographic findings: linear type (51 cases); cystic type (24 cases); and sclerotic or displaced type (30 cases). Linear and cystic types did not have any displacement more than 2 mm. If the fracture line had a sclerotic zone thicker than 1 mm, it was classified as sclerotic or displaced. The length of time before surgery did not affect the classification. Osteosynthesis was performed--without bone graft in all linear cases, with a bone graft in 7 and without a bone graft in 17 cases in cystic type, and with all bone graft in sclerotic or displaced type.
RESULTS: Bone union was achieved in all cases in linear type. There were one failure (AO) in 7 cases with bone graft and 3 failures (1 Herbert and 2 AO) in 17 cases without bone graft in cystic type. All 10 cases achieved bone union without bone graft in cystic type using Acutrak screw. There were two failure cases (2 AO) in sclerotic or displaced type.
CONCLUSIONS: Screw fixation without bone graft using Acutrak screws was a reliable strategy for the treatment of cystic-type scaphoid fractures.
J Trauma. 2008 Dec;65(6):1453-8. doi: 10.1097/TA.0b013e31805824f3.
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2: 池田和夫、坪内英樹、多田 薫、納村直希、富田勝郎:舟状骨骨折のレントゲン所見に基づいた治療方針.日本手外科学会雑誌 24 : 58 – 62, 2007 (改変あり)

月状骨周囲脱臼に合併した舟状骨骨折

a:受傷時正面  b:受傷時側面  c:整復固定後
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1: 著者提供

MRIで初めて診断がつく舟状骨骨折

X線像で骨折が明らかでなくても、解剖学的嗅ぎタバコ入れに圧痛があれば骨折を疑い、MRIを撮影すると、骨折が判明することがある。
a:X線像では骨折は明らかでない。
b:MRIで骨折線が明らかとなる。
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1: 著者提供

舟状骨

S:舟状骨 手関節の中で母指の付け根にあたる骨が舟状骨。
ちなみに、TZ:大菱形骨、Td:小菱形骨、C:有頭骨、L:月状骨、H:有鈎骨、Tq:三角骨、P:種子骨
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1: DeLee: DeLee and Drez's Orthopaedic Sports Medicine

舟状骨骨折

舟状骨の腰部の骨折。
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スクリュー固定したX線写真

舟状骨の長軸に沿って、骨断面の中心を通るようにスクリューは刺入されている。
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1: 著者提供

転位のほとんどない骨折

経皮的スクリュー固定
a:X線正面で腰部に線状型の骨折線が認められる。
b:アキュトラックスタンダードスクリューで固定されている。
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偽関節

硬化・転位型の舟状骨骨折 3年間放置の症例
a: 舟状骨の腰部の偽関節
b: 骨欠損部
c:腸骨からの採骨
d:骨欠損部に骨移植
e:腸骨からの移植骨をサンドイッチしてスクリューと回旋予防のキルシュナー鋼線で固定してある。
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舟状骨骨折

舟状骨骨折で「嚢胞型」に分類される。
a:嚢胞型骨折が腰部にある。
b:スクリュー固定と超音波骨折治療(セーフス)を行った。
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装具

舟状骨骨折の治療に用いる。
手関節と母指MP関節まで固定される。
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CT像

X線像で骨折が明らかでない場合でも、臨床的に骨折を疑った場合、CTで明らかになる場合もある。
a:X線像では骨折は明らかでない。
b:CT像、矢状断で骨折は明らかとなった。
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1: 著者提供

MRI像

X線像で「嚢胞型」を示す内部の情報はMRIで確認する。
a:X線像で「嚢胞型」を示す。
b:MRI像で、嚢胞内は関節液と同じ信号であり、液体貯留が考えられる。
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MRI像

X線像で「嚢胞型」を示す内部の情報はMRIで確認する。
a:X線像で「嚢胞型」を示す。
b:関節液とは違い、軟骨と同じ信号強度を示す。線維性癒合状態を示している。
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1: 著者提供

舟状骨骨折の保存療法例

a:X線写真の正面、骨折線ははっきりしないので、この写真のみでは骨折の診断はできない。
b:X線写真の45°斜位、骨折線が明らかになる。
装具は母指CM関節症で用いる、このような装具を用いる。
c:装具装着正面写真
d:装具装着45°斜位写真
e:装具装着後1カ月目のX線写真
f:装具装着後2カ月目のX線写真
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舟状骨骨折の経皮的スクリュー固定例

a:舟状骨骨折、ほとんど転位はない。
b:CTでも骨折線を確認する。
c:経皮的スクリュー固定
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舟状骨骨折の観血的整復固定&腸骨移植例

a:X線像は、舟状骨の骨折「硬化・転位型」を示している。舟状骨の偽関節である。
b:術後のX線写真、スクリュー固定と鋼線2本の補助固定がされている。
c:術中写真、骨欠損がみられる。
d:欠損部には腸骨からの移植骨が挟まれている。
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骨折部位および転位の程度と舟状骨偽関節の関連性

骨折部位により骨癒合率が異なるのが舟状骨骨折の特徴である。特に近位で不良である。
 
参考文献:
Canale & Beaty: Campbell''s Operative Orthopaedics, 12版(2013)P.3396 図69-22
 
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舟状骨骨折に伴うDISI変形(月状骨背屈変形)

a:正面、舟状骨偽関節により、月状骨が背屈転位しているので、月状骨の有頭骨関節面が広くみえる。
b:側面、月状骨が背屈転位している。
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結節部(遠位1/3)骨折に対する手術療法

a:遠位1/3(結節部)の舟状骨骨折
b:術前のCT像
c:スクリュー固定した後のCT像
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中枢(近位1/3)骨折に対する手術療法

a:中枢骨折
b:スクリュー固定は中枢からの刺入で行った。
c:ガイドピンを舟状骨のダブルリングの中心に刺入。
d:ガイドピンが中心を通っていることを確認する。
e:透視装置を手関節最大掌屈した舟状骨の長軸に合わせて観察する。
f:舟状骨の中枢極にスクリュー刺入点がみえている。母指がみえている。
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月状骨周囲脱臼に伴う舟状骨骨折の手術治療

a:月状骨周囲脱臼の正面X線像。舟状骨骨折はわかりにくい。
b:月状骨周囲脱臼の側面X線像。月状骨の末梢側凹に有頭骨が入っていない(脱臼している)ことがわかる。
c:CT像で脱臼は明らかである。
d:3 Kg の牽引をかけて徒手的整復を試みる。
e:脱臼が整復されると、舟状骨骨折がわかりやすくなる。
f:舟状骨をスクリュー固定し、月状骨・三角骨間はキルシュナー鋼線で一時的に固定した。6週後に抜釘して、関節可動域訓練を行った。
g:術後半年の手関節可動域は良好である(内側)。
h:術後半年の手関節可動域は良好である(外側)。
i:月状骨周囲脱臼に伴う舟状骨骨折の手術内容。
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陳旧性舟状骨偽関節に対する末梢骨片摘出術

a:X線正面像;3年前の受傷の硬化・転位型骨折。橈骨・舟状骨関節に変形性関節症がすでにある。
b:CT像、矢状断;舟状骨の両骨片に大きな嚢腫がある。舟状骨の末梢骨片が背側に突出している。
c:CT像、冠状断;舟状骨と大菱形骨にも変形性関節症がある。
d:側面CTでみえた舟状骨の末梢骨片の突出が右手背側に外観からわかる。
e:末梢骨片を摘出した。
f:この症例の手術内容。
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舟状骨偽関節に手術をして癒合しなかった症例の再手術

a:4年前の偽関節
b:腸骨移植をしてスクリュー固定をしたが、骨癒合が得られなかった。
c:スクリューを抜去して、骨移植をやり直して、新しいスクリューで固定し直した。
d:骨癒合が得られた。
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治療のアルゴリズム

X線写真を撮った初診時に、治療方針を決定することができるアルゴリズムである。
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舟状骨の解剖

舟状骨は3次元的に複雑な形をしている。特に有頭骨との関節面は大きく凹となっている。手関節を尺屈すると、X線像で舟状骨は長くみえ、橈屈すると、短くみえる。つまり、尺屈すると、舟状骨は側面で長軸に平行に起きてくる。橈屈すると、舟状骨は側面で長軸に直交する方向に寝ていく。