a:ばね指の皮切:上腕で止血し局所麻酔下に、通常はA1の部分で1~1.5 cmの横皮切を加える。皮膚紋理に合わせた皮切が一番よい。縦皮切・斜皮切などでも十分な展開が得られる。
b:展開と腱鞘切開:皮切は皮膚のみを切開し、脂肪組織が出たら、その中央に曲のモスキートペアンを腱鞘まで刺入し、縦方向に鈍的に展開する。神経鉤3つを使い、腱鞘を展開し、A1の全部、A2の一部、中枢部の輪状の線維も切離(または切除)する。浅指屈筋腱、深指屈筋腱を各々別々に引き上げ、癒着を剝離する。患者に術中に指を自動的に動かしてもらい引っかかりのなくなったことを確認する。洗浄後皮膚のみ縫合する。
c:母指では指の向きに注意:母指の場合は、脂肪層を展開するときに、母指の指腹が真上を向くように保持して展開する。不用意に進入すると橈側指神経を損傷する恐れがあるので注意する。