伸筋腱開放損傷
犬咬傷による伸筋腱の引き抜き損傷
出典
1:
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突き指によるつち指変形:伸筋腱閉鎖損傷
小指DIPの自動伸展ができない。PIPは軽度過伸展となっている。
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1:
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ボタン穴変形:中央索損傷
中央索がPIPのやや近位で断裂している。
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1:
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MP関節上で総指伸筋腱が脱臼するboxer’s knuckle:伸筋腱脱臼
MP関節上で総指伸筋腱が脱臼(中指)
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1:
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長母指伸筋腱(EPL)断裂:伸筋腱閉鎖損傷
転位の少ない橈骨遠位端骨折によるEPL断裂。母指IPが伸展できない。
出典
1:
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伸筋腱閉鎖損傷
関節リウマチによるEDC断裂
a. 小指MP関節伸展ができない。
b. 中指、環指、小指MP関節が伸展できない。
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1:
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進行したKienbӧck病:伸筋腱閉鎖損傷
Kienbӧck病によるEDC断裂、中指MP関節が伸展できない。
出典
1:
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総指伸筋腱断裂:伸筋腱閉鎖損傷
DRUJの変形性関節症によるEDC断裂。尺骨頭は算盤玉のようになっている。鋭利な刃物状の尺骨頭で伸筋腱は断裂する。
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1:
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伸筋腱の解剖
指伸展機構
出典
1:
日本手外科学会編:手外科用語集改定第4版、p236、2012
Zone分類
伸筋腱断裂の国際区分。関節上が奇数となっている。
出典
1:
編集部にて作図
伸筋腱の解剖
遠位の指背腱膜部とMPより近位の固有腱部に大別される。
出典
1:
編集部にて作図
ボタン穴変形発生のメカニズム
a:中央索が断裂すると、側索がPIPの回転中心より掌側に移動してPIP屈曲、DIP伸展のボタン穴変形に至る。
Elson test:
中央索が切れているとPIP屈曲時にDIPが伸展できる。
b、c:中央索が損傷されていない場合、PIP関節を他動屈曲させて保持した状態で、DIP関節は他動伸展はできるが自動伸展はできない。
d、e:中央索が損傷された場合、PIP関節を他動屈曲させて保持した状態でDIPが自動伸展できる。伸筋腱の収縮が側索を介してDIP伸展に働くためである。
出典
1:
James R. Roberts: Roberts and Hedges’ Clinical Procedures in Emergency Medicine and Acute Care Seventh Edition: Elsevier,2018: Figure 48.18
中央索断裂
ボタン穴変形
a:X線写真
b:典型的なボタン穴変形
出典
1:
MDConsultの図
mallet fingerによるスワンネック変形の発生機序
スワンネック変形:終末腱が断裂すると、側索が背側に移動してPIP関節が過伸展変形になる。
①終止伸筋の断裂により側索が近位へ退縮。②中央索のPIP関節への伸展力が増加する。③PIP関節掌側板の弛緩とともにPIP関節が過伸展する。
出典
1:
編集部にて作図
断裂部位による指変形
終末腱断裂ではマレット指、中央索損傷ではボタン穴変形、MP関節上EDC損傷では下垂指となる。
出典
1:
Courtney M. Townsend, Jr., JR,MD: Sabiston Textbook of Surgery: Elsevier,2021:Fig. 70.28
総指伸筋腱断裂の画像診断
CT VR(volume rendering)画像による断裂腱の描出
CT画像:DRUJのOAによるEDM、EDC小指の断裂例で伸筋腱の遠位断裂が描出されている。
出典
1:
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関節リウマチによる手関節変形;scallop sign
尺骨頭周囲の骨膜増殖によりDRUJが開大し、橈骨sigmoid notch部に圧迫像がみられる。
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1:
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手術症例:ZoneⅠ 終末腱断裂例の手術例
a:DIP伸展lag
b:断裂部には瘢痕組織が認められる。
c:瘢痕を切除。
d:縫合後DIIP関節はキルシュナー鋼線で一時固定を行った。
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1:
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手術症例:中央索損傷
a:PIP背側の腫脹
b:中央索の断裂を認める。
c:縫合後
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1:
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手術症例:MP関節上における総指伸筋腱脱臼
a:中指MP関節上でEDCが尺側に脱臼している。
b:橈側の矢状索の長軸断裂を認める。
c:深層の断裂を認める。
d:深層縫合
e:浅層縫合
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1:
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手術症例:母指基節骨上開放損傷
a:母指IP関節が伸展できない。
b:EPL断裂が確認される。(断裂部は開大し、瘢痕組織で連続している)
c:津下式ループ針で3針縫合後、補助縫合を行った。
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手術症例:MP関節部開放損傷
a:中指MP関節背側の開放創の感染
b:伸筋腱断裂と関節内膿貯留を認めた。
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1:
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手術症例:橈骨遠位端骨折によるEPL損傷
a:母指IP関節が伸展できない。
b:EIP腱をMP関節近位で切離し、伸筋支帯遠位で引き出した。
c:断裂したEPL腱にEIP腱を編み込み縫合した。
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1:
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手術症例:関節リウマチによる総指伸筋腱損傷
a:環指、小指のMP関節が伸展できない。
b:尺側と2指の伸筋腱が断裂。
c:断裂腱をまとめて、中指伸筋腱に編み込み縫合した。
d:指伸展時
e:指屈曲時
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1:
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手術症例:関節リウマチによるEPB、EPL断裂
a:母指MP、IP関節ともに伸展できない。
b:EPB、EPLの断裂を認める。
c:EPB、EPLともに腱移植(橋渡し移植)を行って再建した。
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1:
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ZoneⅡの損傷、陳旧例
a:示指PIP伸展lagを認める。
b:終末腱の退縮が大きかった。
c:腱移植による再建を行った。
d:水平マットレス縫合とfigure of eight縫合を行った。
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1:
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伸筋腱縫合法
中央索はループ針にて縫合した。側索を含めて表層をcross stitchをかけて縫合した。
出典
1:
Scott W. Wolfe, William C. Pederson, Scott H. Kozin, Mark S. Cohen: Green's Operative Hand Surgery: Elsevier,2021:Fig. 5.13.
伸筋腱縫合法
a:水平マットレス縫合による終末腱縫合。
b:糸のかけ方
c:2針縫合後
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1:
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伸筋腱縫合法
a:figure of eight縫合の糸のかけ方
b:figure of eight縫合
c:側索など薄い腱の縫合に適している。
d:実際例(終末腱縫合)
e:術後DIP屈曲
f:術後PIP伸展
g:DIP背側の瘢痕は目立たない。
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伸筋腱断裂治療のアルゴリズム
外傷性の伸筋腱断裂新鮮例は、開放創があれば可及的早期に縫合術を行う。縫合困難例は腱移行術を行う。閉鎖損傷も損傷部位により腱縫合、腱移行術を行う。陳旧例は拘縮除去を行ってから腱移行による再建を行う。関節リウマチなど外傷のない損傷は腱移行、腱移植による再建が必要である。
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