徒手筋力テスト(manual muscle test、MMT)
筋力を0から5までの6段階で評価する。
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1:
編集部にて作図
Tinel様徴候
絞扼性神経障害では神経の絞扼点を検者の指で叩くと痛み・しびれが末梢に放散する。図は手根管症候群の例である。
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1:
編集部にて作図
固有支配領域
固有支配領域とは単一の神経のみで支配される領域のことである。正中神経の感覚支配域は母・示・中指、環指橈側半分と手掌の橈側半分であり、固有支配領域は示・中指の先端である。橈骨神経の感覚支配域は手背橈側であり、固有支配領域は第1指間背側である。尺骨神経の感覚支配域は手背手掌の尺側半分であり、固有支配領域は小指である。
a:正中神経
b:橈骨神経
c:尺骨神経
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1:
編集部にて作図
tear drop徴候
母指IP関節および示指DIP関節の屈曲不能のため母指と示指で正円が作れない。正円が崩れて涙滴に似た形をとるためにこの名称がある。
出典
1:
編集部にて作図
下垂指(drop finger)
後骨間神経(橈骨神経深枝)が障害されると手指の伸展は不可能となるが、手関節の伸展は可能である。これを下垂指という。この現象は長橈側手根伸筋腱の筋枝が肘より中枢で橈骨神経から分岐することによる。すなわち、肘より末梢で後骨間神経が障害された場合は下垂指となる。
出典
1:
編集部にて作図
下垂手(drop hand)
橈骨神経が肘より中枢で障害された場合は、手指と手関節の伸展が不可能になる。これを下垂手という。
出典
1:
編集部にて作図
tear drop徴候
出典
1:
著者提供
後骨間神経麻痺
後骨間神経は青白い外観を呈している。arcade of Frohseは腱様に硬化して、後骨間神経を圧迫している。その近位には血管による絞扼も認める。
出典
1:
根本孝一先生ご提供
圧迫が神経内組織に及ぼす影響
いわゆる絞扼性神経障害と呼ばれている圧迫性神経障害は急性損傷でも慢性障害でも起こり得る。
出典
1:
越智光夫訳. 生田義和監訳. 末梢神経の損傷と修復. 廣川書店, 1991: 67.
正中神経の解剖
出典
1:
内西兼一郎編:末梢神経損傷診療マニュアル.金原出版,1991.87.
正中神経と回内筋起始部
正中神経は円回内筋起始部の2頭間を通過するが、この部位が腱様に固い場合があり、正中神経の絞扼性神経障害が起こることがある。これを回内筋症候群(pronator syndrome)という。回内筋症候群では肘前面の疼痛、正中神経支配領域にしびれを生じる。前骨間神経麻痺を伴う場合を除いて運動麻痺を生じることは少ない。
参考文献:
Tubiana R, McCullough CJ, Masquelet A: An atlas of surgical explosures of the upper extremity. Philadelphia,:Lippencott, 1990.
内西兼一郎編: 末梢神経損傷診療マニュアル. 金原出版, 1991.
越智光夫訳. 生田義和監訳. 末梢神経の損傷と修復. 廣川書店, 1991.
田中啓之, 川端英彦:正中神経麻痺. 越智隆弘, 三浪明男編. 最新整形外科学大系第22巻末梢神経疾患、筋疾患、循環障害. 中山書店,2007;68-75.
越智健介, 松村崇史, 川島秀一, 森田晃造, 武井照江:特発性前・後骨間神経麻痺の手術経験. 神経上膜における浮腫の検討と神経束形態異常の分類. 日手会誌2009;25: 377-381.
津下健哉: 手の外科の実際 改訂第7版. 南江堂, 2011.
出典
1:
編集部にて作図
肘部における正中神経障害の誘発テスト
肘関節部には正中神経の3カ所の絞扼点がある。
円回内筋による障害。肘90°屈曲・手関節90°屈曲位で、検者が前腕回外・手関節屈曲の力を加え、患者がこれに逆らって回内するときに疼痛を生じる。
上腕二頭筋腱膜による障害。肘90°屈曲・前腕回外位で、検者が肘関節伸展・前腕回内の力を加え、患者がこれに逆らって屈曲するときに疼痛を生じる。
浅指屈筋腱中枢のアーチによる障害。示・中・環・小指を伸展位に保持し、検者が中指に伸展力を加え、患者がこれに逆らって中指を屈曲するときに疼痛を生じる。
参考文献:
内西兼一郎編: 末梢神経損傷診療マニュアル. 金原出版, 1991.
出典
1:
内西兼一郎編:末梢神経損傷診療マニュアル.金原出版,1991.90.
橈骨神経の解剖
橈骨神経は肘関節伸展・前腕回外・手関節伸展・指MP関節伸展の運動と、手背橈側・前腕背橈側・上腕遠位背橈側の皮膚感覚を支配する。
参考文献:
内西兼一郎編: 末梢神経損傷診療マニュアル. 金原出版, 1991.
出典
1:
内西兼一郎編:末梢神経損傷診療マニュアル.金原出版,1991.107.
橈骨神経とarcade of Frohse
回外筋の入口部を指す。橈骨神経は肘高位で深枝(後骨間神経)と浅枝に分岐し、後骨間神経はarcade of Frohseを潜り込む。arcade of Frohseが線維性索状物になっている場合は後骨間神経の絞扼性神経障害を起こすことがある。これを回外筋症候群(supinator syndrome)という。回外筋症候群では下垂指(drop finger)となる。感覚障害はない。
参考文献:
Tubiana R, McCullough CJ, Masquelet A: An atlas of surgical explosures of the upper extremity. Philadelphia: Lippencott, 1990.
村瀬剛, 川端英彦:後骨間神経麻痺. 越智隆弘, 三浪明男編. 最新整形外科学大系第22巻末梢神経疾患、筋疾患、循環障害. 中山書店, 2007;89-93.
越智健介, 松村崇史, 川島秀一, 森田晃造, 武井照江:特発性前・後骨間神経麻痺の手術経験. 神経上膜における浮腫の検討と神経束形態異常の分類. 日手会誌2009;25: 377-381.
津下健哉: 手の外科の実際 改訂第7版. 南江堂, 2011.
出典
1:
編集部にて作図
橈骨神経浅枝とWartenberg症候群
参考文献:
Tubiana R, McCullough CJ, Masquelet A: An atlas of surgical explosures of the upper extremity. Philadelphia :Lippencott, ,1990.
内西兼一郎編: 末梢神経損傷診療マニュアル. 金原出版, 1991.
西浦康正, 田中利和, 落合直之, 伊藤恵康:橈骨神経浅枝絞扼性神経障害の治療経験. 東日本整災会誌1999;11: 562-565.
島田幸造:橈骨神経浅枝麻痺. 越智隆弘, 三浪明男編. 最新整形外科学大系第22巻末梢神経疾患、筋疾患、循環障害. 中山書店, 2007;94-97.
出典
1:
編集部にて作図
重複神経障害(double lesion neuropathy)
末梢神経に圧迫があると、軸索流や血流の障害、神経滑走の障害等が発生するために、同一神経の他の部位において神経の易損性が発生する。図は上肢における重複神経障害のシェーマである。
参考文献:
Upton ARM, McComas AJ: Hypothesis. The double crush in nerve entrapment syndromes. Lancet 2: 359-362, 1973.PMID: 4124532.
Nemoto K, Matsumoto N, Tazaki K, Horiuchi Y, Uchinishi K,Mori Y: An experimental study on the "double crush" hypothesis. J Hand Surg. 12A: 552-559, 1987.PMID:3611653.
Dahlin LB, Lundborg G: The neurone and its response to peripheral nerve compression. J Hand Surg. 15B: 5-10, 1990.PMID:2407794
Osterman AL: Double crush and multiple compression neuropathy. Ed. by Gelberman RH. In: Operative nerve repair and reconstruction.Philadelphia: Lippincott, 1991: 1211-1229.
根本孝一:Double crush syndromeの診断と治療. 脊椎脊髄ジャーナル2003;16:1105-1110.
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1:
編集部にて作図
くびれ
特発性の前骨間神経麻痺および後骨間神経麻痺にはいわゆる「くびれ」をみることがある。神経を剝離すると、青白い外観を呈しており、剝離を進めると砂時計様のくびれが存在する。原因は特定されていない。くびれに対しては神経束間剝離術を行う。
参考文献:
田崎憲一, 堀内行雄, 矢部裕:末梢神経のくびれ. MB Orthop 2002;15:43-48.
山本真一:前骨間神経麻痺・くびれを伴う麻痺の病態と治療. 整・災外2008;51: 509-512.
越智健介, 松村崇史, 川島秀一, 森田晃造, 武井照江:特発性前・後骨間神経麻痺の手術経験. 神経上膜における浮腫の検討と神経束形態異常の分類. 日手会誌2009;25: 377-381.
越智 健介:【Neuralgic amyotrophyとは】特発性前骨間神経麻痺と特発性後骨間神経麻痺. 脊椎脊髄ジャーナル 2018;31(5):507-518.
出典
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根本孝一先生ご提供
Wartenberg症候群
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著者提供
術前の所見
下垂指を示す。すなわち、手関節の伸展はできるが、手指のMP関節伸展ができない。
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1:
根本孝一先生ご提供
肘の外見所見
肘前面に軟部腫瘤を認める(○印)。
出典
1:
根本孝一先生ご提供
MRI所見
左肘関節の前面にT1・T2高信号、脂肪抑制効果を認める軟部腫瘤を認め、脂肪腫と考えられる。R:橈骨、U:尺骨
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1:
根本孝一先生ご提供
手術所見
軟部腫瘍を周囲から剝離して切除した。橈骨神経の周囲に圧迫因子がないことを確認した後、arcade of Frohseを開放して、後骨間神経に神経剝離術を行った。病理診断は脂肪腫であった。
a:周囲から剝離した脂肪腫(7×5×1.5cm)
b:神経剝離術を行った後骨間神経
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根本孝一先生ご提供
術後4カ月の所見
手指の完全伸展が可能である。
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1:
根本孝一先生ご提供
前骨間神経くびれ
特発性の前骨間神経麻痺および後骨間神経麻痺にはいわゆる「くびれ」をみることがある。神経を剝離すると、青白い外観を呈しており、剝離を進めると砂時計様のくびれが存在する。原因は特定されていない。くびれに対しては神経束間剝離術を行う。
参考文献:
Nagano A, Shibata K, Tokimura H, Yamamoto S, Tajiri Y:Spontaneious anterior interosseous nerve palsy with hourglass-like fascicular constriction within the main trunk of the median nerve. J Hand Surg. 1996;21A:266-270.
田崎憲一, 堀内行雄, 矢部裕:末梢神経のくびれ. MB Orthop 2002;15:43-48.
山本真一:前骨間神経麻痺・くびれを伴う麻痺の病態と治療. 整・災外2008;51: 509-512.
越智健介, w松村崇史, 川島秀一, 森田晃造, 武井照江:特発性前・後骨間神経麻痺の手術経験. 神経上膜における浮腫の検討と神経束形態異常の分類. 日手会誌2009;25: 377-381.
越智 健介:【Neuralgic amyotrophyとは】特発性前骨間神経麻痺と特発性後骨間神経麻痺. 脊椎脊髄ジャーナル 2018;31(5):507-518.
出典
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著者提供
回内筋症候群・前骨間神経麻痺の診断と治療
出典
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根本孝一先生ご提供
回外筋症候群・後骨間神経麻痺の診断と治療
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1:
根本孝一先生ご提供
Wartenberg症候群の診断と治療
出典
1:
根本孝一先生ご提供