頚椎椎間板ヘルニアの脱出形態
脱出の形態は、
Ⅰ型:靱帯内脱出(脱出腫瘤が後縦靱帯の深層を穿破し、浅・深層間にとどまるもの)、
II型:後縦靱帯浅層穿破(靱帯を破り、一部が硬膜外腔に脱出したもの)、
Ⅲ型:硬膜外腔遊離片、
に分けられる。
出典
1:
国分正一:頚部椎間板ヘルニアの病態と治療.日整会誌69:375-387, 1995.図5. 後縦靱帯穿破様式の分類
頚部脊髄症の神経学的高位診断指標
脊髄症では、圧迫される脊髄の髄節が神経根に比べておおよそ1髄節低い。すなわちC5/6椎間でC7髄節が障害される。灰白質障害による髄節徴候として上肢の深部腱反射の減弱、筋力低下、知覚障害がみられる。
出典
1:
国分正一:頚部椎間板ヘルニア.臨整外24: 289-297, 1989.図3 頚部脊髄症の神経学的高位診断指標
頚部神経根症の治療成績判定基準
頚部神経根症の状態を20点満点で評価する。
出典
1:
田中靖久、国分正一、佐藤哲朗ほか:頚部神経根症に対する保存療法の成績とその予測. 整・災外40: 167-173, 1997.
日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準
頚部脊髄症の状態を17点満点で評価する。100点満点で評価する方法もある。
出典
1:
山内裕雄、平林洌:日整会誌 68 (5): 490-503, 1994
頚椎前方除圧固定術(国分法)
頚椎椎間板を前方から摘出して行って椎間板後方に到達した後、ヘルニアを摘出する。空隙となった椎間板部にスプレッダーを用いて、二枚割とした自家骨による骨移植を行う。
出典
1:
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頚椎椎間孔拡大術によるヘルニア摘出術
椎間関節内側部を掘削し、ヘルニアを摘出する。
a:頚椎椎間孔拡大術
b:腫瘤の展開と後縦靱帯浅層の切開(破線)
c:ヘルニア摘出
出典
1:
国分正一:頚部椎間板ヘルニアの病態と治療.日整会誌69:375-387, 1995 図17 Foraminotomyによるヘルニア摘出術
両開き式頚椎椎弓形成術(黒川法)
椎弓形成術にて頚椎の脊柱管を拡大し、脊髄を後方に除圧する。左右に開いた椎弓間にHydroxyapatite(HA)製のspacerを絹糸で括り付ける。
出典
1:
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症例2 術前MRIa:矢状断像b:横断断像(C5/6)
C5/6高位に中心性椎間板ヘルニアがみられた。
椎間板から後方に大きな椎間板の突出がみられ、脊髄がブーメラン状に変形している。
a:MRI 矢状断像
b:MRI 横断像
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症例3 術前MRIa:矢状断像b:横断断像(C3/4)
C3/4椎間で傍正中ヘルニアによって脊髄が勾玉状に変形している。
出典
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症例1 術前MRI(横断像)
C6/7椎間、脊柱管外側から椎間孔部に椎間板ヘルニアの脱出がみられる。
出典
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症例2 術後a:Xp(側面)b:CT像
手術はC5/6椎間で前方からの圧迫を除去し、腸骨片を用いた前方除圧固定術(国分法)を行った。
出典
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症例1 術中手術所見
椎間孔拡大術にて、神経根部に椎間板ヘルニアの脱出がみられた。
a:神経根、b:硬膜、c:椎間板ヘルニア
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症例1 術後CT
椎間孔拡大術を行い、椎間板ヘルニアを摘出した。
出典
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症例 3 術中写真(両開き式頚椎椎弓形成術)
脊柱管の拡大を保持するために、左右に開いた椎弓間にHydroxyapatite(HA)製のspacerを絹糸で括り付ける。
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症例3 頚椎椎弓形成術術後のXp(側面)
頚椎椎弓部の白いブロックは、脊柱管の拡大を保持するために用いたHydroxyapatite(HA)製のspacer
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症例2 術前脊髄造影後のCT
C6/7椎間、硬膜管外側部に根嚢欠損像がみられる。
出典
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症例2 術後1カ月後のMRIa:矢状断像b:横断断像(C5/6)
手術はC5/6椎間での前方から椎間板ヘルニアを除去した。脊髄の圧迫が除去されている。
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症例3 術後MRIa:矢状断像b:横断断像
椎弓形成術によって脊髄はその形態が復元し、椎間板ヘルニアも縮小している。
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頚部神経根症を伴う頚椎椎間板ヘルニア
頚から肩甲部にかけての痛み(しばしば激痛)で始まり、徐々に上肢に放散し、手指(特に手背側)にしびれが生じる経過をとった場合には、頚部神経根症が疑われる。頚部神経根症を引き起こす原因の一つして頚部椎間板ヘルニアが挙げられる。その画像診断にはMRIが有用である。肩の挙上障害や下垂指がみられる場合は手術的治療を早めに行う。頚部から上肢への疼痛を主体としている場合には、まず保存療法を行う。これには頚部の前屈位保持を基本とした生活指導、薬物療法、頚部神経根ブロックなどが挙げられる。3カ月ほど行って改善しない場合には、手術的治療に切り替える。
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頚部脊髄症を呈する頚椎椎間板ヘルニア
手のしびれ、知覚障害に続いて手の巧緻運動障害(ボタンはめ、箸使い、書字)、下肢のしびれ、知覚障害、歩行障害(階段で手すりを要する、平地歩行で支持を要するなど)がみられた場合には、頚部脊髄症が疑われる。頚部脊髄症を引き起こす原因の一つとして頚部椎間板ヘルニアが挙げられる。その画像診断にはMRIが有用である。四肢のADL障害が明瞭な場合には、早めに手術的治療を行う。手のしびれだけなどと障害が軽度の場合は、生活指導、薬物療法などの保存療法を行う。
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