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頚椎後縦靱帯骨化症診断・治療アルゴリズム

四肢末梢のしびれ感、巧緻障害、歩行障害の場合
(1) 痙性麻痺があるか、否か
基本は神経学的診察法である。
*1 深部腱反射の亢進、病的反射の出現(上肢では深部腱反射の低下の可能性あり、注意が必要)。
(2) 頚椎側面単純X線検査やCT検査にて後縦靱帯骨化があるか、否か
*2 単純X線で後縦靱帯骨化がはっきり見えないことがあるので、その場合はCT検査で確認する。
*3 CTによる詳細な骨化分類
単純X線側面像で連続性に見えてもCTで詳細に調べると骨化が途切れている事が多い。また、椎間で骨化が途切れていなくても、骨化が椎体後縁と連続性がない場合もある。このような骨化形態を非架橋型として、動的因子の関与を考慮する必要がある。
頚椎に後縦靱帯骨化が認められたら、可能であれば全脊椎のCTを撮像し、胸椎および腰椎レベルの後縦靱帯骨化と黄色靱帯骨化の有無を確認する。
CT画像による新しい骨化分類(図[ID0606])
骨化占拠率:B/A(図[ID0604])
有効脊柱管前後径:A-B(図[ID0604])
発育性脊柱管前後径:A(図[ID0604])
(3) 脊髄症状があるか、否か
*4 痙性を伴う脊髄症状があれば頚椎MRI検査を行うが、上肢症状が乏しい場合は胸椎MRI検査が必要なこともある。
(4) 鑑別診断:痙性がなく、頚椎単純X線やMRI検査で明らかな異常所見がなければ、神経伝導速度や筋電図などで手根管症候群や肘部管症候群などを鑑別する
*5 四肢の神経症状があるにも関わらず検査所見で診断にいたらなかったり、MRIで有意な脊髄圧迫がない場合には神経内科に対診する。
*6 脊椎脊髄腫瘍やリウマチ頚椎病変なども鑑別する。
 
出典
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1: 日本整形外科学会, 日本脊椎脊髄病学会監、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン策定委員会編:脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン 2019.南江堂、2019、p12, 図1.

頚椎の靱帯(頚椎側面像)

椎体前面を縦走するのが前縦靱帯、椎体後面を縦走するのが後縦靱帯である。

頚椎の靱帯(頚椎横断像)

頚髄は脊柱管の中を通っており、その脊柱管前方の椎体後面に後縦靱帯がある。黄色靱帯は椎弓の間を左右に膜を張ったように存在し、脊柱管の後方にある。

頚椎後縦靱帯骨化症を疑う脊髄症状

a:手・腕の症状、b:足・脚の症状

骨化占拠率

骨化占拠率:B/A

頚椎後縦靱帯骨化症に対する手術方法

前方法と後方法

CT画像による新しい骨化分類

  1. A分類:骨化が途絶しているか否か,椎間で途絶していなくても骨化が椎体後縁と連続性がなければ非架橋型と判断する。
  1. B分類:2mm以上の骨化を認めるレベルと途絶の有無を詳細に記載する。
  1. “.”:分節型のように骨化が椎間で途切れている場合は、“C4.”のように表現する。
  1. “/”:骨化が椎間を越えているものの隣接椎体の後縁と連続性がない場合(非架橋型)は、“C3/4”のように表現する。
  1. “-”:骨化が椎間を越え,かつ隣接椎体の後縁と連続している場合(架橋型)は、“C2-3-4”のように表現する。
  1. “○”:骨化が椎体の後縁と連続性がない(浮いている)場合、その椎体に○を付けることにより、○が付いていない椎体では骨化が椎体と連続していないことを示す(○がなければ椎体後縁と骨化巣がくっついている)。
 
参考文献:
Kawaguchi Y, Matsumoto M, Iwasaki M, Izumi T, Okawa A, Matsunaga S, Chiba K, Tsuji T, Yamazaki M, Fujimori T, Yoshii T, Toyama Y. New classification system for ossification of the posterior longitudinal ligament using CT images. J Orthop Sci. 2014 Jul;19(4):530-6. doi: 10.1007/s00776-014-0577-4. Epub 2014 May 10. PubMed PMID: 24817494.
出典
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1: 日本整形外科学会, 日本脊椎脊髄病学会監、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン策定委員会編:脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019.南江堂、2019、p13, 図3.

X線像とMRI画像所見

a:頚椎側面X線像にてC2-4レベルに後縦靱帯骨化(連続型)を認める(骨化占拠率は約53%)。
b:MRI矢状断にてC3/4レベルにおいて髄内輝度変化を認める。
出典
img
1: 著者提供

X線およびCT、MRI画像所見

a:C2-5レベルに後縦靱帯骨化(混合型)を認める。
b:頚胸椎CTではC2-T1、T2-6に後縦靱帯骨化を認め、骨化占拠率はC3/4レベルで48%、T4/5レベルでは60%であった。
c:頚胸椎MRI矢状断では、頚椎はC3-5レベル、胸椎もT2/3とT3/4レベルで後縦靱帯骨化による脊髄の圧迫が著明であった。
出典
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1: 著者提供

頚椎後縦靱帯骨化症診断・治療アルゴリズム

四肢末梢のしびれ感、巧緻障害、歩行障害の場合
(1) 痙性麻痺があるか、否か
基本は神経学的診察法である。
*1 深部腱反射の亢進、病的反射の出現(上肢では深部腱反射の低下の可能性あり、注意が必要)。
(2) 頚椎側面単純X線検査やCT検査にて後縦靱帯骨化があるか、否か
*2 単純X線で後縦靱帯骨化がはっきり見えないことがあるので、その場合はCT検査で確認する。
*3 CTによる詳細な骨化分類
単純X線側面像で連続性に見えてもCTで詳細に調べると骨化が途切れている事が多い。また、椎間で骨化が途切れていなくても、骨化が椎体後縁と連続性がない場合もある。このような骨化形態を非架橋型として、動的因子の関与を考慮する必要がある。
頚椎に後縦靱帯骨化が認められたら、可能であれば全脊椎のCTを撮像し、胸椎および腰椎レベルの後縦靱帯骨化と黄色靱帯骨化の有無を確認する。
CT画像による新しい骨化分類(図[ID0606])
骨化占拠率:B/A(図[ID0604])
有効脊柱管前後径:A-B(図[ID0604])
発育性脊柱管前後径:A(図[ID0604])
(3) 脊髄症状があるか、否か
*4 痙性を伴う脊髄症状があれば頚椎MRI検査を行うが、上肢症状が乏しい場合は胸椎MRI検査が必要なこともある。
(4) 鑑別診断:痙性がなく、頚椎単純X線やMRI検査で明らかな異常所見がなければ、神経伝導速度や筋電図などで手根管症候群や肘部管症候群などを鑑別する
*5 四肢の神経症状があるにも関わらず検査所見で診断にいたらなかったり、MRIで有意な脊髄圧迫がない場合には神経内科に対診する。
*6 脊椎脊髄腫瘍やリウマチ頚椎病変なども鑑別する。
 
出典
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1: 日本整形外科学会, 日本脊椎脊髄病学会監、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン策定委員会編:脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン 2019.南江堂、2019、p12, 図1.

頚椎の靱帯(頚椎側面像)

椎体前面を縦走するのが前縦靱帯、椎体後面を縦走するのが後縦靱帯である。