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内反足治療体系

治療時期、変形の程度、部位により治療方法を決定する。
出典
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1: 野村茂治: 先天性内反足. 松崎昭夫編. 新図説臨床整形外科講座 下腿・足. メディカルビュー社、1994;39

後内方解離術動画(1/15)

術前X線。

後内方解離術動画(2/15)

皮切。

後内方解離術動画(3/15)

神経血管保護。

後内方解離術動画(4/15)

後脛骨筋腱、長趾屈筋腱、長母趾屈筋腱保護。

後内方解離術動画(5/15)

アキレス腱Z状切離。

後内方解離術動画(6/15)

後方関節包切離。

後内方解離術動画(7/15)

X線コントロール。

後内方解離術動画(8/15)

内側解離術。

後内方解離術動画(9/15)

矯正位の確認と足趾の屈曲変形。

後内方解離術動画(10/15)

Kワイヤー刺入。

後内方解離術動画(11/15)

長趾屈筋腱スライド延長。

後内方解離術動画(12/15)

アキレス腱縫合。

後内方解離術動画(13/15)

後脛骨筋腱縫合。

後内方解離術動画(14/15)

三角靱帯縫合。

後内方解離術動画(15/15)

回転皮弁、皮膚縫合。

先天性内反足

生後10日目の男児。生下時より両足に内転、内反、尖足変形がみられる。
参考文献:野村茂治: 先天性内反足. 松崎昭夫編. 新図説臨床整形外科講座 下腿・足. メディカルビュー社、1994; 33
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1: 著者提供

内反足の足部変形

a:尖足。足関節が背屈できない状態。
b:内転。前足部が下腿前額面に対し内方に向く。
c:内反。後足部の変形で下腿軸に対し踵が内方に向く。
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1: 編集部作成

先天性内反足の踵部

生後2カ月、cast矯正中踵の脂肪組織は厚く、ずんぐりとして踵骨は触れにくい。
参考文献:野村茂治: 先天性内反足. 松崎昭夫編. 新図説臨床整形外科講座 下腿・足. メディカルビュー社、1994; 33
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1: 著者提供

ギプスによる内転、内反の矯正(cast法)

距骨頭背側を矯正支点に外転外反位にギプスの上から矯正し足部を外旋させ膝上まで巻き上げる。
参考文献:野村茂治ほか:先天性内反足に対する保存的治療と初期後方解離術. 整・災外 2001; 44: 897-906.
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1: 著者提供

夜間副子

生後4~5カ月するとcastによる矯正は限界となる。尖足矯正が得られた足も、手術を予定している足も、夜間のみ装具を使用する。肢位は膝および足関節は直角位、足部を最大外旋位に保持する。
参考文献:野村茂治ほか:先天性内反足に対する保存的治療と初期後方解離術. 整・災外 2001; 44: 897-906.
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1: 著者提供

X線計測法

診断、治療、結果を客観的に捉えるためにX線検査は大切である。側面像は足関節最大背屈位の側面像、前後像は下腿前額面に対するように撮像する。
側面像:乳幼児では距骨と踵骨とのなす距踵角(Kite angle、a:左)で後足部の内反を、脛踵角で踵骨の尖足を、脛距角で距骨の尖足を計測している(b:左上)。踵骨軸は乳幼児より年長児に至るまで容易に決定できる。一方、距骨軸は幼児期には楕円形をしており軸の決定は容易であるが、年長例で滑車の扁平化、頚の短縮があると軸の決定に客観性を欠く。凹足変形については、変形の実態が足内縁の第1中足骨の屈曲であるため、1st. metatarsotalar angle(Meary angle)を計測しているが、第1中足骨軸と踵骨軸とのなす角(Hibbs angle)も有用である。10歳を過ぎる年長例では距骨扁平化も側面像で計測できるが(b:右下)、軽度、中等度、重度と主観的判定がわかりやすい(c)。
前後像:乳幼児では距骨と踵骨とのなす距踵角(Kite angle、a:右)を計測するのが一般的である。側面像と前後像の距踵角を足したものがTC indexである。年長児では膝蓋骨正面、立位で30°前方よりX線を入射して得られた内外果先端を基準線(Bm線)として第2中足骨骨頭と距骨頭中心を結ぶ(MT線)とのなす角をMTB角として前足部内転を計測している(d:上)。Bm線と舟状骨後接線とのなす角で舟状骨内方転位度が、踵骨軸とのなす角で踵骨内転度が計測できる。中足骨内転は舟状骨後接線と第1中足骨軸とのなす角(Lowe angle)を計測している。
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1: 編集部作成

後方解離術

後方解離術の皮切と術野の展開
a:皮切
b:術野の展開
c:関節包、靱帯の切離部
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1: 編集部作成

内方解離術

内方解離術の皮切と術野の展開
a:皮切(破線は回転皮弁用)
b:術野展開
c:距骨頭の露出
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1: 編集部作成

Evans手術

手術適応:内旋歩行を示す遺残内反足で、手術適応年齢は6歳以上。X線で舟状骨の内方転位が変形の主要因と確認された例でMTB角80°以下が適応である。尖足変形があれば後方解離術による変形の矯正が必要。凹足変形(Meary angle 15°以上)があれば足底腱膜の切離を行う。
手術法:内側解離術に準じて舟状骨を内方に転位させている軟部組織を解離する。後方解離術を必要とする症例では回転皮弁(rotation flap)が必要となるので皮切の際に留意する。踵立方関節の切除固定は、踵立方関節を触診で確認し、皮膚皺壁に沿って約3 cmの小切開を加える。回転皮弁が必要な場合はそれに合わせてカーブをつける。長短腓骨筋腱を外下方に引き寄せ、短趾伸筋を踵骨付着部より切離反転して関節面を十分に出す。切除範囲は変形の程度に応じて行い、X線コントロールでMTB角95°を目標とする。固定に際しては前足部が回内しないように、舟状骨が距骨頭の外方に移動していることを確認して距舟関節はKワイヤーで、踵立方関節はステープル2本で固定する。
後療法:膝上ギプスで6週間固定すると骨癒合は完成する。そこで距舟関節を固定していたKワイヤーを抜去し、短下肢装具で立位、歩行を開始する。短下肢装具は歩行が安定するまで2カ月ほど使用する。夜間副子は使用しない。
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1: 編集部作成

三関節固定術

適応:三関節固定術は、放置例はもとより、種々の治療を受けた遺残内反足の治療に有効な方法である。特に距骨扁平化があり尖足変形がある場合には適応となる。手術時年齢は15歳以上が望ましいが、症例によっては12、13歳でも行っている。
手術計画:手術計画にX線は必須である。最大背屈位での足関節側面像で距骨滑車の変形と凹足変形の把握が大切である。作図に際しては足関節最大背屈位側面像で踵骨の尖足を矯正できる骨切除を決める。距骨を頚部を含めて可及的に温存するように踵骨の前方部分の切除を大きくする。尖足が強い場合はアキレス腱の延長を加える。手術の目的は足関節を温存して足底接地ができるようにすることである。
手術法:皮切は半側臥位で舟状骨の前外側より距骨頭下面、外果下端を通り外果後方に至る弓状切開を用いる。術野の中央に短趾伸筋が出てくるので踵骨頚部から切離反転して踵立方関節を露出する。術野の下方で長短腓骨筋腱を腱鞘から開放し足底によける。踵立方関節から踵骨の上縁に沿って剝離を後方に進めると足根洞に達する。足根洞の脂肪織をリウエル鉗子で切除し、さらに後方で後距踵関節を展開する。距骨頭に沿って起子を挿入して距舟関節を出す。以上で踵立方関節、距踵関節、距舟関節のすべてが明らかになる。
骨切除は踵立方関節から始める。Evans手術と同様に、起子を踵立方関節の下に挿入し関節面を楔状に切除する。次いで踵骨頚部の上面を後距踵関節に平行に切除し距骨頭の下面も同様に切除する。起子を後距踵関節に沿い後方に向け挿入して踵腓靱帯を保護した後、後距踵関節面を切除する。ここで距踵骨間靱帯を完全に切除すると踵骨を大きく内反できるので、後距踵関節、中距踵関節(載距突起)の軟骨、軟骨下骨を完全に切除する。最後に距骨頭前方を切除するとともに内側の関節軟骨を切除する。舟状骨関節面が見えやすくなったところで舟状骨関節面の軟骨を内側まで十分切除する。
矯正位の固定は、まず踵骨を外転背屈し内反尖足を矯正し、距踵間を骨把持鉗子で保持する。次いで前足部を背屈、外転させて凹側、内転変形を矯正する。抵抗がある場合は骨切除を追加する。背屈させ足関節が直角もしくは5°背屈できることを確認する。術前に骨切除で尖足の矯正が困難と判断した症例はアキレス腱の延長を加える。足部が膝正面に対して5°外転していることを確認する。矯正が適切なことを確認したら距踵間と踵立方間をステープルで固定し、距舟間はKワイヤーまたはステープルで固定する。切除した骨から海面骨を採取し間隙に移植する。短趾伸筋、腓骨筋腱鞘を可及的に縫合、皮下、皮膚を縫合する。術後出血はかなり多く腫脹も強いので強めの圧迫包帯を行う。
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1: 編集部作成

中足骨骨切り術

内反足変形の主要因は距踵舟関節の位置異常にある。前足部内転変形があればまず舟状骨内方転位を考えなければならないが、少数例ではあるがリスフラン関節での内転変形が残存する。
足部立位前後像で舟状骨後接線と第1中足骨軸とのなすLowe angleを計測して内転変形の主因が中足骨の内転であれば適応となる。手術時年齢は舟状骨骨核が完成する6歳以上が適応となる。
皮切は中足骨基部が出るように足背に弓状切開を入れる。前脛骨動脈、深腓骨神経、足背動脈を損傷しないようにモスキート鉗子で腱の走行に沿って鈍的に剝離して中足骨基部を出す。母趾および小趾は中枢端での骨切りが容易であるが、2~4趾は細い起子が入る部位で手の外科用の骨鋸(bone saw)でできるだけ中枢部で骨切りを行う。骨切りが完了すれば前足部を外転させて母趾と小趾のみKワイヤーで固定する。残りの中足骨の骨切り部に上下のずれがないことを確認して創を閉じる。
術後は膝下ギプス固定を6週間行う。骨癒合を確認してKワイヤーを抜去する。
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1: 編集部作成

Evans手術症例(8歳、女児)

a:生後6カ月と2歳時にアキレス腱延長術を受けるも高度の遺残変形がみられる。
b:術前(左)舟状骨は距骨頭内方の転位しMTB角は34°と強い内転変形がある。術後(右)は舟状骨は外側に移動しMTB角は102°と矯正された。
c:術後10年、18歳時、矯正位は保持されている。
参考文献:整形外科 Mook No.17, 先天性内反足, Evans手術の実際と問題. 1981;271-282.
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1: 著者提供

三関節固定術症例 52歳、男性

a:52歳、男性。放置例。足背で接地、胼胝形成あり。
b:側面像で踵骨は脛骨後方と接している。前後像では舟状骨が距骨頭内方に強く転位している。
c:赤線の部分の骨を切除、アキレス腱を延長して矯正した。
d:術後10カ月、矯正位が得られている。
e:術後10年、62歳時、矯正位は保持されている。足関節もわずかではあるが可動性がある。
参考文献:整形外科 Mook No.17, 先天性内反足, Evans手術の実際と問題. 1981;271-282.
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1: 著者提供

中足骨骨切り術症例(12歳、女児)

a:生後9カ月に後方解離術、2歳6カ月に内方解離術を受ける。12歳時、右前足部に内転変形がみられる。健側と比較してLowe角が減少している。
b:術後5年、良好な矯正が得られている。
c:術後8年、20歳時、良好な結果を得ている。
参考文献:
1.野村茂治: 先天性内反足に対する手術方法. 骨手術. 落合直之編. 小児下肢変形に対する手術療法. メディカルビュー社、2005; 126-127.
2.野村裕ほか:先天性内反足に対する中足骨骨切り術の経験. 整・災外 1997; 46: 956-961.
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1: 著者提供

Evans手術と踵骨頚部外転骨切り術

Evans手術は内方解離術に踵立方関節切除固定を加えることにより、舟状骨を距骨頭外側に保持できる。踵骨頚部外転骨切り術は年少者で踵立方関節の軟骨部分が多く過矯正になることを防ぐために行う。
a:Evans手術
b:踵骨頚部外転骨切り術
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1: 編集部作成

ギプスによる尖足の矯正(cast法) 手順1

示指、中指でアキレス腱付着部を挟むように踵骨を把持して距舟関節下方を支点に踵を引き下げる。
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1: 著者提供

ギプスによる尖足の矯正(cast法) 手順2

ギプスの上から距舟関節下方を支点に踵を引き下げ尖足を矯正する。
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1: 著者提供

ギプスによる尖足の矯正(cast法) 手順3

足部のギプスが固まれば膝上まで巻き上げる。
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1: 著者提供

先天性内反足の年齢別の治療方針

解離術で初期治療はcastによる漸次的矯正。遺残した変形に乳幼児期には軟部組織解離術で対処する。学童期には拘縮、変形の程度により骨手術を考慮する。成人期には足底接地を目的に三関節固定術が適応となる。
1:前足部内転変形に対しMTB角および舟状骨内方転位度でEvans手術の効果を示した。
2:踵立方関節を温存して踵骨の頸部を外転骨切りする方法。
3:稀ではあるがリスフラン関節での内転変形に対しての手術方法として中足骨骨切り術が有効である。
4:成人内反足には骨手術が必要
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1: 著者提供

内反足治療体系

治療時期、変形の程度、部位により治療方法を決定する。
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1: 野村茂治: 先天性内反足. 松崎昭夫編. 新図説臨床整形外科講座 下腿・足. メディカルビュー社、1994;39

後内方解離術動画(1/15)

術前X線。