適応:三関節固定術は、放置例はもとより、種々の治療を受けた遺残内反足の治療に有効な方法である。特に距骨扁平化があり尖足変形がある場合には適応となる。手術時年齢は15歳以上が望ましいが、症例によっては12、13歳でも行っている。
手術計画:手術計画にX線は必須である。最大背屈位での足関節側面像で距骨滑車の変形と凹足変形の把握が大切である。作図に際しては足関節最大背屈位側面像で踵骨の尖足を矯正できる骨切除を決める。距骨を頚部を含めて可及的に温存するように踵骨の前方部分の切除を大きくする。尖足が強い場合はアキレス腱の延長を加える。手術の目的は足関節を温存して足底接地ができるようにすることである。
手術法:皮切は半側臥位で舟状骨の前外側より距骨頭下面、外果下端を通り外果後方に至る弓状切開を用いる。術野の中央に短趾伸筋が出てくるので踵骨頚部から切離反転して踵立方関節を露出する。術野の下方で長短腓骨筋腱を腱鞘から開放し足底によける。踵立方関節から踵骨の上縁に沿って剝離を後方に進めると足根洞に達する。足根洞の脂肪織をリウエル鉗子で切除し、さらに後方で後距踵関節を展開する。距骨頭に沿って起子を挿入して距舟関節を出す。以上で踵立方関節、距踵関節、距舟関節のすべてが明らかになる。
骨切除は踵立方関節から始める。Evans手術と同様に、起子を踵立方関節の下に挿入し関節面を楔状に切除する。次いで踵骨頚部の上面を後距踵関節に平行に切除し距骨頭の下面も同様に切除する。起子を後距踵関節に沿い後方に向け挿入して踵腓靱帯を保護した後、後距踵関節面を切除する。ここで距踵骨間靱帯を完全に切除すると踵骨を大きく内反できるので、後距踵関節、中距踵関節(載距突起)の軟骨、軟骨下骨を完全に切除する。最後に距骨頭前方を切除するとともに内側の関節軟骨を切除する。舟状骨関節面が見えやすくなったところで舟状骨関節面の軟骨を内側まで十分切除する。
矯正位の固定は、まず踵骨を外転背屈し内反尖足を矯正し、距踵間を骨把持鉗子で保持する。次いで前足部を背屈、外転させて凹側、内転変形を矯正する。抵抗がある場合は骨切除を追加する。背屈させ足関節が直角もしくは5°背屈できることを確認する。術前に骨切除で尖足の矯正が困難と判断した症例はアキレス腱の延長を加える。足部が膝正面に対して5°外転していることを確認する。矯正が適切なことを確認したら距踵間と踵立方間をステープルで固定し、距舟間はKワイヤーまたはステープルで固定する。切除した骨から海面骨を採取し間隙に移植する。短趾伸筋、腓骨筋腱鞘を可及的に縫合、皮下、皮膚を縫合する。術後出血はかなり多く腫脹も強いので強めの圧迫包帯を行う。