腹腔内臓器と胸郭、骨盤腔との関係
肝・脾などの実質臓器は胸郭に、小腸の一部は骨盤腔に位置している。
出典
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日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 JATEC、P.100 図6-1 へるす出版、2021(一部改変して転載)
腹壁損傷を認める鈍的外傷の初期診療風景
着衣は裁断し体表を露出する。体位変換のリスクが解除されるまでは、血液で濡れた衣服も除去できない。出血量が推定しにくくなり、低体温を助長する原因となり得る。
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腹部穿通性異物
異物は可能なかぎり除去しない(来院時すでに除去されていることが多い)。傷病者の移動が臓器損傷のリスクであるため、緊急手術の適応である。通常、穿通創以外の部位から開腹する。
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シートベルト痕
腸管損傷はシートベルトの不適切な装着に起因することが多い。腸管損傷、腸間膜損傷の可能性を予測する。
a:S状結腸損傷の症例
b:小腸損傷の症例
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小腸損傷のCT像(FACT)
限局した小腸壁肥厚と周囲の液体貯留(矢印)。free airを同定できることは、むしろ少ない。
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腸間膜損傷、出血性ショックに対する緊急開腹術
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3大出血部位(MAP)の評価
Massive hemothorax(大量血胸)、Abdominal hemorrhage(腹腔内出血)、Pelvic fracture(不安定型骨盤骨折)(MAP)の評価はprimary surveyにて必ず行う。
出典
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日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 JATEC、P10 図1-9 へるす出版、2021
初療時腹部造影CT
肝外側に液体貯留を認め、深在性の肝損傷と診断した。右肝動脈の末梢より動脈性の造影剤漏出像(extravasation)を認め、動脈塞栓術を施行した。
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迅速開腹
全身状態不良、大量出血のため、腹壁の止血を省略し、メスと剪刀にて迅速に腹腔内に至った。鮮紅色・動脈性の血液が噴出した。
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初療室でのダメージコントロール手術風景
手術以外にも、適切な外傷蘇生、迅速な輸血準備、看護師の協力、および、これらを、時間を問わず、最大速度で発揮するシステムがなければ、救命は可能とならない。十分なマンパワーと通常時からのチームビルディングが必須である。
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FAST;Focused Assessment with Sonography for Trauma
心窩部、肝周囲、右胸腔、脾周囲、左胸腔、膀胱周囲の評価を行う。
出典
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日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 JATEC、P.61 へるす出版、2021(一部改変して転載)
読影の第一段階(FACT)において評価すべき項目
外傷における全身CTを読影する際には、生理的異常を来し得る部位から優先して読影する(FACT)。
参考文献:
日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第5版 JATEC、へるす出版、2016
出典
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一時的閉腹法の1例(vacuum packing closure)
vacuum packing closure;近年ではABTHERA
TM
ドレッシングキットを使用して行われることも多い。
出典
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ショックに対する診療指針
ショックに対する止血、輸血の適応判断が重要である。
出典
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日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 JATEC、P.9 図1-8 へるす出版、2021
腹部外傷・出血性ショックの出血源検索
ショックに対しては必ず大出血部位「MAP」の検索を行う。腹腔内出血の評価はFASTで行う。
出典
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日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 JATEC、P.101 図6-4 へるす出版、2021
循環安定した腹部外傷の診療アルゴリズム
生理的に安定していれば、secondary surveyにて治療適応となる損傷の検索を行う。
出典
1:
日本外傷学会・日本救急医学会監修:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 JATEC、P.108 図6-12 へるす出版、2021