熱傷深度
Ⅰ度熱傷は表皮までに限局している。
II度熱傷は真皮にまで及ぶ(真皮熱傷)。
III度熱傷は表皮および真皮全層の熱傷である。
Ⅳ度熱傷は筋肉、腱、骨などの皮下にある組織構造にまで損傷が及んでいる。
熱傷深度の分類
肉眼的観察による熱傷深度の分類
出典
1:
Marx: Rosen's Emergency Medicine, 7th ed. Mosby, 2009;759 Table 60-1
9の法則
9の法則による熱傷面積の判定。小児は四肢に比べ、頭部の面積が大きいことに注意する。
出典
1:
Townsend: Sabiston Textbook of Surgery, 19th ed. Saunders, 2012;523 FIGURE 21-3
Lund-Browder法による熱傷面積の判定
特に小児では成長に従って頭部四肢の面積が変化するため有用である。
出典
1:
Marx: Rosen's Emergency Medicine, 7th ed. Mosby, 2009;760 Figure 60-4.
Artzの診断基準
1957年に提唱された基準で、現在も汎用されている。重症度により選択すべき病院のレベルを示している。
出典
1:
Artz CP: The treatment of Burns, 2nd ed., WB Saunders, Philadelphia,1969.
2:
齋藤大蔵:熱傷の重症度判定. 救急医学, 2010; 34(4): 389.
初期輸液に使用する輸液公式
ABLSでは体重により成人・小児を区別した輸液公式と時間尿量を示している。
参考文献:
日本熱傷学会学術委員会編:熱傷診療ガイドライン[改訂第3版]S29-31
搬送時の情報フォーム
搬送する場合は初期対応で行ったことを記載し、評価・治療の見逃しがないように注意する。
出典
1:
American Burn Association: Advanced Burn Life Supporters Manual. Chicago: 2007: 79.
四肢・体幹の減張切開
減張切開に適した部位。点線は減張切開に適した部位を示す。太線で示した部位では、減張切開によって血管構造や神経に損傷が生じる恐れがあるため、注意を要する。
III度熱傷と減張切開
体幹前面および左上肢の全層火炎熱傷。焼痂による制限を解除して胸壁および腹壁の伸展性を改善するため、側腹部、胸骨、鎖骨、肋骨縁および腹部に沿って焼痂切開を施行した。
出典
1:
Auerbach: Wilderness Medicine, 6th ed. Mosby, 2011;288
一般的な初期輸液の方法(初期24時間の輸液)
輸液の種類や量についてはさまざまな提案がなされているが、現在のところ明らかな結論は得られていない。
出典
1:
日本熱傷学会学術委員会編:熱傷診療ガイドライン[改訂第2版]、p40
ルーチンの創傷管理における破傷風予防に関する簡易ガイド(1991)
年齢や今までの予防接種回数を考慮し、破傷風トキソイド、抗破傷風免疫グロブリンの投与を行う。
出典
1:
Marx: Rosen's Emergency Medicine, 7th ed. Mosby, 2009;1686
熱傷初診時のアルゴリズム
まず外傷の初期対応を行い、そのうえで熱傷の評価を行う。
*:[ID0702]参照
呼吸状態に重点をおいた熱傷診療・治療のアルゴリズム
重症熱傷では呼吸不全の治療として、気管挿管や減張切開を考慮する。
出典
1:
Initial management of a major burn: I--overview.
BMJ. 2004 Jun 26;328(7455):1555-7. doi: 10.1136/bmj.328.7455.1555.
熱傷診療アルゴリズム
まず熱傷面積・深度・熱傷部位などで重症度判定を行う。
出典
1:
創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-6:熱傷診療ガイドライン 日皮会誌:127(10)2265,2017