準備するもの
・表面麻酔薬(0.5%プロパラカインなど)
・洗浄用の無菌溶液(静脈注射の温生食かチューブ付きバッグに充填された乳酸リンゲル[LR]液*)
・溶液を受けるための膿盆
・先端に綿球が付いたアプリケーター
・眼瞼を開けたまま保持するのに用いるガーゼパッド
・開瞼器
・長時間用の洗浄器具(モルガンレンズ、調整した中心静脈カテーテル、眼洗浄器など)
洗浄液1 Lに1%リドカイン10 mLを添加するのが最適な組成である。
図のように工夫して、異物が残りやすい円蓋部結膜まで十分洗浄できるように施行する。
a:眼洗浄。化学刺激による重度の眼瞼けいれんに注意すること。眼瞼けいれんにより開眼が困難な場合は、麻酔薬のリドカインを眼球周囲の口輪筋に円周状に注射して眼閉鎖を麻痺させる。①まず点眼麻酔を行う。②湿らせた綿棒で眼球を軽く拭い、眼瞼の下から粒子状物質を除去する。③生理食塩水またはリンゲル液を輸液バッグから直接注いで灌流を開始する。(①および②は、Thomsen T, Setnik G [eds]: Procedures Consult—Emergency Medicine Moduleより転載した)
b:眼瞼を分離するための器具。①Desmarres鉤とペーパークリップで作成した即席の開瞼器によって、眼瞼に対する能動的な操作が可能となる。立てて使える反射鏡を使用する場合は、眼瞼けいれんを軽減するために第VII神経ブロックが必要になることがある。②適切な位置に開瞼器を配置する。③綿球付きアプリケーターを使用すれば、眼瞼を容易に反転できる。患者に眼球を下転させ、睫毛を保持して眼瞼を引き出し、上眼瞼の上に置いたアプリケーターに巻きつけるように眼瞼を反転させる。(①は、Haddad LM, Winchester JF [eds]: Clinical Management of Poisoning and Drug Overdose, 2nd ed. Philadelphia, WB Saunders, 1990に収録されたFogle JA, Spyker DA: Management of chemical and drug injury to the eye. より許可を得て転載した)
c:眼瞼分離にDesmarres鉤を使用する洗浄法。①および②:生理食塩水または乳酸リンゲル液で洗浄を行う。③アルカリ損傷の場合は、pH試験紙で眼内pHをチェックして、適切に洗浄できているかを評価する(正常pH = 7.4)。アルカリ性物質が残存していると再びアルカリ性に傾くので、灌流の20~30分後にpHを再評価して、化学物質を完全に除去できたことを確認すること。(①および②は、Haddad LM, Winchester JF [eds]: Clinical Management of Poisoning and Drug Overdose, 2nd ed. Philadelphia, WB Saunders, 1990に収録されたFogle JA, Spyker DA: Management of chemical and drug injury to the eyeより許可を得て転載した)