雷撃傷と高電圧/低電圧損傷の比較
それぞれで臨床症状が異なるため受傷機転、電圧量の確認が必要となる。
出典
1:
Tintinalli’s Emergency Medcine: A Comprehensive Study Guide, 7th edition. McGraw-Hill Education, 2010;1392
電撃傷の皮膚所見
a:羽毛状の電紋。
b:側撃雷を受けた患者にみられたシダの葉状の電紋。
高電圧(約10万V)のアーク放電により瞬間的に高温(500~2,500℃)となり、電紋(シダの葉状のI度熱傷)を生じている。
出典
1:
Auerbach PS. Wilderness Medicine, 6th ed. Mosby, 2011
屈曲部位の電撃傷 kissing burn
電撃傷による熱傷の一種として、屈曲部の折り目に出現する“kissing burn”がある。電流により四肢の屈曲が生じる際に関節屈側面の皮膚が互いに接触し、しばしば屈筋域が湿潤していることと相まって、屈曲部の折り目に沿ってアーチを描くように熱傷が生じる。その結果、屈側面両側の熱傷と広範囲の下部組織の損傷が生じる。
出典
1:
Marx JA, Hockberger RS, Walls RM, et al. Rosen's Emergency Medicine, 7th ed. Mosby, 2009
電撃傷による合併症のアセスメントと治療
電撃傷に起こり得る多彩な合併症を考慮して初期対応を行う。
出典
1:
Tintinalli’s Emergency Medcine: A Comprehensive Study Guide, 7th edition. McGraw-Hill Education, 2010;1389
Artzの診断基準
1957年に提唱された基準で、現在も汎用されている。重症度により選択すべき病院のレベルを示している。
出典
1:
Artz CP: The treatment of Burns, 2nd ed., WB Saunders, Philadelphia,1969.
2:
齋藤大蔵:熱傷の重症度判定.救急医学2010;34(4):389.
熱傷専門施設への搬送基準
電撃傷であれば、熱傷専門施設への搬送を考慮する。
出典
1:
American Burn Association. Advanced Burn Life Supporters Manual. Chicago; 2011.
心電図のモニタリングの推奨基準
臨床所見や外傷のメカニズムから心電図モニタリングの推奨事項を表にまとめている。
出典
1:
Peter M. Vogot, Andreas D. Niederbichler, Andreas Jokuszies: electric injury: reconstructive problems: Herndon D ed. Total Burn Care. 4th ed, WB Saunders, Philadelphia, 2012: 443
電撃傷の初期輸液
電撃傷の輸液量は通常の熱傷の輸液量より多くなる。
出典
1:
American Burn association. Advanced Burn Life Supporters Manual. Chicago; 2011
口唇の低電圧損傷
a:身長180cmの男性に地面に対して20kVの電圧がかかる場合、約10kV/mの電場が発生する。
b:小児が延長コードの端を噛む場合、1cmの間隔に110Vの電圧がかかる結果、11kV/mの電場が発生することになるが、これは古典的な「高電圧」損傷よりも高い値である。
c:このことが、「低電圧」電源からは予測しがたい全層熱傷が生じる理由である。
出典
1:
Auerbach: Wilderness Medicine, 6th ed. Mosby, 2011; FIGURE 3-38
電撃傷の損傷機序
感電。高エネルギー電撃に伴う様々な損傷機序。1,000Vを超える電圧の(アークによる)感電は、まず機械的な接触から始まる。接触点の高温により全層熱傷が生じる。次に、電流が四肢を通過することで、筋肉と神経膜が電気的に破壊される。数秒間にわたる接触では、重度の深部熱傷が生じる。高エネルギーのアークによる感電では、鈍的外傷を引き起こす衝撃波をもたらす。
小児の口唇低電圧損傷
a:この患児は、家庭用電源のコードを噛んだことで、容貌を損ないかねない損傷を負った。
b:壊死により黒変した上下両口唇の組織と舌上面の白斑状の壊死組織を伴った損傷の程度に注目のこと。
c:明らかに壊死した組織のみを自然分離させて除去することで、容貌の悪化を最低限に抑えるとともに、口唇機能の回復に必要な再建手術の規模を軽減させた。
出典
1:
Lee Goldman L, Schafer AI, eds. Goldman's Cecil Medicine, 24th ed. Figure 111-2. Saunders, 2011
高電圧電撃傷患者と心筋バイオマーカーの検討
電撃傷後のCK-MB・トロポニンI・心電図異常・左室収縮能に相関は見られていない。
a:高電圧電撃傷患者20例の臨床データの要約
b:高電圧電撃傷が臨床および心エコーパラメータに及ぼす影響
c:高電圧電撃傷が二次元画像での長軸、円周、放射方向のストレインおよびストレインレートプロファイルとして評価される左室機能に及ぼす影響
d:心筋トロポニンI値に応じた左室収縮機能パラメータの比較
電撃傷診療のアルゴリズム
症状・電圧の高さ・心電図異常の有無などで入院適応を検討する。
出典
1:
大森啓子先生ご提供