胃瘻と胃瘻カテーテルの基本構造
胃瘻の孔と胃瘻カテーテルは完全に独立した状態であるのが正しい。胃瘻カテーテルが2 cm以上可動するように、内部ストッパーと外部ストッパーの間には十分な距離をとるようにする。
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胃瘻カテーテルの種類
胃瘻カテーテルは、内部ストッパー(胃内固定板)の形状でバルーン型とバンパー型に大別され、さらにそれぞれがチューブ型とボタン型に大別される。
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胃瘻周囲炎
胃瘻周囲の強い発赤と膿汁分泌を認める。
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栄養ルート
ボトルから栄養管をへて、胃瘻カテーテルのフィーディング・アダプターに至るルートを示す。
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ボタン型の接続チューブ(3種類ある製品)
逆流防止弁が内部ストッパーにあるボタン型製品では、接続チューブは3種類(ボーラス用、持続投与用、減圧用)ある。
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ボタン型の接続チューブ(2種類ある製品)
逆流防止弁が外部ストッパーにあるボタン型製品では、接続チューブは2種類(ボーラス用、持続投与用)ある。
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フィーディング・アダプターと栄養管
栄養管は必ず誤接続予防用を使用する。フィーディング・アダプターは使わないほうの蓋をしっかり閉じておく。
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コネクタ形状の変更点
参考文献
厚生労働省:経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて、2018年
厚生労働省:経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えに係る方針の一部見直しについて、2022年5月20日
厚生労働省:Q&A事務連絡、2023年10月10日
日本重症心身障害学会社会活動委員会コネクタ問題ワーキンググループ:[https://jushojisha.jp/wp-content/uploads/2024/06/manual20240518.pdf 新規格・旧規格経腸栄養製品の賢い使いわけマニュアル(2024年4月25日)](2024年9月閲覧)
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きつ過ぎるボタンによる圧迫壊死
シャフト長が1.7 cmしかないのに切り込みガーゼをはさんだ悪い例(a)。ガーゼを取り除くと外部ストッパーが食い込んで、圧迫虚血による瘻孔部感染(発赤と膿汁分泌)を来たしている。これは「深部からの赤み」といえる(b)。シャフト長3.5 cmの適正な長さの胃瘻ボタンに交換したところ、漏れが一旦増えて周囲の発赤は増悪したが、これは接触性皮膚炎すなわち「皮膚表面の赤み」に過ぎない(c)。1週間後には胃瘻部の組織は修復したためか、漏れは減り、入浴と保清のみで瘻孔部感染は治癒した(d)。
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胃瘻周囲炎の例
腹帯で押さえつけられたため、胃瘻カテーテルのコシによって上側半分だけが圧迫虚血による瘻孔部感染をきたした(a)。カテーテルが垂直に立つように絆創膏固定を工夫するだけで(b)、約1週間で瘻孔部感染は治癒した(c)。
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小川滋彦.在宅PEG管理のすべて(3)―胃瘻のスキンケア(1).日本医事新報 4117:33-36,2003 (改変あり)
バンパー埋没症候群
内視鏡観察にて内部ストッパー(バンパー)が完全に胃粘膜に覆われてしまい、あたかも胃粘膜下腫瘍のように見える(a)。胃瘻カテーテル自体の重みで引っ張られている状態が持続すると内部ストッパーの圧迫虚血によって胃潰瘍が発生する。その修復過程において、内部ストッパーが胃粘膜に覆われてしまう。胃瘻カテーテルを押し込み気味にして、回転することを確認することが予防策となる(b、c)。
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小川滋彦.在宅PEG管理のすべて(5)―長期管理上注意すべき合併症とその予防.日本医事新報 4126:33-36,2003 (改変あり)
事故抜去後の吸引カテーテルを用いた瘻孔確保
胃瘻カテーテルが事故抜去した場合は、ただちに代用カテーテルで瘻孔を確保する。ただし、瘻孔確保したカテーテルから決して栄養剤を注入してはならない。腹腔内誤挿入の可能性がないとは言えないからである。
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ball valve syndrome
バルーン型胃瘻カテーテルのバルーンが蠕動運動に伴い、幽門や十二指腸を閉塞することがある。カテーテルの外部ストッパーの置かれる位置(目盛り)に留意したい。
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胃瘻周囲炎の判断と対処
胃瘻周囲の発赤をみた場合、「胃瘻カテーテルの可動性の有無」が最も重要である。
「可動性」がなければ、胃瘻カテーテルの内部ストッパーが胃粘膜に喰い込んで「圧迫虚血」を来した「深部からの赤み」と考えられ、重篤な状態といえる。その対処方法は、ストッパーをゆるめるなど「圧迫の解除」である。
一方、「可動性」があれば、次に「発赤が全周性か」観察する。「全周性でない」ならば、内部ストッパーがゆるめてあっても、胃瘻カテーテルが倒されているため、胃粘膜を蹴り上げて「圧迫虚血」が局所的に生じた「深部からの赤み」といえる。その対処方法は、胃瘻カテーテル固定の位置や向きを修正することである。
「可動性」があり、なおかつ「発赤が全周性である」ならば、圧迫虚血はないと考えられるので、その発赤は単なる接触性皮膚炎、すなわち「表面の赤み」と考え、その対処方法として、通常のスキンケアを行えばよい。
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