一心周期における左心系の循環動態
左心系と右心系における循環動態が、①~⑩までのナンバーで表示されている。
出典
1:
髙階經和: Clinical Bedside Cardiology.臨床心臓病学教育研究会, 2008; 82-83.
2:
髙階經和:心臓病患者の診察ガイドブック.インターメディカ, 2008; 154-155.
大動脈弁狭窄の身体所見と心雑音のイラスト
心基部でS2が逆分裂し、大動脈部位から心尖部まで、収縮中期から後期にかけて粗い駆出性雑音を聴く。高度の場合、心尖部でS4を聴く。
頚動脈部位に「振戦」(shudder)を伴う血管雑音を聴く。
頚静脈拍動は正常である。
心電図:V
1
のS波+V
5
のR波は40mmを超えることが多く、V
5
でT波は陰性化する。
出典
1:
高階經和:ベッドサイド診察法.社団法人臨床心臓病学教育研究会,1988;52.
大動脈弁閉鎖不全の身体所見と心雑音のイラスト
大動脈弁部位から三尖弁部位にかけて、収縮期駆出性雑音と、拡張期の始まりからの漸減性逆流性雑音が聴かれ、高度の場合は心尖部で拡張中期ランブル音(Austin-Flint)を聴く。
頚静脈拍動は2峰性で大きく触れる。
心尖拍動も左下方に偏移し、大きく触れる。
重症例では上肢と下肢の収縮期圧の差が40mmHgを超える(Hillのサイン)。
心電図:第I誘導とV
5
のR波は増高し、左室肥大型を示す。V
1
のS波+V
5
のR波は40mm を超えることが多く、V
5
、V
6
でT波は陰性化する。
出典
1:
高階經和:ベッドサイド診察法.社団法人臨床心臓病学教育研究会,1988;58.
僧帽弁狭窄の身体所見と心雑音の僧帽弁
聴診所見:三尖弁部位で「開放音」(OS)、心尖部でI音亢進、拡張中期ランブル、前収縮期雑音。
肺動脈部位で呼吸性分裂、心尖部でS1>S2。
頚静脈波:a波の増高。頚動脈拍動は小さく小脈。
心尖拍動:拡張期に「スリル」を触知し、胸骨左縁に右室拍動を触知。
心電図:第II誘導でP波の幅が広く「2峰性」、V
1
で「2相性」を示し、陰性部分が深い。QRS群は右室肥大型で右軸偏移を示す。V
5
のS波が大きく、V
1
のR波の増高。QRS群は不完全右脚ブロック型を示す。
出典
1:
高階經和:ベッドサイド診察法.社団法人臨床心臓病学教育研究会,1988;56.
僧帽弁閉鎖不全の身体所見と心雑音のイラスト
聴診所見:心尖部にS1からS2にかけて軽症では全収縮期雑音、中等症では全収縮期雑音+S3、重症では全収縮期雑音+S3+拡張中期ランブルを聴く。心基部で広いS2分裂を聴く。
頚静脈波:a波、v波ともに正常。頚動脈拍動:脈波小さく「速脈」。
心尖拍動:左外方に触れる。
心電図:第II誘導でP波の幅が広く「2峰性」、V
1
で「2相性」を示す。R波はI誘導とV
5
で高く、左室肥大型を示す。ST部分で、T波は増高する。
出典
1:
髙階經和 Clinical Bedside Cardiology, 臨床心臓病学教育研究会、2008; 82-83
レバイン分類(Levine’s classification)
1.聴診に際しては静かな部屋や環境を選ぶ。
2.検者も患者も呼吸を5~10秒止めて聴く。
3.聴診器は心基部では膜面型、心尖部ではベル型で聴く。
一心周期における右心系の循環動態
左心系と右心系における循環動態が、①~⑩までのナンバーで表示されている。
出典
1:
高階經和:ベッドサイド診察法.社団法人臨床心臓病学教育研究会,1988;6.
聴診に際しては、橈骨動脈の拍動を触れる(心臓病患者シミュレータを使ったドイツの学生達とのワークショップより)
筆者は2011年11月11~12日、ドイツのライプチッヒ大学で心臓病患者シミュレータ「イチロー」(英語名:Simulator“K”)を使ってワークショップを行った。その際、約70人のドイツ全土から集まった医学生たちは、聴診に際して必ず、橈骨動脈または正中動脈の触診を行ってから聴診を始めた。彼らにきいてみると、ドイツでは臨床実習の初めにこの手技を身につけるよう教えられたとのことである。彼らが基本手技の修得を第一義に考えていることを改めて認識させられた。
出典
1:
著者提供
正常心音の聴診
各聴診部位における心音の変化に注意。肺動脈弁部位に呼吸性分裂が聴かれる。
正常心音の聴診
①大動脈弁部位[ID2001]
②肺動脈弁部位[ID2002]
③三尖弁部位:NHS(M) [ID2003]
④僧帽弁部位:NHS(M) [ID2004]
a:S3、b:S4の聴診(一心周期における右心系・左心系の循環動態の把握)
※S3:[ID2005]は坐位でよいが、S4:[ID2006]は僧帽弁部位で聴かれ、必ず患者に左側臥位を取らせる。
僧帽弁閉鎖不全
心尖部(○印)をクリックすると全収縮期逆流性雑音が聴かれる。[ID2011]
僧帽弁逸脱
心尖部位に収縮中期から後期にかけて逆流性雑音を聴く。○印をクリックする。[ID2012]
肥大型心筋症
三尖弁部位に収縮中期雑音が聴かれ、蹲踞位により、心雑音が減弱する。[ID2013]
しかし、右室側の狭窄も高度な場合は、その後、心雑音が増大する。○印をクリックする。
大動脈弁閉鎖不全
胸骨左縁第3肋間(○印)をクリックすると収縮早期雑音・拡張早期逆流性雑音が聴かれる。[ID2014]
大動脈弁狭窄
胸骨右縁第2肋間(○印)をクリックすると収縮中期雑音が聴かれ、スリルも触れることがある。[ID2015]
僧帽弁狭窄
心尖部(○印)をクリックすると拡張早期に開放音・拡張中期雑音が聴かれる。[ID2016]
心雑音の種類
収縮期および拡張期における心音と各心雑音発生のアルゴリズム
参考文献:髙階經和監修:臨床心臓病学のノウハウ、臨床心臓病学教育研究会, 1991;54.