消化管内異物の分類
消化管内異物はその形状、内容物の毒性の有無などにより、緊急性の有無を判断する必要がある。
出典
1:
赤松泰次, 白井隆之, 豊永高史:異物摘出術ガイドライン. 日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会(編): 消化器内視鏡ガイドライン, 第3版, 医学書院, 2006;206-215
回収用処置具と粘膜損傷防止用器具
症例に応じて使用する回収用処置具や消化管損傷防止用器具を十分に吟味する必要がある。
出典
1:
渕上忠彦, 松井敏幸. 異物摘出術ガイドライン. 日本消化器内視鏡学会監修: 消化器内視鏡ガイドライン, 182-189, 医学書院, 東京, 1999 (改変あり)
食道異物(魚骨)例
a:上部食道左側壁に高濃度の陰影がみられる。
b:同上。
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食道異物(魚骨)例
a:上部食道に魚骨が刺入しているように観察される。
b:先端透明フードを装着し、把持鉗子で先端をフードに引き込んで摘出した。
c:術後同部位に裂創を認める。
d:摘出された魚骨。
出典
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食道異物(PTP)例
a:食道入口部に異物(PTP)を認める。筋層深部に達し、周囲脂肪織の濃度上昇がみられ、炎症の波及が疑われる。
b:同上
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食道異物(PTP)例
a:異物(PTP)は食道壁に深く刺入していた。
b:把持鉗子にてPTPをフード内に収納する形で摘出可能であった。
c:術後同部位に深い裂創を認めるものの、穿孔の所見はなかった。
出典
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食道異物(義歯)例
食道入口部に長径5cmの異物(義歯)を認める。左側では縦隔気腫を認め穿孔が疑われた。
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食道異物(食物塊)例
a:吻合部に停滞する食物塊を認める。
b:把持鉗子で食物塊を細かく破砕し、胃内へ押し込んだ。術後粘膜損傷は認められない。
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食道異物(50円硬貨)例
a:食道第1狭窄部に異物(50円硬貨)を認める。
b:摘出時には、異物は幽門輪にはさまれるような形で存在していた。c:内視鏡下に把持鉗子にて摘出した。
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胃内異物(ボタン電池)例
胃内と思われる部位に異物(ボタン電池)を認める。
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胃内異物(ボタン電池)例
a:異物は胃体上部に存在していた。
b:ネットで回収・摘出した。
c:ネットで回収・摘出した。
d:摘出されたボタン電池
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胃内異物(義歯)例
a:胃内と思われる部位に異物(義歯)を認める。
b:食物残渣を除去しつつ観察したところ、義歯はX線で確認可能であったX線不透過性の陰影よりさらに大型であった。
c:長軸を消化管の軸と合わせるように保持しても、噴門でかなりの抵抗があり、摘出に伴う出血や穿孔のリスクが高いと判断し、外科的摘出を選択した。
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胃内異物(歯ブラシ)例
a:内視鏡にて胃体上部大湾に異物(歯ブラシ)を認める。
b:摘出された歯ブラシ
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胃内異物(胃石)例
a:内視鏡にて胃石を認める。
b:スネアで分割している。
c:把持鉗子で胃石を破砕している。
d:おおむね1cm以下程度まで細かく破砕し、終了とした。
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胃内異物(アニキサス虫体)例
胃壁の著明な肥厚を認める。
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胃内異物(アニサキス虫体)例
a:胃体部前壁側の粘膜は浮腫状であり、体中部前壁大弯よりの粘膜に刺入する形でアニサキス虫体を認める。
b:同上
c:生検鉗子で虫体を把持し、鉗子チャンネルを通して摘出した。
d:摘出したアニサキス虫体
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十二指腸異物(爪楊枝)例
a:十二指腸下降脚に異物(爪楊枝)を認める。
b:把持鉗子で長軸を消化管の軸と合わせるように保持しながら摘出した。
c:摘出した爪楊枝
d:術後粘膜損傷は認めない。
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小腸異物(義歯)例
a:上腹部に異物(義歯)を認める。
b:異物によるアーチファクトも強く、十二指腸内か空腸に移行しているか判断が困難であった。
c:同上
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小腸異物(義歯)例
異物は空腸へ移動していることが示唆された。
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小腸異物(義歯)例
a:経過観察(2日目):異物は肛門側へ進んでいることが示唆される。
b:経過観察(3日目):同上
c:経過観察(4日目):同上 この後、便中に異物(義歯)の排出を確認した。
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直腸異物(スプレー缶)例
a:直腸内に20cm×6cmのスプレー缶を認める、穿孔や腸閉塞の所見はなし。
b:同上
c:直腸周囲に炎症の波及が疑われた。
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直腸異物(スプレー缶)例
a:腰椎麻酔下に経肛門的異物摘出術を施行した。
b:摘出されたスプレー缶
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消化管内異物診療のアルゴリズム
緑は診断に必要な検査など、水色は治療(方針)を示す。
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