消化性潰瘍治療薬を大きく分けると、消化管に対する胃酸などの攻撃因子を抑制する薬(攻撃因子抑制薬)と攻撃因子から消化管を守る防御因子増強薬に分けることができる。ここでは主な攻撃因子抑制薬の作用点を示した。
プロトンポンプ(H+/K+-ATPase):プロトンポンプは胃酸分泌過程の最終的な役割を果たす部位である。胃のプロトンポンプはH+/K+-ATPaseを有し、ATP分解のエネルギーを利用して電気化学的勾配に逆らってポンプのように物質を能動輸送する機構を介して胃酸を分泌する。
ヒスタミンH2受容体:肥満細胞より放出されたヒスタミンにより受容体が活性化され、その刺激がプロトンポンプに伝達され胃液が分泌される。またガストリンの影響によりヒスタミンの作用は活性化される。
ムスカリン受容体:副交感神経の刺激によりアセチルコリンが分泌されそれにより受容体が活性化され、その刺激がプロトンポンプに伝達され胃液が分泌される。
ガストリン受容体:G細胞から分泌されたガストリンにより受容体が活性化され、その刺激がプロトンポンプに伝達され胃液が分泌される。