心臓神経症の患者の考え方や行動の特徴を示している。
a:破局的思考:何事も最悪の結果を考える傾向にあり、「乗り物に乗れば事故にあうに違いない」と考えることを指す。
b:偽窒息警報・身体感覚過敏:些細なことにも反応して不安になる傾向にあり、「タバコのわずかな煙をも感知する火災報知器を持っていて、警報が鳴ってあわてふためいてしまう」ことを指す。
c:予期不安:不安を予習して、さらに不安を高めてしまう傾向にあり、「犬に噛まれた経験のある子どもが、通りにいる小さな犬にも、噛まれたらどうしようかと考えていると、次第にこの子犬が猛犬に見えてきて、道を通れなくなる」ことを指す。
d:精神交互作用:不安と症状の悪循環のことで、「症状が起これば不安になり、不安になると症状が起こってくる」ことを指す。これが繰り返されることで、心臓神経症が持続、悪化する。
これらの認知(考え方や行動)をよく理解し、認知の転換を図ることが治療において重要になる。
参考文献:
・越野好文:薬物療法.熊野宏昭,久保木富房編:パニック障害ハンドブック.治療ガイドラインと診療の実際.医学書院,2008;60.
・Austin D,Blashki G,Barton D,et al:Managing panic disorder in general practice.Aust.Fam.Physician.2005 Jul:34(7):563-571.PMID: 15999167
・稲光哲明:パニック障害.久保千春,中井吉英,野添新一編.現代心療内科学.永井書店,2003;510.