- ハロペリドールを追加する際、錐体外路症状、特にジストニアやアカシジアといった急性で重篤な副作用の発現に備えるべきである。また、悪性症候群にも注意を要する。
- 1回の筋注からつぎの筋注までの間隔は、筋注した際の血中濃度の推移を考慮すれば30~60分程度が望ましい。
- もし本人が落ち着きたい場合には、経口のリスペリドンが有用である*。
*Roppolo LP, Morris DW, Khan F, Downs R, Metzger J, Carder T, Wong AH, Wilson MP. Improving the management of acutely agitated patients in the emergency department through implementation of Project BETA (Best Practices in the Evaluation and Treatment of Agitation). J Am Coll Emerg Physicians Open. 2020 Jul 3;1(5):898-907. doi: 10.1002/emp2.12138. Erratum in: J Am Coll Emerg Physicians Open. 2023 Jun 22;4(3):e13002. PMID: 33145538; PMCID: PMC7593430.
- 内服で静穏化を図る場合、ハロペリドールと症状改善で差がなく錐体外路症状が少ないことが明らかにされている第2世代抗精神病薬が望ましい。しかし、特定の薬剤を推奨するほどの根拠はない。口腔内崩壊錠、舌下錠、内用液は、服用に水を要しないため、救急場面での取扱上有利といえるかもしれない。
- 抗不安薬の投与が相応しい状態に対して、あるいは抗精神病薬に併用する薬剤としては、代謝の単純なロラゼパムが望ましい。
- 初発か服薬歴があるか、高齢か否か、身体的に健常か、標的症状の程度はどうかによって薬剤の種類と量を決定すべきである。いずれも初回投与の効果を見て数時間後に以降の量を決定することが望ましい。
- 内服に応じない場合に静穏化を図るには、焦燥・興奮が軽度で急がなければ貼付剤、症状が中等度以上の場合は筋注が望ましい。
- 筋注する薬剤を選択する際、有用性が実証されているオランザピンあるいはハロペリドール+プロメタジンが望ましい。
- ハロペリドールを注射する際、錐体外路症状、特にジストニアやアカシジアといった急性で重篤な副作用の発現に備えるべきである。筋注の抗パーキンソン薬は、ビペリデンでも代替可能である。
- 1回の筋注からつぎの筋注までの間隔は、筋注した際の血中濃度の推移を考慮すれば30~60分程度が望ましい。
- 内服に応じない場合に静穏化を図る際、あらかじめ点滴ルートがあるならハロペリドールの経静脈投与が望ましい。
- ハロペリドールの経静脈投与を行う際、あらかじめ心電図でQTcが500 ms未満であることを確認することが望ましい。
- ハロペリドールの経静脈投与が高用量になる場合は、心電図モニターをするべきである。
- 短時間の鎮静(頭部CTやMRIなど静止を要する検査が必要なとき)には、ミダゾラムが望ましい。
- ベンゾジアゼピン系薬剤を静注する際は、パルスオキシメーターによる呼吸状態の観察を併行し、拮抗薬であるフルマゼニルおよびバッグ・バルブ・マスクを用意するべきである。
- ミダゾラムを投与する前に、拮抗薬であるフルマゼニルおよびバッグ・バルブ・マスクを用意しておく必要がある。ミダゾラムは1A(10 mg、2 mL)を生理食塩水で20 mLに希釈し、成人なら最初に5 mL、その後反応を見ながら2.5ないし5 mLずつ追加する。高齢者なら最初に2.5 mL、その後反応を見ながら2.5 mLずつ追加する。