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SCDの診断の流れ

  1. 神経学的診察で病変が小脳に主座のある疾患が疑われたならば、画像検査(MRIが体内金属、ペースメーカーなどで禁忌の場合はCT)、血液検査、髄液検査などを進め、難病指定のSCDかあるいは治療可能性の残された別の疾患なのかを鑑別する。二次性の運動失調症が否定された場合には遺伝性あるいは弧発性SCDであるか家族歴を重点的に聴取しながら鑑別する。遺伝歴が明らかでない場合でも、発症が若年の場合や両親が近親婚である場合には潜性(劣性)の遺伝性SCDも考慮される。顕性(優性)遺伝型でも両親が早くに他界した場合や浸透率が低い場合もあるため注意を要する。また原因遺伝子内のCAGリピート長によっては比較的短い場合など診察上一見、純粋小脳失調症型のように見えることがあり、遺伝子診断を行わないと正確な診断が難しいこともある。
出典
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1: 著者提供

神経学的診察のポイント

神経学的診察から小脳障害型なのか多系統萎縮型なのかを鑑定するため、小脳症状、錐体外路症状、自律神経症状などの徴候を系統的に拾い上げる。またその症状に対応する部位の画像所見の有無についても留意する。
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1: 月刊「難病と在宅ケア」編集部編:脊髄小脳変性症のすべて.水澤英洋監修:日本プランニングセンター,2006 一部改変

問診のポイント

発症形式(急性、亜急性、慢性)、類症の有無(遺伝性、弧発性)、小脳失調を疑わせるエピソードはあるか、症状は発作性か、持続性か、その他に自律神経障害、錐体外路徴候、錐体路徴候、末梢神経障害、不随意運動などの合併を示唆するエピソードはどうか、薬剤歴、嗜好品はどうかなど具体的に鑑別診断を思い浮かべながら聴取する。
出典
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1: 月刊「難病と在宅ケア」編集部編:脊髄小脳変性症のすべて.水澤英洋監修:日本プランニングセンター,2006、55ページより改変

典型的画像例

SCA31例では小脳に限局した萎縮がみられ、MJD例では小脳だけでなく脳幹にも萎縮がみられている。
a: 高齢健常者
b: SCA31
c: MJD/SCA3
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1: 著者提供

運動失調の等級分け評価スケール

SARA日本語版
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1: 厚生労働省 難治性疾患克服研究事業
運動失調に関する調査および病態機序に関する研究班 作成

日本における脊髄小脳変性症(SCD)の頻度

厚生労働省の行った臨床個人調査個人票を用いた疫学研究報告によると、わが国のSCDの有病率は18.6人(10万人あたり)と推定されている。またそのなかでは弧発性SCDが最多の67.2%である。弧発性のなかでは多系統萎縮症が約2/3を占め、残り約1/3が皮質性小脳萎縮症であった。
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1: Sporadic ataxias in Japan--a population-based epidemiological study.
著者: Shoji Tsuji, Osamu Onodera, Jun Goto, Masatoyo Nishizawa, Study Group on Ataxic Diseases
雑誌名: Cerebellum. 2008;7(2):189-97. doi: 10.1007/s12311-008-0028-x.
Abstract/Text: Sporadic spinocerebellar ataxias (SCAs) comprise heterogeneous diseases with poorly understood epidemiologies and etiologies. A population-based epidemiological analysis of sporadic ataxias in the Japanese population was described. The prevalence rate of SCAs in the Japanese population is estimated to be 18.5/100,000. Sporadic SCAs account for 67.2% of total SCAs including hereditary SCAs, with olivopontocerebellar atrophy (OPCA) being the most common form sporadic ataxia (64.7%). The natural history analysis conducted on the basis of International Cooperative Ataxia Rating Scale (ICARS) showed that only 33% of patients with OPCA were able to walk at least with one stick 4-5 years after the onset of OPCA, which is much less than that of patients with cortical cerebellar atrophy (CCA). Similarly, 43% of patients with OPCA were able to stand alone 4-5 years after the onset, while 76% of patients with CCA were able to stand alone at the same disease duration. A population-based epidemiological analysis should provide essential information on the natural history of SCAs.
Cerebellum. 2008;7(2):189-97. doi: 10.1007/s12311-008-0028-x.

代表的検査項目

神経学的所見、症状に対応する器質的病変の有無、重症度を評価し鑑別診断を行う。
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1: 月刊「難病と在宅ケア」編集部編:脊髄小脳変性症のすべて.水澤英洋監修:日本プランニングセンター,2006 一部改変

症例 SCA6

小脳萎縮はみられるが、脳幹は保たれている。
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1: 著者提供

superficial siderosis の一例

T2*にて小脳、脳幹、脊髄に渡って表面を縁取る低信号域を認める。
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1: 著者提供

SCDの診断の流れ

  1. 神経学的診察で病変が小脳に主座のある疾患が疑われたならば、画像検査(MRIが体内金属、ペースメーカーなどで禁忌の場合はCT)、血液検査、髄液検査などを進め、難病指定のSCDかあるいは治療可能性の残された別の疾患なのかを鑑別する。二次性の運動失調症が否定された場合には遺伝性あるいは弧発性SCDであるか家族歴を重点的に聴取しながら鑑別する。遺伝歴が明らかでない場合でも、発症が若年の場合や両親が近親婚である場合には潜性(劣性)の遺伝性SCDも考慮される。顕性(優性)遺伝型でも両親が早くに他界した場合や浸透率が低い場合もあるため注意を要する。また原因遺伝子内のCAGリピート長によっては比較的短い場合など診察上一見、純粋小脳失調症型のように見えることがあり、遺伝子診断を行わないと正確な診断が難しいこともある。
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1: 著者提供

神経学的診察のポイント

神経学的診察から小脳障害型なのか多系統萎縮型なのかを鑑定するため、小脳症状、錐体外路症状、自律神経症状などの徴候を系統的に拾い上げる。またその症状に対応する部位の画像所見の有無についても留意する。
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1: 月刊「難病と在宅ケア」編集部編:脊髄小脳変性症のすべて.水澤英洋監修:日本プランニングセンター,2006 一部改変