医薬品誘発性急性アカシジアと診断した場合、まず原因として疑われる薬剤の中止を検討する。統合失調症の治療など継続が必要な場合は薬剤の減量、2剤以上処方の場合は単剤への変更を行う。減量が無効または適切でない場合は薬剤の変更を検討する。定型抗精神病薬の場合は非定型精神病薬へ変更する。糖尿病が併存しているなど非定型抗精神病薬に変更できない場合は、定型抗精神病薬の中でも低力価薬に変更する。非定型抗精神病薬の中でもオランザピン、クエチアピン、クロザピンはアカシジアの発生率が少ない可能性があるものの、エビデンスは不十分である。クロザピンは無顆粒球症、心筋炎、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重篤な副作用が比較的多いことから処方できる医師が限定されている。原因薬剤の中止・減量・変更ができない場合や改善が不十分な場合、不安焦燥が強く治療を急ぐ場合は、アカシジア抑制薬の投与を行う。抑制薬の有効性について種々の報告があるが、確立されたものはない。かつては中枢性抗コリン薬を用いることが多かったが有用性の根拠に乏しく、前立腺肥大症患者の尿閉、便秘、口渇、せん妄、認知機能障害などのリスクがあるため、パーキンソニズムや急性ジストニアなどこれが有効な錐体外路症状を伴う場合以外は使用しない。
参考文献:[18][28][29]