顔面筋の麻痺(分類)
顔面筋の麻痺は大きく「顔面麻痺」と「顔面神経麻痺」に分けられる。
「顔面麻痺」は筋および神経筋接合部疾患に伴う「筋性顔面麻痺」と核上性の障害による「中枢性顔面麻痺」に分けられる。
「顔面神経麻痺」は核性の障害によるものを「中枢性顔面神経麻痺」、核下性の障害によるものを「末梢性顔面神経麻痺」と呼ぶ。
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顔面筋の麻痺(分類)
顔面神経麻痺患者の原因と頻度
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脇坂浩之、柳原尚明:顔面神経障害の疫学. CLIENTI 21 No9:顔面神経障害 2001;131-135、中山書店
末梢性顔面神経麻痺と中枢性顔面麻痺
a:左の末梢性顔面神経麻痺。前頭筋麻痺のため左で額のしわが浅く、眉と上眼瞼が下垂している。
b:右の中枢性顔面麻痺。中枢性顔面麻痺では上部顔面筋の麻痺は目立たず、額のしわも保たれる。右の鼻唇溝は左に比べて浅く、口を「イー」と開くと左に偏倚する。
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40点法(柳原法)による顔面神経麻痺の評価
40点法では患側の顔面の動き10項目を健側と比較して、明らかな左右差を認めない→4点、減弱している→2点、高度に低下あるいは動きが認められない→0点の3段階で評価し、点数を合計する。40点満点で20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とする。
Ramsay Hunt症候群と帯状疱疹
a:Ramsay Hunt症候群による右末梢性顔面神経麻痺
b:耳介・外耳道の帯状疱疹
c:口蓋の帯状疱疹
d:舌の帯状疱疹
Bell麻痺の治療指針
重症度は40点法(柳原法)で評価する。
重症度に応じてステロイドや抗ウイルス薬の量を決定し、メチルコバラミンや点眼薬、制酸薬を併用する。
出典
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参考文献:日本神経治療学会治療指針作成委員会編:標準的神経治療:Bell麻痺、2008
記録電極の位置、記録波形とENoG値の算出法
茎乳突孔付近の顔面神経本幹を刺激し、口輪筋に置いた表面電極でCMAPを記録する。患側CMAP振幅(B)/健側CMAP振幅(A)の%値をENoG値と呼び、麻痺側の振幅の減少分が神経変性に陥った線維の率を示す。
用手的伸長マッサージの仕方
マッサージは筋繊維に沿った伸長が原則であるが、円を描くように伸長してもよい。
顔面筋の麻痺:診断アルゴリズム
顔面神経麻痺単独の場合、初診時に診断を確定するのは難しい。病歴や診察で特に疑う疾患がなければBell麻痺か無疱疹性帯状疱疹(zoster sine herpete)に準じて治療を開始する。治療に反応しない場合、その他の疾患を考慮する。
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