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遷延性・慢性咳嗽への対応

咳嗽の中には3週間以上遷延するものも少なくない。その際のアプローチは詳しくは[[慢性咳嗽]]の項を参照いただきたいが、急性から慢性に移行する遷延性のものではガイドラインに従って鑑別を進めていくとよい。
 
※1:まずは単一ないし主要な原因について鑑別診断をすすめるが、例外や複数の原因をもつこともあることに留意する。
※2:肺結核などの呼吸器感染症、肺癌などの悪性疾患、喘息、COPD、慢性気管支炎、気管支拡張症、薬剤性肺障害、心不全、鼻副鼻腔疾患など。
※3:喀痰塗抹・培養(一般細菌、抗酸菌)、細胞診、細胞分画や胸部CT検査、副鼻腔X線またはCT検査を施行。副鼻腔炎については、好中球性炎症を主体とする従来型副鼻腔炎と、好酸球性炎症を主体とする好酸球性副鼻腔炎がある。好酸球性副鼻腔炎はJESRECスコアで疑い、耳鼻咽喉科専門医に診断を依頼する。
※4:まずエリスロマイシン(EM)を使用し、有効性が得られない場合や副作用が出現した場合は、他のマクロライド系抗菌薬を考慮する。〔「クラリスロマイシン(CAM)[内服薬]」を「好中球性炎症性気道疾患」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める〕とされている(2011年9月28日厚生労働省保健局医療課)。
※5:治療的診断の効果判定までのおよその期間を示した。いずれの疾患においても改善の兆しがない場合は他疾患の可能性にも留意する。
※6:個人差が大きいため、プロトンポンプ阻害薬(PPI)でも2週間程度で効果発現を確認することが望ましい。PPIは高用量での開始が推奨され、効果がない場合、ボノプラザンへの変更、消化管運動機能改善薬の追加投与を考慮する。
出典
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1: 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019、日本呼吸器学会、巻頭フローチャート2、2019

急性咳嗽(成人)のフローチャート

日本呼吸器学会より咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019が出版された。鑑別すべき疾患についての記載は2005年当時のガイドラインと比べ削除され、鑑別についてはChest2018のものを参照されたい。
 
※1:遷延性・慢性咳嗽の原因となる疾患([ID0703]を参照)の発症早期での来院や、これらの疾患への感染合併等による咳嗽・喀痰の出現や増悪での来院もある。
※2:バイタルサインの異常(体温38℃以上、脈拍100回/分以上、呼吸数24回/分以上のいずれか1つ)または胸部聴診所見の異常があれば特に肺炎を疑う。
※3:百日咳の典型例では吸気性笛声や咳込み後の嘔吐などが特徴的である。マイコプラズマやクラミジア感染症の診断には「市中肺炎における細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別項目」を参考にする(「成人肺炎診療ガイドライン2017」)。若年成人の急性呼吸器感染症で発熱と頑固な咳嗽がある場合はマイコプラズマ感染症を疑い、胸部X線写真、各種迅速検査等を行い判断する。
※4:喀痰が膿性に変化(あるいは膿性痰が新たに出現)するなど、一般細菌の感染が示唆される場合は、β-ラクタム系薬を含めた抗菌薬の投与も考慮する。その場合はできるだけ抗菌薬投与前に喀痰細菌検査を施行し原因微生物の特定に努める。
画像:遷延性・慢性咳嗽への対応[ID0703]
出典
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1: 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019、日本呼吸器学会、巻頭フローチャート1、2019

急性咳嗽の鑑別

咳嗽というと呼吸器疾患を想起し、重要な鑑別疾患を見落としてしまうことがある。Chest2018に記載されているアルゴリズムはレッドフラッグについての記載もなされており参照されたい。
出典
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1: Classification of Cough as a Symptom in Adults and Management Algorithms: CHEST Guideline and Expert Panel Report.
著者: Richard S Irwin, Cynthia L French, Anne B Chang, Kenneth W Altman, CHEST Expert Cough Panel*
雑誌名: Chest. 2018 Jan;153(1):196-209. doi: 10.1016/j.chest.2017.10.016. Epub 2017 Nov 10.
Abstract/Text: BACKGROUND: We performed systematic reviews using the population, intervention, comparison, outcome (PICO) format to answer the following key clinical question: Are the CHEST 2006 classifications of acute, subacute and chronic cough and associated management algorithms in adults that were based on durations of cough useful?
METHODS: We used the CHEST Expert Cough Panel's protocol for the systematic reviews and the American College of Chest Physicians (CHEST) methodological guidelines and Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation framework. Data from the systematic reviews in conjunction with patient values and preferences and the clinical context were used to form recommendations or suggestions. Delphi methodology was used to obtain the final grading.
RESULTS: With respect to acute cough (< 3 weeks), only three studies met our criteria for quality assessment, and all had a high risk of bias. As predicted by the 2006 CHEST Cough Guidelines, the most common causes were respiratory infections, most likely of viral cause, followed by exacerbations of underlying diseases such as asthma and COPD and pneumonia. The subjects resided on three continents: North America, Europe, and Asia. With respect to subacute cough (duration, 3-8 weeks), only two studies met our criteria for quality assessment, and both had a high risk of bias. As predicted by the 2006 guidelines, the most common causes were postinfectious cough and exacerbation of underlying diseases such as asthma, COPD, and upper airway cough syndrome (UACS). The subjects resided in countries in Asia. With respect to chronic cough (> 8 weeks), 11 studies met our criteria for quality assessment, and all had a high risk of bias. As predicted by the 2006 guidelines, the most common causes were UACS from rhinosinus conditions, asthma, gastroesophageal reflux disease, nonasthmatic eosinophilic bronchitis, combinations of these four conditions, and, less commonly, a variety of miscellaneous conditions and atopic cough in Asian countries. The subjects resided on four continents: North America, South America, Europe, and Asia.
CONCLUSIONS: Although the quality of evidence was low, the published literature since 2006 suggests that CHEST's 2006 Cough Guidelines and management algorithms for acute, subacute, and chronic cough in adults appeared useful in diagnosing and treating patients with cough around the globe. These same algorithms have been updated to reflect the advances in cough management as of 2017.

Copyright © 2017 American College of Chest Physicians. Published by Elsevier Inc. All rights reserved.
Chest. 2018 Jan;153(1):196-209. doi: 10.1016/j.chest.2017.10.016. Epub...

遷延性・慢性咳嗽への対応

咳嗽の中には3週間以上遷延するものも少なくない。その際のアプローチは詳しくは[[慢性咳嗽]]の項を参照いただきたいが、急性から慢性に移行する遷延性のものではガイドラインに従って鑑別を進めていくとよい。
 
※1:まずは単一ないし主要な原因について鑑別診断をすすめるが、例外や複数の原因をもつこともあることに留意する。
※2:肺結核などの呼吸器感染症、肺癌などの悪性疾患、喘息、COPD、慢性気管支炎、気管支拡張症、薬剤性肺障害、心不全、鼻副鼻腔疾患など。
※3:喀痰塗抹・培養(一般細菌、抗酸菌)、細胞診、細胞分画や胸部CT検査、副鼻腔X線またはCT検査を施行。副鼻腔炎については、好中球性炎症を主体とする従来型副鼻腔炎と、好酸球性炎症を主体とする好酸球性副鼻腔炎がある。好酸球性副鼻腔炎はJESRECスコアで疑い、耳鼻咽喉科専門医に診断を依頼する。
※4:まずエリスロマイシン(EM)を使用し、有効性が得られない場合や副作用が出現した場合は、他のマクロライド系抗菌薬を考慮する。〔「クラリスロマイシン(CAM)[内服薬]」を「好中球性炎症性気道疾患」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める〕とされている(2011年9月28日厚生労働省保健局医療課)。
※5:治療的診断の効果判定までのおよその期間を示した。いずれの疾患においても改善の兆しがない場合は他疾患の可能性にも留意する。
※6:個人差が大きいため、プロトンポンプ阻害薬(PPI)でも2週間程度で効果発現を確認することが望ましい。PPIは高用量での開始が推奨され、効果がない場合、ボノプラザンへの変更、消化管運動機能改善薬の追加投与を考慮する。
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1: 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019、日本呼吸器学会、巻頭フローチャート2、2019

急性咳嗽(成人)のフローチャート

日本呼吸器学会より咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019が出版された。鑑別すべき疾患についての記載は2005年当時のガイドラインと比べ削除され、鑑別についてはChest2018のものを参照されたい。
 
※1:遷延性・慢性咳嗽の原因となる疾患([ID0703]を参照)の発症早期での来院や、これらの疾患への感染合併等による咳嗽・喀痰の出現や増悪での来院もある。
※2:バイタルサインの異常(体温38℃以上、脈拍100回/分以上、呼吸数24回/分以上のいずれか1つ)または胸部聴診所見の異常があれば特に肺炎を疑う。
※3:百日咳の典型例では吸気性笛声や咳込み後の嘔吐などが特徴的である。マイコプラズマやクラミジア感染症の診断には「市中肺炎における細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別項目」を参考にする(「成人肺炎診療ガイドライン2017」)。若年成人の急性呼吸器感染症で発熱と頑固な咳嗽がある場合はマイコプラズマ感染症を疑い、胸部X線写真、各種迅速検査等を行い判断する。
※4:喀痰が膿性に変化(あるいは膿性痰が新たに出現)するなど、一般細菌の感染が示唆される場合は、β-ラクタム系薬を含めた抗菌薬の投与も考慮する。その場合はできるだけ抗菌薬投与前に喀痰細菌検査を施行し原因微生物の特定に努める。
画像:遷延性・慢性咳嗽への対応[ID0703]
出典
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1: 日本呼吸器学会咳嗽・喀痰ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019、日本呼吸器学会、巻頭フローチャート1、2019